「のぎ将軍」の“の”

電話でお客様(推定20代半ば女性)の名前の漢字を伺った際に、
「下の名前は、ユキノで、“ユキは『え』みたいなユキ”で、 “ノ は 『のぎ将軍』の ノ”です。」と説明された。

・・・
知ったかぶった僕は「あ、のぎ将軍の“ノ”ですね」とメモをしたフリをして電話を切った。

・・・ 
はて?のぎ将軍とは??? 早速ググった。
「乃木 希典。日本の武士、陸軍軍人、教育者。」
どうやら日露戦争で活躍した人らしく、
「のぎ将軍」の「の」は「乃」であることが分かった。

・・・
なぜ彼女は、あえて「乃木将軍」を持ち出したのだろう?

声の若さから言えば「乃木坂の乃です」でもいいし、「ひらがなの“の”みたいな乃です」でもいい。

・・・
ましてや、「ユキ」はひらがなの「え」みたいな之です。と冒頭で言ってるじゃないか。

電話口の僕が「あ、乃木将軍の乃ですね」と、彼女の天邪鬼な説明をすんなり受け入れて理解したとき(実際にはフリをしたわけだが)、「わかりますか!」と受話器の向こうの彼女の声は、いくぶん明るくなったような気がした。

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