P真・牙狼 公式チャンネル炎上 のお話
特に忖度とか特別な何かがあったわけではなく、某まとめサイトを見ていたら気になったので、ちゃんと動画を見て何故炎上しているのかを考えてみようと思っただけです。忖度は致しません。
・相対評価と絶対評価・
まずコメント欄を見ると「自分たちが作ったP冴島を貶めている」という書き込みが多かったです。ですが動画内で直接的に貶めているような表現はありませんでした。これは確かだと思います。ですが私の感想はコメント欄と同様に「過去作を貶めている動画である」です。
ユーザーにはパチンコ等の業界人と異なり、台に対して絶対的な評価をする(できる)人は少ないです(シリーズ作品であれば特に)。つまり、「P冴島はボーダー18.5で、ラウンド振り分けも少なく安定感がある。だが時間効率が悪いのでボーダーを超えている台を朝から長時間打てる時に非常に向く」「真・牙狼は時間効率が良いがボーダーが20超えの為、短時間1万円勝負で遊びたい時に向く」といったような台そのものの評価が出来る人が少ないです。叩くコメントが多かった中で「でもP冴島甘かったんだよな」といったコメントを書いている人はある程度広い視野で見られる部類の人だと思います。
ユーザーはこういった動画で何かを比較するまでもなく、何かの後継作品であれば自然と前作品と比較をして「あの時はよかった」「今回のここは優れている」という感想を出すものです。それは絶対的な評価ではなく相対的な評価です。相対的な評価という事はつまり、片方の評価が上がって、もう片方の評価は(意図せずとも)下がるのです。
そしてこの動画は「時間効率」というP冴島では到底勝ちようがない部分にスポットが当てられてしまっています。別の土俵ならば前述した理由によりP冴島でも勝てる部分はあったでしょうが、最初から勝てない土俵を用意されてしまっては視聴者からは「最初から評価を下げるためのダシに使われている」という印象を持たれても不思議ではありません。
・どうするべきであったか
単純に真・牙狼のみの映像で良かった。P冴島を打った事がある人間であれば消化時間が圧倒的に早い事もわかるし、それよりも昔の牙狼シリーズを打った人間も近い消化速度になっている事が分かる。その上で概要欄などにP冴島の比較動画を貼っておけば済む。あくまで新機種の販促動画であり、そこに別の台を持ち出す必要もないし、他と比べる必要もない。そういう事はユーザーが勝手にやってくれるハズ。
・公式動画というジレンマ・
パチンコ対決となると、時間以外の部分での対決も可能だったはずです。しかし、現時点で新旧牙狼対決動画はこの1本のみである。他に対決する要素となると、例えばスペック比較、初当たり1回における獲得出玉期待数、右打ち性能比較、ステージ性能比較など。。。
ただ、こういった攻略要素を含む動画が公式から上がっていた例を私は知りません。恐らく公式でそういった数字的な面や攻略的な動画を作るのはタブーなのかもしれない。本来P冴島にはこういう面で勝てる要素があったかもしれないのだが公式から動画に出来ない要素となると一方的な勝負をしたまま終わりという結果にならざるを得ない。恐らく新旧牙狼対決動画はこの1本で終わってしまう事でしょう。
で、あるのならば例えば外注してライターに好き放題言わせる、などの方がユーザーウケは良かったのかなと思います(もちろんチャンネルの方針などでそもそも選択肢に無かった可能性はあります)。いずれにせよ表現方法が窮屈な状態にある公式チャンネルである事を考慮すると、対決という方法にもっていってPRするのは無茶があった感が否めません。
・ユーザーに見えないもの、見て貰えないもの
「ここまで進化した」「こう変わった」という部分を見せたい気持ちは分かりますが、それをやろうとすると必ず何かと比較しなければ成立しない内容となってしまう。当然他社の台と勝手に比較するのは公式チャンネルでは出来ない事でしょう。
自社の台であれば可能。。。だがしかし、炎上してしまう事が今回わかりました。恐らく牙狼かどうかは関係なかったと思います。自社内で比較した場合に、コメントにありましたが「自社の作品を貶める事は、それに対する愛やプライドをもっていないのか」という意見に繋がっていきます。こういった意見を言いたくなる気持ちは理解できますが、この意見自体には私は否定的です。
つまりユーザー目線からすると、パチンコ台は1つの「作品」でありそれに対しては100%の努力をもって作り上げて欲しいし、妥協して欲しくないし、自信をもって作って欲しいという意見。凄く納得が出来ますしそうであって欲しいと私も思います。ですが、「当時の100%と今の100%は総戦闘力が違う」という事まで考えられるユーザーはどれほどいるでしょうか。つまりP冴島が当時のサンセイの100%のチカラでもって作られた台であれば、今回の真・牙狼は当時から比べて120%のチカラで作られた台なのではないでしょうか。このメーカー努力という部分がユーザーには作品を通してしか感じることが出来ないのが、メーカーのつらいところでもありそうです。
冷静に考えれば当たり前です。これだけ新台の入れ替わりが激しいこの数年間で継続的に台を売って、コロナ禍でも1メーカーとして存続していられるのはそのくらいの成長を重ねていかなければ、こういったご時世に追いついていけるはずがありません。しかしユーザーはそんなことは露知らず。過去と今はまるで何もかも同じかのように叩くのです。
なので今回は開発者からみれば「進化の過程」をわかりやすく表現するために、どれほど変わったかを見せただけに過ぎないのです。当然そこには自信の表れもあったはずです。ですが、ユーザー心理にはそういった部分は一切考慮されない。単純に物事をみて感じたことだけを意見しているだけにすぎず、その答えが「過去作を卑下して新作を持ち上げている」なのです。
・そもそも動画としての完成度・
公式チャンネルという事で、出演される方は有名ライターや演者の方ではないようですがそもそもこのおじさんはどちら様なのでしょうか?何かを紹介するにあたって、その方がどういった人物であるのかと言うのは信用性を高める上では割りと重要な要素ではないかと考えます。過去動画を見るに継続的にチャンネル内で機種紹介で登場されている方のようにお見受けしますが、全員が最初からチャンネルを見ているわけではありませんのである程度のざっくりとした紹介は都度必要かなと考えます。また、真・牙狼の動画に限った話ではありますが、そこまで真・牙狼、もしくは牙狼シリーズに詳しい方でもなさそうな印象をうけました。紹介が無ければ「このおっさん、会社の中の人かな?」と想像される人が、まさかの自社機種に明るくない人(そう伝わってしまう可能性がある人)ではなんの効果が生まれるのでしょうか?疑問です。
サンセイほどのメーカーの新機種ともなればある程度の注目を浴びるのは当然であり、そこに例えばシリーズ好きで知られる、もしくは機種解説に定評のある、または知名度があるライター演者の方による紹介となれば伝達効果はさらに高まると考えます。また前述したように、そういった外部の人であれば好き放題言って貰えるというユーザー目線に近い動画を出すことも可能でしょう。
そんなわけで、今回の炎上はユーザー心理を考慮しきれなかった構成となってしまった動画と、開発の意図を汲み取れない視聴者とのすれ違いが原因と考えます。特に牙狼という作品はパチンコから始まったファンが多い作品と思います。動画は炎上したことで一応の成功とは言えます。ですがパチンコ業界の炎上劇はすぐ燃えてすぐ消えての繰り返し。一過性の事にならないように継続的に投稿されればより固定のファンも増えるかもしれません。丁度昨日真・牙狼の新しい動画も投稿されています。気になる人は見てから打ちに行ってみてはどうでしょうか。
では、今回はこの辺で。ありがとうございました。