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《旗印》問題について
こんにちは。ふししゃです。
初めましての方は下に自己紹介の名刺代わりの記事(30,000文字)を置いておきますので暇でどうしようもないときでにも読んでやって欲しいのですが、そんなことより今はこの「《旗印》問題」のほうがよっぽど大切なのでとりあえずスルーしてください。
さて、今回は我らzEDH会が誇る稀代のゾンビヲタクこと、死体生まれの電脳ゾンビ氏(@Sarinkiller0603)による、「《旗印》って実はzEDHリーガルじゃない?」という令和の大発見「《旗印》問題」について主催の思うところを記事にしました。
ブラケット制の発表が(色んな意味で)かなりの盛り上がりをみせる中、たった1枚の新たなzカード(※zEDHリーガルカード)が発見されただけでここまで沸いてしまうzEDH会のなんと牧歌的なことか。
z民の思考回路は《過充電縫合体》寸前ッ!
※そもそも「zEDH」ってなに?と言う方にむけて一言で説明すると、「土地を除いてどこかに“Zombie”と書かれたカードだけで遊ぶ統率者戦」のことです。下記よりzEDHのルールブックこと「ネクロノミコン」をお読みいただけますのでご興味がおありの方はぜひ読んでみてください。
また、過去に開催されたzEDH交流会の記事については、主催ふししゃがnoteで記事にしていますので、そちらも併せてお読みいただけるとzEDHの空気感がさらによくわかると思います。
ちょうど先述発表された「統率者戦ブラケット」のベータテストをみて思ったのですが、zEDHってバッチシ「エキシビション」だなぁ、と思いました。
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今回の記事「《旗印》問題」はこのブラケット1と関連させて読んでも面白いかもしれません。
さて、前段が長くなりましたが、それではいよいよzEDH会始まって以来の最大の衝撃「《旗印》問題」について語っていこうと思います。
はじめに
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まず最初に断っておきます。
本記事を何やらものものしく“問題”などと題しておりますが、筆者をはじめz民(=zEDHプレイヤー)は全員愉快な気持ちでいっぱいです。
じゃあなんでこんなオオケザなタイトルにしたんだというと、3つの理由があります。
その1
なんか面白いから
その2
今回の《旗印》の再発見は、今後のzEDH会において語り継がれることになるエピソードなのである種の事件的名称にしたかった
その3
「z民ともあろう者がこうも容易く“Zombie”の文字を見逃すとはなにごとか!」という自戒の念をこめるため(適当)
また、今回の《旗印》の再発見は、後述する「zEDHポリシー」を振り返る最良の機会を提供してくれることとなったため、とても感謝しております。
z民にはこうやって懸念や不安の前にこうしてまず愉快が降りそそいできてしまう点、zEDH会が持っている楽観的な空気感が良く表されていて良いなぁと思った主催なのでした。
衝撃、走る
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さて、氏のこのポストを見たとき、z界にはかつてない衝撃と困惑と哄笑が巻き起こりました。
《旗印》第9・10版の英語版にだけ「Zombie」の記載があるんだけどこれはzEDHリーガルなのか? pic.twitter.com/S0AnKvePSN
— 死体生まれの電脳ゾンビ ③💧💀 (@Sarinkiller0603) February 11, 2025
《旗印》ーー。
zEDH会はもうカレコレ1年半ほど活動を続けており、これまでに15名ほどの参加者がアーダコーダ(Scryfallとニラメッコ)して腐乱臭プンプンなデッキを練り上げてきているわけです。
そんな激セマのカードプールでの構築にも関わらず、この《旗印》(9版と10版の英語版)に記載されていた“Zombie”のワードを見過ごしていたのです。
(中にはその存在を知っていた人も居たかとは思いますが、少なくともzEDH会においてこのカードがプレイされることはなく、話にさえあがってきませんでした)
先述したように、zEDHとは「どこかに“Zombie”とあるカード」のみを使って遊ぶ統率者なのですが、今までその存在を知られずにきました。
つまり、1年半の時を経て、zEDH会に新たな採用可能カードが爆誕してしまったというわけです。
他フォーマットでいう「禁止解除」などとはまた違う衝撃が我々を襲ったことは言うまでもありません。
どうなる、zEDH会!?
