【ピアノ上達法】 譜読み編
どんな曲を弾こうとも、これから弾こうと思う楽曲の楽譜を初めて手にした瞬間からその曲の完成度は決まってくると言えます。
準備するもの
スコア
鉛筆(B2などの濃いもの)
消しゴム
メトロノーム
初めて楽譜を入手した瞬間
一番大事な瞬間です。
さあ、開きますか?
プリントしたものなら並べますか?
そこはお任せしますが、初見ができる人は長年の技術の蓄積による技で弾いています。
そうではない場合は、まずは全体像を把握するために最初のページから最後のページまで余すことなく眺めてください。
眺める時のポイント
調号の確認
拍子の確認
速さの確認
最低音、最高音の場所
タイトル
作曲者
構成
調号の確認とは
いわゆる『シャープ#』『フラット♭』の数です。
この数によって調性(キー)が変わります。
何の音で始まり何の音で終わる調性なのか、最初にイメージします。
何のことだかわからない方は「5度圏」を参考にまずは音階を鳴らしてみましょう。
例)調号ゼロ→Cメジャー(ドレミファソラシド) or Aマイナー(ラシドレミファ♯ソ♯ラ)
調号♭5個→D♭メジャー(レ♭ミ♭ファソ♭ラ♭シ♭ドレ♭) or B♭マイナー(シ♭ドレ♭ミ♭ファソラシ♭)
頭の中で楽曲のキーを把握することで全体像をイメージします。
これをやるかやらないかで、譜読みが楽になるかどうか変わってきます。
拍子の確認
4分の4拍子の意味は?
8分の6拍子の意味は?
これらを知っていることが前提ですが、カウントを取らずして譜読みはあり得ないと言えるほど、拍子の確認は重要です。
カウントをとりながら、本を読むように音符を読んでいきます。
わからなくなりそうでしたら、メトロノームを使います。
この時はまだゆっくりなテンポで構いません。
速さの確認
あくまで『目標値』です。
最初からインテンポで弾くことはしません。
上達の妨げになるので、必ずテンポは落とした状態からイメージしていきます。
ではなぜ、速さの確認をするのかと言うと、自分の現在地と目的地の距離を確認するのです。この距離を縮めるのは譜読み完成後です。
最低音と最高音の確認
楽曲全体を通して、自分が88鍵をどこからどこまで行ったり来たりするのかポジションの確認です。
楽譜に印をつけても良いと思います。
88鍵の真ん中に座る自分が、どの程度重心を傾けるかイメトレします。
実際に腕を伸ばして距離感を掴んでみても良いでしょう。
タイトル
作曲者が自分ではない限り、タイトルは作曲者からの大事なメッセージです。
今まで掴んできた楽曲の情報とタイトルから頭の中で映像化していきます。
この作業は、アドレナリンが出てのめり込めるので、個人的に好きな作業です。
作曲者
作曲者によって作風があります。
つまり、この作風をおさえることで大体の『傾向と対策』を練ることができます。
また、今までの作品を聞いてみたり生い立ちなどを調べてみてください。
何故その作風なのか、作品が生まれたのかを知ることで、社会的な背景やその土地の風習、歴史を自分の指先に落とし込む準備ができます。
構成
木を見て森を見ずは譜読みにおいてとても効率が悪いのです。
全体のパートを一度バラバラに分解すると、似ている箇所同士で何通りかに分けることができます。
1小節目から順番に譜読みしていったときに、難しい箇所で立ち往生して先を読めなくなるなら、譜読みが優しい箇所を先に読んでいき、後から難しい箇所をこなしていけば良いのです。
また、構成が頭に入っていると暗譜もしやすくなり、暗譜をせずともインテンポで通す時に立ち止まらなくなります。
パターン化された進行の場合は特に、構成を制すればこっちのものです。
似ている箇所同士見比べて、違う箇所に印をつけます。
じっくり穴の開くほど1音1音見つめなくても良いのです。
最後に
五線譜は点で読まない
形や線で読みます。
『おはようございます。今日も一日元気よくいきましょう!
そういえば、朝ごはんは何を食べましたか?』
↑じっくり読みますか?
この程度なら読まないですが、読めますよね?
その感覚で五線譜を読みます。
この感覚を掴むために『音程』を習得しておくと良いでしょう
形というのは、パッと見て音程を把握しすぐに指がその音程の形になれば良いのです。
例)3度『ド、ミ』→3度の手の形
減7の和音→どの指を使うと次が弾きやすいか?
線も同じく形に似ていますが、ざっくり書くと『上に行くのか下に行くのか?(上り坂か下り坂か)』『山なのか、谷なのか?』『シャンプするのか、階段を一段ずつ滑らかに登るのか?それとも一段飛ばし?』を把握していきます。
例)3度『ド、ミ』→連続しているのか?
上の音が主旋律の一部なのか?
次の音につなげる必要性は?
右手 減7の和音→アルペジオの場合、転回形か否か?
それは連続するものか?
1度の音は1の指スタートで良いのか?
7度の時の運指は5では弾きづらいかも?(予測を立てる)
全体を見てからポイントで読む
これに尽きます。
最初に音源を聴きながら楽譜に目を通すのも個人的にはアリです。
ですが、譜読みの力を上げたいのであれば、音源を聴きながらの譜読みはあまりしない方が良いと言えます。
譜読みとは、ソルフェージュや音楽理論などの音楽力が露呈する部分です。
筋トレと同じで1日ではものにはできませんが、慣れればあなたの音楽ライフで大いに役立つでしょう。
譜読みは本来楽しいものです。
鍵盤に触れずとも、ワクワクする感情が湧き出てきます。
素敵な音楽ライフをお過ごしください。