コーディネートの本当のプロフェッショナル
フィレンツェでとてもお世話になっていたジャーナリスト。
90歳近くまで現役でファッション関係の記事を書いていた方で最後まで最先端を創り続けていました。
展示会にも数年間ご一緒して写真のお手伝いをしていたのですが本当にたくさんのことを勉強させてもらいました。
そんな中でとても印象的でハッとさせられた事。
ファッション・インテリアの業界ではコーディネートという仕事があります。
依頼者のスタイル・空間に合わせて複数のモノを選び、合わせる仕事です。
色や素材、時代背景・流行など合わせる要因は様々で知識と経験でスタイルをつくっていく。
このモノ選びの中で「合わないモノ同士は選ばない」というのがセオリーで
自分もそう考えている節がありました。
ある年の事、いつものように糸・生地素材の展示会を取材して回って写真を撮る準備をしていました。
何種類かの素材を合わせて写真に収めることが多いのですが出展者側のお勧めの組み合わせを出してもらって撮影。
もちろんいい写真が撮れます。
そんな中で「これも合わせて撮ってみて」と渡された素材を合わせてみると全く組み合わせがチグハグで違和感だらけ。
出展者側も首を傾げて?顔。
「これはちょっと合わないですよ、、、」とジャーナリストの方に言ってみると、それぞれのボリューム感・バランスを変えてサラッと合わせてしまう。。。
手品を見ているようでしたが自分の感覚にはなかったとてもいい雰囲気がそこにはありました。
「一見コーディネート出来そうもないモノ同士を組み合わせられるのが本当のプロフェッショナル」とその方が一言。
自分はそれまで木象嵌でもインテリアコーディネートでも何かベースがあってそれに合うものを探して組み合わせていた。
それはファッションも同様で自分に合うであろう服を探していた。
「その組み合わせは合わないからやめた方がいいですよ」と言うのは少し知識と情報があれば簡単な事。
でも本当のプロはその複数のモノを好きで合わせたい、ということであればテクニックでコーディネートすることが出来る。
合わないと思い込んでいたモノがNGではなくなる。
これってとてもすごいことで可能性が無限に広がります。
残念ながら2年前にそのジャーナリストの方は亡くなってしまったのですが自分が今でもフィレンツェに残っていられるのはその方のおかげ。
本当に感謝しています。
END