ぞんびのリミテッド大考察『サンダージャンクションの無法者』序文
Welcome To New Fronteerr!
どうもお久しぶりですぞんびです。
正直ずいぶんスパンの短い記事となりましたが、もう間もなく今年2個目のエキスパンションである『サンダージャンクションの無法者』の発売となります。
今回も『リミテッド大考察』シリーズとして、エキスパンション全体を踏まえたカード評価をやっていこうと思います。全9記事にもしかしてなっちゃいます?ボーナスシート+速報で2段階の追加となっているせいですね。結構お気が重いw
まず最初となるこの記事では『サンダージャンクションの無法者』(以下OTJ)全体の能力や特徴や気づいたこと、そのそれぞれの分析や考察をしていこうと思います。この記事シリーズの目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。
また、今回はプレビュー期間開始のタイミングで以下の記事も書いています。プレビュー期間中にどのようなことを考えてみているか、を書いてみた記事ですね。それだけでなくその時点での各種メカニズムの雑感なども書いているので是非合わせてお読みください。
【リミテッド大考察】特別編サンダージャンクションの無法者 ”プレビューの荒野での心構え”|Zombie (note.com)
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カード個別評価多色+その他編はこちら
カード個別評価ザリスト+速報編はこちら
カード個別評価アルケミー編はこちら
前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際に今回のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。
1:サンダージャンクションの無法者とは何なのか
およそ2年ぶりとなる完全新規次元が舞台となるセットです。また、『ファイレクシア戦争』以降初となり、『もともと文明がない未開の次元だったが、戦争の影響によりヒト型種族が入り始めたことにより急速に独自の文明を発展させている最中である』という今までに見ないかつ意欲的な設定を取り入りれたセットとなります。
ギルドや部族のようなカードタイプや色などの属性に関係する偏りや特徴は少ないもののセット全体を『西部劇/アメリカ開拓時代』のデザインが貫いており最近連続している『トップダウンデザイン』のセットになっているといえます。
カード名やメカニズムでかなり毛色が強く出ている気がしますね。クリーチャータイプとかも『変な砂漠モンスター』系のタイプ多いですし。
2:新規メカニズム『無法者』
『サンダージャンクションの無法者』の名前が示す通り”無法者”それ自体が今回のメカニズムとなっています。
以前のゼンディカーでもあったように”悪っぽい部族”5つを『無法者』というカテゴリーに入れて、それらを参照したり条件とするカード群が存在します。
パーティと違う要素としては『無法者を全種揃える』必要はなくそもそも『種類数を問う』ことが無いことですね。あまりそこに気を使わず取っていいのでかなり使いやすくなっています。
その分そもそもセット全体で『無法者』参照のカードは少なく15枚しかなく、そのほとんどが黒と赤に偏っています。全体に広がっているメカニズムではなく事実上黒赤のメカニズムといっていいでしょう。緑に1枚もないですし。
無法者として扱われるカードも緑と白には『ヒト型ではない砂漠のモンスター』が多く割り振られていることもあり少なめに感じます。
カード評価の際には赤と黒で無法者であるかどうかは意識をして、それ以外は無法者だったらラッキー、くらいになるでしょうか。
プレビュー開始時点で思ったより影響が低かったです。
3:新規メカニズム『悪事を働く』
これも『悪っぽいイメージ』をかなり担ぎ出しているメカニズムです。
『相手本人、あるいは相手の何かを対象に取る』ことを”悪事を働く”と呼んでいます。それを条件とした能力の一群ですね。
これも青黒に大きく枚数が偏っており、そのアーキタイプだと呼んで良さそうです。直接的なアドバンテージになるものや打点の追加になったりするものから、『悪事を働かないとそもそも使えない』タイプの効果もありますね。
ポイントとしては『悪事を働く』のには大体マナを使うし、カードも使うことになりやすいということです。継続して損なく悪事を働き続けるのは難しいということですね。そのため『悪事を働き続けることで強いカード』のような能力のカードは結構厳しい評価をつけることになるかもしれません。
継続的に悪事を働くカード、は特に青と黒のデッキに関わるカードは評価が上がりそうです。
また、”悪事に大体マナがかかる”関係で悪事を条件とするカードも事実上マナがかかることになることにも気をつけたいです。ドロー系の悪事効果は『マナを使いながらついでにドローできる』ともいえますが、逆に言うと『ドロー前にマナを使わされる』とも言えます。見た目以上に”ゆったりとした”動きになってしまうということを評価中に気をつけたいですね。同じく、悪事をしながら展開するなども難しそうです。
今回はこれのために、様々な『普段別に対象を取る必要がない』呪文が対象を取るようになっています。ちゃんとしっかり見て判断しておきたいですね。
