『グスコーブドリの伝記』
宮沢賢治シリーズ 第六回
かいのどうぶつえん 園長です。
今回は、宮沢賢治の童話『グスコーブドリの伝記』の、妹誘拐のシーンです。
森でくらす樵(きこり)の息子のブドリが10歳で、妹のネリが7歳の年に、故郷が冷害に見舞われます。飢饉で食料が乏しくなり、最初は父が、続けて母が家を立ち去ります。兄妹は両親が残してくれた、わずかな食糧を食べて過ごしますが、ある日、目の鋭い男がきて籠から丸餅をとり出し言います。
「お前たちはいい子供だ。けれどもいい子供だというだけではな んにもならん。おい女の子、おじさんといっしょに町へ行こう。毎日パンを食べさしてやるよ」
男はネリを抱きあげるや背中の籠へ入れて、風のように家を出て行きました。ブドリは、「どろぼう、どろぼう」と泣き叫んで追いかけましたが、ずうっと向こうの草原からネリの泣き声が、かすかに聞こえるだけでした。
やがて、大人になったブドリがイーハトーブ(理想郷)を飢饉から守るため、自らの命と引き換えに、火山を爆発させて冷害を食い止めるかなしい物語・・・。1932年(昭和7)の発行以来ずっと読み継がれ、劇化され、映画化されてきた理由を、あらためて考える必要がありそうですね。
2003年の開園時より、貝たちとは「割らない」「塗らない」「削らない」と固く約束して制作しています。園長
<貝の配役>
★ブドリ(兄):チャイロキヌタ/ハツユキダカラ/スガイ/イガイ/タモトガイ/カムロガイ
★ネ リ(妹):カイコガイ/サクラガイ/スガイ/マメニセザクラガイ/ムシボタル/アカウニ
★男:オカモトイモ/スズメガイ/レイシガイ/ジュドウマクラ/カニモリガイ/ミノムシガイ他
★籠:チリボタン ★餅:キサゴ ★地面:ホタテガイ