「リニューアル後のZOOMOを語るvol.1 ~ニホンザル~」
みなさまお久しぶりです。
昨年の暫定開園終了後、本格的なリニューアル工事がスタートしてからはnoteの更新が滞っておりましたが、来春のリニューアルオープンに向けて少しずつ工事の進捗状況や新たなZOOMOに向けて取り組んでいることをご紹介していきたいと思います。
さて、TwitterやFacebookでは工事の様子を随時発信しておりましたが、SNSの性質上、情報を遡って確認することが難しいことや、園内のランドスケープ(景観)に関わる造園工事は写真では変化が分かりにくく、完成予想図なども公開していないため,、みなさんの想像力にお任せする部分が大きかったのではないかと思います。
リニューアルの大きなポイントの一つであり、他の動物園のリニューアルとの大きな違いでもあるランドスケープに関わる部分については、もう少し工事が進んでからコンセプトなどと合わせてご紹介しますので、まずは各エリアの獣舎や展示について順にご紹介していきたいと思います。
まずは、これまで園内に入って最初にみなさんをお出迎えしていたサル山が大きく姿を変えます。当園のサル山は擬岩でできているのですが、老朽化によってあちらこちらに穴が開いて雨漏りをしているうえに開園当初に設置されていた梯子などは脱落し、滝も故障して池も使えない状況でした。
また、本来ニホンザルは森林に棲み、変化にとんだ多様な環境の中で非常に豊かな行動レパートリーや生態を持つ動物ですが、これまでのサル山は環境の多様性や拡張性がないためニホンザルの本来の行動や暮らしを発現させてあげることが難しく、雨風や日照りをしのげる場所も少ないため、彼らにとって良い環境とは言い難いものでした。
そこで、擬岩を全て撤去して基礎部分の鉄骨を生かしながら木材を使い、より多様な行動欲求に応えられるような施設に作り替えることにしました。また、ニホンザルたちの反応や行動の変化に合わせてロープなどを増設したり、位置を変更できるようにするなどの拡張性も考慮するとともに、枝葉や草本などを継続的に入れられるように、市民のみなさんを巻き込んだソフト面の仕組みづくりも検討しています。
(※完成予想図はあくまでも参考資料です。完成後の構造と異なる場合がありますので予めご了承ください。)
ここで大切なことは、施設の改修が本当にその動物にとって良い影響を与えたかどうかを科学的に検証することです。良かれと思って行ったことでも、動物にとってどうであったかを科学的に評価しなければ、動物福祉に配慮した飼育施設、飼育方法とは言えません。
ZOOMOでは岩手大学の動物行動学研究室にご協力いただいて、改修前のサル山と改修後の施設でニホンザルの行動や空間利用にどのような変化が起きたかを調査しています。施設が完成したらお終いではなく、その調査結果を基にさらなる環境改善に繋げられればと考えています。
もう一つ大きな変更点は、ニホンザルの展示の周りに芝生の丘を設けて、飲み物を片手に芝生に座ってニホンザルをのんびりと眺めてもらうことができるようになるということです。そして、なんと入園ゲートの位置が変わり、ニホンザル前の広場やZOOMO SHOPの入っていた建物が無料入園エリアになります。
この辺りのお話は旧動物資料館のリノベーションのご紹介の際に詳しくお話ししたいと思います。
初回から語りすぎて長くなってしまいましたので今回のお話はここまででお終いにします。
次回はニホンツキノワグマの展示の改修についてのお話です。お楽しみに。
企画営業広報 荒井