yardlands Mon.Oct.11th 高田馬場CLUB PHASE
配信のアーカイヴにて観ました。以下、楽曲別に僕はこう受け止めたという雑感。
・ignore:演奏終盤、アウトロの鍵盤の存在感が向上。もともとの音色にコーラス系を追加した?もしくは配信ゆえライン直(PAに入ってくる音をそのままネットで流している)で個々の音が明確になったからかも。とにかくエンディングのk.の鍵盤が以前より色を描いているように響いた。
この気づきにより、それまで筆者が描いていた曲のゴールで見える風景が宵のままではなく「夜明け」もしくは「目覚め」のように変化した。セットリスト中盤に置かれた”rise”への前フリを意図した配置の可能性もある。
・blue whirl:アンプ直のベースが抜群の安定感を生み、歌や鍵盤などの「上モノ」が映える。そしてリリース時にも感じたカンタービレなピアノはvo.の歌の感情の起伏と同期し、フロアや配信で観ている人の共感や一緒に歌いたいたくなる効果を生む。
・ハルウララ(リハスタでの仮タイトルより):陰影を基調とした音、時々映像、パフォーマンスがバンドの主たる個性。それは今後も変わらないかもしれないが、それを奏で歌っている演者は熱い血の通った人。バックのコーラスが厚くなるだけでも人の気配は確実に増す。クールだけど温かい良曲。正式な曲タイトルとともにスタジオやライブで育っていくのを見たい。
・rise:多くの人々が欲している暖かで穏やかな日常への復帰。その光明が感じられる。長期に及んだMV撮影でのエピソードも含め、この楽曲はバンドに大きな変革を促した。これからいろいろな状況下で多く演奏されその時時の希望や願いを映し出す存在となれば素敵だ。
・ghost chapel:”rise”が「願い」や「祈り」なら、本曲は「大事なものを返せ!」というプロテスト的意志を感じる。配信リリース時からMy Favoriteで2020年代のアンセムにしてバンド史上最大のキラーチューンと僕は信じて疑わない。そして、セットリスト最後にこの楽曲を置いた意味を考えざるをえない。
まだ何も解決なんかしていない社会不安、それにともなうエンターテインメントを取り巻く状況への葛藤、大きな力への不信、歴然とある不平等、欺瞞、きもっ、うざっ!あらゆるSHITTYな現世への怒りと憤怒が誘引されていく。
この曲が鳴り終わった後、「見え見えの嘘、公約とかほざいてんじゃねぇぞ!」そんな言葉が思わず僕の口をついて出た。
冒頭から太いベースが際立つ。g.菅谷がバンドアレンジでの引き算を意識して、パート同士の分離を重視した痕跡がうかがえる。楽曲終盤での即興性と初期衝動を感じさせるギターとシャウトも演奏の一部として必須。長い髪の奥に秘されたvo.konohaの瞳にも怒りが満ちていて圧巻のエンディング。
限られた時間ながら充実の全5曲。もっと彼らはマスに届くべき。彼らのライヴを見るたびに心からそう思う。
・yardlands
5人が憧れるポストロックバンド、Spangle call Lilli lineと対バンするという目標を胸に2018年2月結成。同9月、MASH A&R「MASH FIGHT! vol.7」8月度マンスリーアーティストとして選出。同12月、rockin'on presents「RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 18/19」入賞。
自身の音楽性をMulti Layered Mellow Wavesと定義づけている。同期、リズム、生の演奏を含め磨き上げられたサウンドを丁寧に重ねていくスタイル。時折スティーブ・ライヒ的なアプローチ、ビートミュージックや変拍子のリズムが入ったりと多様な音楽性を楽しみつつ、J-POP的な大衆性をも持つバランス感覚にも舌を巻く。クールで物憂げなヴォーカルが魅力の女性ヴォーカル5ピースバンド。
#yardlands #MultiLayeredMellowWaves #JROCK #postrock #shoegazer
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