共犯者に告ぐ

今日も仕事が忙しくなく、参った。時間が腐ってゆく。もう午後の3時だ。僕以外の人はみな忙しそうで部長ときたらもう、朝の10時ぐらいからひっきりなしに次々とくるお客の相手をしている。もう午後の3時だというのに。僕には仕事はない。隣の席では先輩が次から次へと電話をかけて、電話に出て、キーボードを叩いて仕事を片付けているというのに。

不意に来客があった。呼ばれて商談スペースへ行くといつも来てくださる得意先の方である。部長あてに来たのだけど部長はまだ他に人を待たせながらそれとは別の人と仕事をしているので、閑かな僕が呼ばれた。

慌てもせずに、焦れた様子もなく「最近どうですか、プライベートの方は」と聞かれた。「そうですね…。なにも特にないです…。あ、でもドラクエの新しいやつを買ったんですよ。」「ドラクエですか!面白いですか、新しいやつ。」「はい、家に帰ったらドラクエばっかりやってます。」「そうですか、僕もやりたいんですよ。子どもの3DSがあるから。」「僕もDSでやってます。」「でもswitchで出るらしいじゃないですか。」「ああ、そうですね。でもswitchなかなか手に入らないそうじゃないですか。」「いやそれが先日、ひょんな事で買えたんですよ。」

ずっとゲームの話をしていた。みんなが忙しく仕事をしている中で。ゲームの話から映画の話へ、話題がなくなってもまだ漫画の話をするという具合にずっとおしゃべりしていた。僕のさぼりの片棒を担いでくれて申し訳ないという罪悪感と、でもあなたと僕は言わば共犯関係なのだという連帯感があった。

もっと漫画の話のときに滝田ゆうについて面白く話せたかった。(下駄=3)

明日も暇やかで平和でありますように。

#滝田ゆう

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