東京バター
俺は甘いものが大好きだ。
三食と間食に必ず甘い物を食べている。
ある日歩いていると眩暈がして倒れてしまった。
救急車で運ばれ診察して貰ったのだが、
食の偏りが原因らしい。
正直に食生活を医者に伝えると溜息と共に、
甘い物禁止令を言い渡された。
冗談じゃない。
甘い物が口にできないなんて俺の人生なんて
バターの乗っていないホットケーキと一緒だ。
注射器を買ってきた彼はどろどろに溶かしたキャラメルバターを躊躇なく静脈に注射する。
体が熱い、今俺は分かった。
俺はこの日の為に生まれてきたんだ。
彼は注射器を投げ捨てると風の用に走り出した。
ぐんぐんとスピードを上げていく。
甘い物を奪い取りながら。
山手線を3周するころには男はトラとなっていた。
甘い物食いトラだ。
更に加速するトラはまばたきするたびに山手線を一周するようになる。
速く!速く!彼の体はやがて音速を超えて摩擦熱からかバターになり、109に降り注ぐ。
その姿は高くそびえるホットケーキの様だったという。
東京は静寂と甘い匂いが支配していた。
ちびくろさんぼなつかしいよね…
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