主催からツラツラと
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それではさっそくこの「《旗印》問題」について主催の思うところを述べさせて頂きます。
書いているうちにだんだんと思考が整理されてきましたので、順番に章立てで考えていきたいと思います。
1.《旗印》というカードについて
まず結論から述べます。
《旗印》、ヨユーで使っていいです。
以上、解散ッ!
・
・
・
・
・
と、まぁ、これで終わってはツマラナイので以下に補足を加えていきます。
たった一枚のカードが使える(かも)となっただけで、なぜz民という人種はここまでにやけまくってしまうのか? その理由は簡単です。
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再発見されてしまったこの《旗印》というカード、zEDHという環境にあまりにもマッチしすぎているからです。
仮に今回再発見されたカードがなんか良くわからないヘンテコz的スペルならこういう反応にはならなかったと思います。せいぜい「へーw それも使えるんやw オモロw」で終わってたと思います。
しかし《旗印》がもたらしたインパクトはケタ違いです。ここまで入れ得のカードもまぁないのではないかというレベルです。
というのも、強烈な構築な縛りゆえ、戦場の90%以上がゾンビを占めるzEDHにおいて、設置したら簡単に自軍の腐肉たち全員が揃いも揃ってざっと30/30くらいになります。
そして最大の懸念点はこれによりゲームがツマラナクなってしまうことです。
しかしzEDH会が発足した当初のことを思い出してみてほしいです。
そこは数多の現禁止ゾンビたちが跋扈する無法地帯でした。
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(そんな記念すべき第一回zEDH会のレポはこちから読めます。)
これらの出禁ゾンビたちも、少なからず一度は実践を通してからめでたく(?)BANされることとなりました。
そして今ではこの第一回のzEDH会のことも笑って話せるかけがいのない想い出になっています。
大事なのはここです。
まだ発足当初ということもありましたが、ゲームバランスを著しく崩してしまう恐れのあるこんな超危険なゾンビたちがいても、誰も嫌な思いをしなかった、ということです。
もちろんこれはzEDH会という(変な人たちが集まってくる)コミュニティが求めているゲーム思想に依るところが大きいです。
皆んなが皆んな、「ゾンビで楽しむ」という最大公約数を共有しており、それを阻む恐れのあるノイズ以外は全て飲み込んでしまう空気がコミュニティには醸成されています。
なので《旗印》がもたらす危険性よりも、とりあえずは実際に一度使ってみて「《旗印》が存在する世界のzEDHも知っておこうよ」という、「興味」のほうが遥かに我々を惹きつけてやみません。色々決めるのはその後でも遅くありませんから。
(後述しますが、この考えは楽観的ではありますが、テキトーに遊んでるのとは少し違います)
しかもですよ?
ちょっと冷静に考えてみてください。
もしこの《旗印》の存在が、zEDH会発足当初より認知されていたとしたら、z民は100%みんなデッキに採用していたはずです。
我々は腐ってもz民です。
(腐っているからこそz民なのですが…)
「見て!《旗印》には“Zombie”って書いてある!」
「じゃあ使えるカードだね!」
これだけ。
なにも難しい話じゃないんですよね。
2.「zEDHポリシー」
さて、「《旗印》、別に何も問題ないで〜」と主催が宣言したわけですが、ここからはちょっと真面目に私が愛するzEDH会というものを振り返りながら語ってみようと思います。
「《旗印》問題」において主催が気にしているポイントは、zEDHルールブックこと通称『ネクロノミコン』最終章にある「zEDHポリシー」を壊しはしないか、という点です。
以下に該当箇所を引用します。
ゾンビの文言が含まれるカードにはさまざまあると思います。シンプルにゾンビのカードだったり、FTにちょろっとゾンビがいるだけのカードだったり、反対に超ゾンビをメタるカードだったり。
しかしそのどれもが何かしらの形でゾンビに関わるカードのはずです。zEDHではゾンビに関係していれば愛を持って拒まない姿勢でいたいと考えております。
(※繰り返しになりますが全文はこちらから)
zEDH会はお気楽腐乱集団ではありますが、「ゾンビで遊ぶ」というコンセプトに関してだけはどこよりも真剣でありたいと考えています。ここだけは揺るがせたくありません。なぜならばそれこそ我々が求めてやまない最上の楽しみに他ならず、また、ゾンビだけでどこまで魅せることができるのか、そしてその目標にむかってどれだけ「一心不乱腐乱」になれるのかが、何よりも一番カッコイイことだと思っているからです。
