#12.にっき
心がシャットダウンしているなと感じる。
きっとあれだろうか……と思い当たる節はいくつか。
明日、私は息をしているだろうか、生きているだろうか。朝は来るのだろうか。
ああ、別にこんな暗い話がしたい訳じゃないんだけどな。
好きな漫画の最新刊が、ここ立て続けに発売されている。読むたびに、瞳に涙が溜まる。溢れる。拭う。読む。溜まる。溢れる。拭う。繰り返す。
気が向いたときに寝て、気が向いたら起きる。真っ暗な中にスマホの薄明かりが道しるべのようだった。
朝起きて、白湯をつくり、薬を飲む。ゆで玉子をゆでて、アジシオをかけて食べる。白くて小さなミルクパンと木のスプーンを洗う。寝転がり、部屋から空を眺める。ご飯をつくる。
最近は、昼ごはんに照準をあてた食生活をおくっている。なんだか、その方が調子がいいから。
食べる。ターコイズの大皿とお椀を洗う。汗ばんだらシャワーを浴びる。洗濯をして、干す。寝転がる。
できるだけ、心の赴くままに。
シャットダウン中だから、なにもできないかと思ったけど、存外できるじゃないか。
ごはんを食べたり、お皿を洗ったり、シャワーを浴びたりすることが私にとってはとてつもなく難しく感じられて、途方にくれて、どうしてこんなことできないんだろうとか、昔はできたのにどうして……と嘆くことも多かった。けれど、最近の自分を観察していると、
「フーン、あっそ。じゃあ寝ちゃうか」
「ま、そんなときもあるよね。酒でものんじゃうか」
「まじでどうでもいいんだけど、それよりもさ~」
フーン、楽観的じゃん。
これが何を意味するのか、どんな風に自分が変化しているのかは分からない、今の自分は知る由もない。
だけど、窓から流れる蒸し暑い夏の風は、私の輪郭をなぞって、確かに新しい生活を吹き込んでいるんだ。そう思うんだ。
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