菅田将暉主演舞台『カリギュラ』レポート
今日も全身全霊で菅田将暉さんに盲目。
ハーバル染め師shihoです。
演じるのが難しいと世界的に言われる戯曲”カリギュラ”に
デビュー10周年の集大成として挑んだ菅田将暉さん。(以下、いつも通り菅田くんと呼びます)
「不可能なものが欲しい」
カリギュラは独裁者かそれとも革命者か・・・
有難いことに東京公演に5回行くことができた。
菅田沼に落ちてまだ5ヶ月。
舞台という魔物的魅力を1ミリも理解していない初心者は、2回分のチケットを握りしめて初観劇の日を迎えた。
そして思い知る。舞台を舐めていたと。
観た後に大急ぎでチケットを追加した。
追いカリギュラである。
舞台上の菅田くんは、信じられないくらい細胞単位でローマの皇帝カリギュラだった。
手も目も汗も。
持っているもの全てをカリギュラに捧げる”神聖な熱”が私にも伝染して、心に彼が棲みついてしまった。
だから何度も通いたくなる。
そう、これが菅田ギュラ沼現象。
菅田くんが声を発するだけで溢れる色気がはらはらと舞う。
そんな声という振動が繊細な空気を伝って耳から脳に響く。
舞 台 は す ご い ぞ 。
受け取ったものがあまりにも大きすぎ、溢れてやまないのでnoteに書き落とす。
私は評論家ではないし、分析は苦手だ。
超個人的な感動を下手に料理することなくそのままサーブしたい。
初めての観劇後は、あまりにも食らってエネルギー酔い。
しばらく放心状態だった。
そして気付く。
「狂気の暴君」という触れ込みは大それたフェイクだと。
「狂気の暴君」に逢いに行ったはずなのに、そこには剥き出しの繊細な人が立っていた。
恐ろしい程不器用な人間臭さが光りを放ち、
傷だらけのその姿が痛々しくて、愛しくて、抱き締めたくて。
彼を「狂気」と一蹴するのは簡単だ。
実際に元老院の貴族達は彼を敵視し、ひたすら排除しようと努める。
「狂人」
こんな薄っぺらい言葉が、彼の真意を理解する邪魔になる。
想像以上に”自分ごと”として痛みを感じるパラレルワールドが、そこにはあった。
菅田くんは各種メディアで「今の時代だからこそ、カリギュラを演じる意味がある」と話した。
その問いは今もずっと私の中に鎮座している。
カリギュラは叫ぶ。
「みんな罪人だ!!」
空気に流され、情報にまみれ、情にほだされる。
オートマティックに。無意識に。
そうやって生きるのはなんと楽なことか。
多数派の生き方は安心できる。
その楽さと引き換えに、鮮烈な快楽を失っているのではないかとすら思えた。
それほどにカリギュラは強烈な「生」であり「死」だった。
肚の底から湧き上がる歓喜を味わえているだろうか。
不都合なものから目を背け、あっさり排除していないか。
自分の中に居る「孤独」と心から向き合う静寂な時間を持てているだろうか。
こんな問いが観劇中に何度も津波の様に私に押し寄せた。
うーーん、言葉にしてしまうと野暮だし陳腐なのが悔しい、、。
観劇後はいつもくらくら眩暈沙汰。
カロリー消費量が半端ない。
真摯に考え抜いた彼なりの結論は「殺人」であり「強奪」というあまりにも非情なものだった。そこから生まれるのは強烈なコントラスト。
カリギュラという闇に脅かされるからこそ炙り出される“心”があることを知った。
彼は劇薬だ。
悲痛に漏れる喘ぎ声が耳から離れない。
きっと彼の欠片が私の中にもあるのだろう。
「おれは空と海を混ぜ合わせたい。美と醜さをとけあわせ、苦しみから笑いをほとばしらせたい。」
私が一番好きなカリギュラの台詞だ。なんと美しい言葉の宝石だろう。
これ程までに官能的かつロマンティックな感受性を持った人間の行く末が、鮮血舞う殺人とは・・・。
処刑を繰り返しながらも、聖人に見える尊さは菅田くんだから成せる技に思えた。
今思い出しても胸が締め付けられる。苦しい。
何かに憑かれた様に言葉を吐く姿は、ドラマ「3年A組」の柊一颯を彷彿とさせた。
Let's think。
柊先生も劇薬だったな。
”美しく生きることとは何か”を突きつけられた特別な年末だった。
私の美学をもっと磨いて凛と立ちたい。
いやぁ、、まさかこんな想いが湧いてくる舞台だとは思わなかった。
菅田くんという存在に、いつも私は考えさせられる。
繰り返し観たことで、日々進化していくその様を目撃できた。
回を増すごとに台詞がどんどん菅田くん自身に溶け込んで、
熟成されたワインみたいに旨味が増していた気がする。
仙台での大千秋楽には、一体どんな味に仕上がっているのか。
見当もつかない。
11月13日のマチソワでカメラ撮影があったが、欲を言えば熟成しきった大千秋楽も円盤で観たかったな。
さてさて。随分と大真面目に書いてしまったわ。
熱を持って書きたくなる魔力がこの舞台にはあるのよね。
先程「狂気の暴君」はフェイクだったと話したが、カリギュラ様の生ビジュアルは間違いなく”美の暴力”。
とんでもない暴君だった。
沼の住人にとってはそこも含めてのカリギュラ。書かずにはいられない。
これ以降はそんな魅惑的なビジュアルや、シーンごとに詳細を振り返っていきたい。ネタバレを含むので有料記事としてクローズドに公開します。
この舞台で目にした菅田くんは永久保存版でした。
暗転中に目撃した宝物の様な出来事についても書きます。
拙いですが、熱量で書いた文章です。
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