では、見ていきましょう。
「注釈文に存在するマナシンボルは固有色ではない」、という統率者ルールの側からの話にひきつけて考えればそれまでなのですが、ここはzEDHです。
ルールブック『ネクロノミコン』では「不朽」のようにキーワード能力に含まれる“Zombie”もリーガルとしております。(※『ネクロノミコン』第六章)
また、フレイバーテキスト内の文言の“Zombie”についても使用が許されているため、これによってある種のパラドクス的様相を呈しています。
これらを踏まえ、本章で最初にあげた「zEDHポリシー」との関係、つまり換言すればそれは「ゾンビ的か否か」という点に焦点を絞って考えていきます。
まず、上述の「不朽」に関してですが、これは明確にゾンビのフレイバーが反映されたキーワード能力であり、これらの能力がzEDHの世界観を崩すとは思えません。
フレイバーテキストに関しても同様です。全然ゾンビに関係ないカードのフレイバーテキストになんの突拍子もなく“Zombie”のワードが入るはずもあり得ません。
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それでは問題の《旗印》の場合はどうでしょうか?
このカードの場合、言ってしまえば「単なる効果の説明」にゾンビというクリーチャータイプが使われているにすぎません。
つまり、《旗印》内の“Zombie”に関しては、普及やフレイバーテキストに含まれる“Zombie”とは若干意味合いが異なる“Zombie”なわけです。
「《旗印》問題」の微妙さは全てここに宿っていると言っても過言ではありません。
し・か・し…!
我々z民はこう考えます。
「カード効果の説明に「ゾンビ」が使われるとはなんと名誉なこと…!」、と。
忘れないでください。
『ネクロノミコン』第五章の次の一文に、我々はすでに《血の署名》を済ませてしまっていることを。
とにかくどこかに“ゾンビ”とあればOK!ってことです。
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つまり、アーダコーダとゴタクを並べるまでもなく、すでに「ネクロノミコン」にもあるように、そもそも《旗印》はzEDHで使用できる資格を最初から有しているのです。
我々が血眼になって求めているゾンビ的要素が他のカードよりも少し遠いところにあるとしても、それは“Zombie”なカードには違いないのですから。
3.そこに分かり易さはあるんか?
次に、《旗印》の採用はzEDHルール的「分かり易さ」を担保されているか、という問題についても考えていきたいです。
こちらもネクロノミコンから引用します。
このポリシーを分かりやすく考えるなら、EDH初心者のゾンビヲタクの方でも難なく構築できるくらいの分かりやすさをzEDHは大切にしたいと思っています。
ちょっと待ってください。
「分かり易さを大切にしているって言ってるけどFT内の“Zombie”を認めているルールの時点で別に分かり易いわけではなくない…?」
そうなんです。
「zEDHポリシー」では分かり易さを尊重していますが、『ネクロノミコン』のこの個所に関してはその配慮の外にあるのです。
これには二つの理由があります。
一つ目は、
①zEDHというあまりにも狭いフォーマットにおいて、少しでも採用可能なカードを増やしたかったという狙いのため。
二つ目は、
②「zEDHポリシー」にある、“zEDHではゾンビに関係していれば愛を持って拒まない姿勢でいたいと考えております。”という、ゾンビ的であるなら何でも受け入れよう、というスタイルを尊重した結果です。
そしてこの②の設定理由に、zEDHがzEDHたる異議深さが宿っていると私は考えております。
というのも、この②の理由によって、z民は必然的にMTGにおけるゾンビ(=サブタイプにゾンビを有するもの)だけに注目するのに留まらず、ゾンビを参照するあらゆるカードに目を向けることになります。
新弾が発売されるたびにフレイバーテキストに“Zmobie”の文字を探し彷徨うその姿は、まさに生ける屍のごとし。
こうなったらやっと一人前です(嫌)。
繰り返しになりますが、“zEDH会はお気楽腐乱集団ではありますが、「ゾンビで遊ぶ」というコンセプトに関してだけはどこよりも真剣でありたいと考えています。”
《無垢の血》のフレイバーテキストにゾンビの文言があるのを知っていたいですし、プロテクション(ゾンビ)をもつ《墓所の茨》のフレイバーテキスト、「自然はゾンビを忌み嫌う」も暗誦できるようになりたいのです。
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つまり、我々はアツイ変態の集まりでありたいという話です。
4.《旗印》使うとどうなるの?
