夏休みの読書感想文
スティーブ・ジョブズ (小学館版学習まんが人物館)
内容はうめ氏が描いた『スティーブズ』、
ダニー・ボイル監督の『steve jobs』を観ていたこともあり、特に目新しいエピソードはなかった。子ども向けの伝記ということで、どのエピソードを採用し強めに伝えているのか?やや編集目線で読んでみた。
Apple IからMacまでの時間軸は、事前に読んだり観たりしたコミックスや映画とほぼ同じ。一度目の成功、挫折、雌伏、そして再びAppleのCEOとして返り咲きiPhoneの誕生と逝去までがマンガ本編で描かれていた。
ジョブスの直感的かつ情熱的な生き方。既存の製品や技術を徹底的に研究して他とは全く違うものを生み出す柔軟な発想力。大きなことを成し遂げた人の光だけでなく影の部分も本編で触れているのは好印象だった。
自分個人のジョブス観としては、他の才能や富のある人を吸い寄せる動員ハブ、人寄せパンダとして抜群だったと評価している。
本作でも触れられているジョブスが人の心を動かすときに用いるとされている魔法、現実歪曲フィールドの事例が本作では少しわかりづらかったので、自分個人のジョブス体験から補足したいと思う。
1999年、MacWorld Expo Tokyo会場にてジョブスの基調講演を観た。割れんばかりの拍手で迎えられたあと、冒頭で前年で総計何台のMacが売れたかの業績を発表。累計の出荷台数を述べた後にジョブズはこう補足する。
「これは約3分に1台Macがお店で売れたことを意味する。大ヒットセラーだ」
冷静に考えればわかることだが、実際に3分に1台ずつMacがリアル店舗で売れたわけではない。メーカー直営店のApple Storeは当時まだ存在していなかったが、ネットでの直販は始まっていたし、量販店などのリテール、法人が購入する場合は販売代理店からの購入など、21世紀の今でもMacを買うための購入ルートは多岐にわたる。
累計出荷台数を年間の時間で割っただけの数字のマジックとでもいうべき芸当だが、あの場でそのような伝え方をすることで、自分たちの製品が世界中で飛ぶように売れていると印象付けられる、そしてファンが歓呼して盛り上がる仕掛けだ。
本編に紹介されているエピソード含めて、彼自身が夢を追うこと、そして人々に夢を見させるのが上手い人だったと思う。「中の人」にとってはたまったものではないだろうが笑。
蛇足として、ジョブスの死因となったすい臓がんで自分も母を亡くしており、その一因として発見した段階ですぐに「切らなかった」ことが挙げられる。
ヒッピー文化、東洋思想、オーガニックやスピリチュアルは適度に嗜む程度に!
参照元:https://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/0218/macw99.htm