小説を書いたらダーティーになった
こんにちは、またはこんばんは。TAKです。昨日は頭痛がひどくて大変でしたよ。年に2,3回しかならないんですけどね。今回は、短編小説を書いてみようと思います。意外とダーティーだったりして。
浮浪
男は、すでに息をしていない女の顔に布をかけた。彼女がこと切れたことに悲しみはしたが、涙は出なかった。
何のことはない、ただの痴話喧嘩だった。自ら命を絶つとは、男は思わなかった。男は、そっと彼女の部屋から出て行った。
行く当てはある。もう一人の彼女の部屋だ。ここから電車で4駅。十分歩いて行ける。
夕方、学校帰りの少年や、帰宅中のサラリーマンとすれ違いながら、男は顔を伏せた。恥ずかしかったのだ。不甲斐ない自分が。
男は、定職についていなかった。アルバイトをする気もなかった。だが、不思議と女にもてたので、いつしか彼女たちのヒモとなっていた。これといった夢もなく、働く気力もさらさらなく、楽しめればいいや、と思いながら、日々違う女を抱いていた。
女の家に着く。インターフォンを押す。でない。扉を何回かたたくと、扉が開き、知らない男が出てきた。
「お前にはもう興味はないってさ」
と男は言い残し扉を閉めようとした。
男の血が逆流した。男のうめき声と女の悲鳴が聞こえたような気がした。男が我に返ったとき、部屋が赤く見えた。
男は家を出た。
ふらふらと歩く。夜はもう深い。マルボロに火をつける。つかない。初めて男は雨が降っていることに気が付いた。
軒下に入り、改めて火をつける。吸う。紫煙を吸い込みながら、これからのことについて考えようとするが、うまくいかなかった。
吸い終わる。新しい一本に火をつける。男は歩き出す。
吸い終わり、また火をつける作業を十回ほど繰り返したとき、男は一つの寺の前にいた。暗くてよく見えなかったが、なんとか国寺もしくは国なんとか寺と書いてあるように見えた。
男は中に入った。本殿の扉を蹴破りはいる。覚えたての歌を口ずさみながら、マルボロを咥え、胡坐をかいて座る。
最後の一本を吸い終わる。もう彼に未練はない。親も友達も彼女も神仏も救ってはくれなかった。救いようのない自らの人生に男は一人嗤う。
ライターに火をつけ、近くに投げ捨てる。火は少しして床に燃え移り、やがて身を焦がし始める。男は笑った。高らかに笑った。人生で今が一番愉快だ。
「面白い」
男はつぶやき、やがて動かなくなった。
雨が降りしきる中、そこだけが、轟々と燃えていた。 Fin
どうでしょうか、読み返してみたらだいぶ暗い話でびっくりしました!
皆さんはいかがだったでしょうか。話を書くのはこれが初めてです。
異論、反論、批判は認めません!w
今回はこの辺で、いい週末を。さようなら、また会いましょう。