さて、ゲームに与える影響について考えるより先に、世界観の心配をしてしまう永遠の初心者である筆者でしたが、ここからは環境に与える影響について考えてみようと思います。
それは、正直よくわかりません。
《旗印》が使えるようになると、一番ゾンビを並べた奴が勝つというシーンが増えそうなので、zEDHというゲームの勝利者に相応しいとも言えるなといった趣旨の意見もあり「たしかに〜」となりました。
(※とはいえたとえ40/40の腐肉が10体ならんでいたとしても、それでそのまま勝ち切れるかというとそう簡単ではなかったりします)
ま、とりあえず実際に一回使ってみて決めましょう。
禁止するか否かはそのあとから考えても全然遅くありませんから。
だってあの悪名高い《屋根の上の嵐》も禁止ではないですからね。
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だもんでzEDHには《アーチリッチ・アサーラック》との2枚コンボも存在しています(アーチリッチの方は監視対象ですが…)。
それからもう一点「たしかに〜」となった意見がありました。
今回主催がわざわざ言うまでもなく《旗印》は問題なく採用できるカードだったわけですが、実質テキスト内に“Zmobie”の文言があるのは9版の日・英と10版の英語版になります(10版の日本語版には表記のブレがある新事実も発覚!現在有志の
z民が調査中との噂も…)。
なのでこの版のみを使用可能とするのもとてもゾンビヲタクらしくて良いのですが、オラクル変更で後からサブタイプ・ゾンビを獲得したクリーチャーは問題なく使えている状況と照らし合わせると矛盾が生じてしまいます。
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これ、マジでモットモすぎる指摘で「たしかに〜」となりましたね。そっちのほうが分かり易いですし。
なので《旗印》はどのバージョンでも使用可能とします。もしゲーム中に“Zombie”とある版の《旗印》を使っていたら「お!やりますねぇ」とニチャついてあげてください。
※このあたりのルールに関しては『ネクロノミコン』の側に変更を加えて整備する予定でいます。
おわりに
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いかがでしたでしょうか。
zEDHというあまりにも狭い環境を揺さぶるカードがたった1枚再発見されただけで、ブラケット制の発表というとても大きな話題を軽やかに通り越し、過去一番ともいえる盛り上がりをみせたzEDH会でしたが、結局行き着くところは「楽しそう!やってみよう!それから決めよう!」といういつもの着地点でした。
また、今回、わざわざnoteの記事にせずとも「《旗印》の使用OKです」と主催のXで簡単にポストして終わらせることもできましたが、z民ひいてはzEDH会が求め目指しているコミュニティの在り方を考える良いキッカケにもなるしと思って、頭の中を整理してみようと思ったら気がつけばおよそ6000文字を超える文量の記事になってしまっておりました。
書きすぎてしまうのは筆者のいつもの悪いクセですが、zEDH会の大切な部分をこうしてあらためて再確認・再発信でき、本当に書いてよかったと思っています。
記事の中で何度か、「zEDH会はお気楽腐乱集団ではありますが、ゾンビで遊ぶことに対してはプライドを持っていたい」、という趣旨のことを述べました。
これはプレイスキルや知識量だけに限った話ではありません。なんというか、「愛」の話をしています。
ただそれは書き進めていくうちに、ゾンビに対する、コミュニティに対する、いつも遊んでくれる仲間に対する、「愛」の話へと膨らんでいったように思いますが。
いつもの皆んなと、そして未来でこれから一緒に遊べる方たちに、この記事を通して少しでもその「愛」のような何かが伝わったのなら嬉しいです。
そしていつの日か、皆さんがこの生暖かい地下墓地フォーマットに堕ちてくることを、z民一同お待ちしております。
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました。
Zombie bless you.
ふししゃでした。