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近年のサッカーの潮流と要素還元的な考えの限界

かつては指導者の戦術がチームの全体像を決め、全ての局面において指導者の戦術が基準となっていました。

集団の規律を保つため、ピッチ上にて定められた基準外の行動は許されなかったようです。

このような線形の捉え方はトレーニングにも反映され、要素還元的なトレーニングが主流でした。

要素還元とはどんなに複雑なものでも、それを構成する要素に細かく分解しそれらの個別の要素を理解すれば、全体の理解へとつながるという考え方です。

つまり、サッカーという大きな構造の中で、パスやシュート、ダッシュなどの小さな要素を切り取ってトレーニングし、指導者が間違ったプレーを正すアプローチがとられてきました。

片野道郎氏は以下のように述べています。

「今、欧州サッカーの最前線では、戦術をめぐる大きなパラダイムシフトが進んでいる。サッカーというゲームを理解し分析するための枠組みや概念、ピッチの上でチームを機能し動かすための論理やボキャブラリーが、リアルタイムで大きく変わりつつあるのだ。」

この「戦術パラダイムシフト」に大きな影響を与えたのがジョゼ・モウリーニョとペップ・グアルディオラです。

両者ともに数々の実績を残し、名実ともに世界一の監督となりました。

彼らの牽引する欧州トップチームの最前線では、指導者の戦術に加えて選手の意思決定を組み合わせることでチームの全体像が見えてきます。

外から見るとランダムに思えますが、実はチーム内では狙いがあります。

それぞれの局面に対して、選手の能力から逆算された実行可能な細かい基準が設定されていて、ピッチ上の選手にはある程度の自由な選択があります。

片野氏はこの変化について「『システム』から『シチュエーション』へ、『ポジション』から『タスク』へ」と表しています。

つまり、選手がその場で全てを判断するのではなく、チームの意思決定の基準をもとに判断し実行します。

これに伴いトレーニングの形式も変化していきました。

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