4:新規メカニズム『計画』
クリーチャータイプや対象の言いかえなどではない、真の意味での新規メカニズムかもしれません。
過去の待機や予顕に非常に似たメカニズムですね。
先に計画コストを支払って追放しておくと、以降のターンでそれを0マナとして使うことができます。コストの先払いという感じですね。
プレビューの時にかなりいろいろ既に書いたんですが、まずやはり『極端に計画コストが本体コストと離れている』ものはほぼなかったです。そのため『ただ計画する』ことはそれだけではあまり意味がない能力だともいえます。
しかし、サンプルで紹介している金貸しザメのように『計画することで自身の持つ能力を使いやすくなるカード』や他にも『計画した時点で呪文のような効果を発揮するカード(計画の隙を減らせる)』があったりアーキタイプとして『呪文を2個唱える』『自分ターン中に呪文を唱えない』など計画を必要とするものもあります。
計画はただ使うと『マナを払って効果が得られないターン』が存在するという意味で非常にテンポが悪く、盤面/ライフを犠牲にしやすい能力です。その後手に入る効果も『コストに対して非常に大きい』わけでは特にないので漫然と使っては『先払いによる負債』が積み重なってしまうのではと思います。
そのため、ちゃんと『計画により手に入る恩恵』を意識したプレイングをしたり、そのすきを減らせるような(壁役など)を取っておきたいですね。
赤青の『2キャスト』シナジーと関連性が深いテーマですが、『2キャスト』要求カードは割と4マナに多い一方であんまり『3マナで計画して次のターンに即座に使いたい』カードが少なめなのは計画全体の特徴として意識しておくべきかもしれません。4マナで計画するカードが多いともいえます。4マナ計画は繰り返しですがかなり隙が多い行動なので環境序盤は『安直に計画を連打する』行為を付け狙うようなプレイングなどは結構意味がありそう。
5:新規メカニズム『乗騎/騎乗』
新しいクリーチャータイプと、それらが持つ起動型能力ですね。
騎乗Nは『パワー合計がN以上になるようにクリーチャーをコストとしてタップする』というものです。『騎乗された状態』自体には何の効果もないんですが、すべての乗騎は『騎乗された状態』であることで解放される能力を持ちます。それらの効果のために騎乗が必要という一種の制限ともいえますね。
騎乗にはまず殆ど『乗騎のサイズ』を直接上げる効果がありません。そのためたいていの場合は『騎乗すると相手に与える総ダメージが下がる』ことになると思います。自分のブロッカーも減ってしまう為この能力もだいぶ『盤面のやりとり/ダメージレース』の上でテンポが悪い能力だと言えてしまうと思います。ここを補えるようなタイプの乗騎は必然強い扱いができますね。また、『出した直後のクリーチャー』も問題なく騎乗でタップできるので、そこを意識するとまた変わりそうです。
シンプルに使うとこれも計画と同じくテンポロスになってしまいやすい能力だと思うので、テンポロスを発生させづらい乗騎をちゃんと探していきたいです。
6:新規メカニズム『放題』
プレビュー段階では出てなくて触れれなかったメカニズムです。
インスタント/ソーサリーの呪文のみについている能力で『コストと効果を自分で選べる』呪文ですね。
カードの右上に書いてあるのはいわば”基本コスト”、丼でいう米の部分です。そして自分がオーダーできる具材と値段が下に書いてあるわけですね。具材は1個以上であれば何個でも選んでよくコストと効果をその分だけ増やします。卵を乗せてもいいし、カツを乗せてもいいし両方乗せて卵とじカツにしてもいいということです。ただし、同じ効果を二個選ぶことはできないのでそこは注意しましょう。
基本的にあまり注意も、リミテッドに置いての影響もないですね。コストと効果を小さいものから大きいものまで選べるキッカーめいた特性を持っている関係で、計画や騎乗で空きやすい隙をうまく埋めたり、『対象を取るモード』を選んで悪事を働いたりと他のメカニズムのサポートはややしやすいかな?という感じです。
ただし、対象を取った場合はその対象が解決前にすべてなくなってしまった場合は呪文全体が不適正になることは気を付けましょう。
ちなみに、この記事シリーズでは原則複数の選択肢を選ぶことを『1放題する、2放題する』と呼び、すべての選択肢を選ぶことを『やりたい放題する』と呼ぼうと思います。
7:再録メカニズム『砂漠』
アモンケットからの再録の扱いである『砂漠』というメカニズムです
土地につくサブタイプの一種で、原則として『砂漠であること』そのものに効果などは一切ありません。今回存在するいくつかのカードで『砂漠を参照する』カードがあるという形ですね。
アンコ/レア以上にはほとんどなく、特に洞窟や門にあった『砂漠ラス』や『砂漠ドロー』といったインパクトが大きいカードがないため『砂漠デッキ』といったアーキタイプは基本的に存在しないと思います。緑以外のカードの砂漠参照もパッとしたものがなく、緑のカードで土地をサーチするときの選択肢として『砂漠を選べる』ということになっているだけという感じがします。
しかしそれが結構大きい影響ですね。緑は『無法者』も『悪事を働く』ことも色として両方苦手です。無法者に指定されているクリーチャータイプはどれも緑っぽくありませんし、緑は相手に干渉するタイプの効果に乏しいからです。そのためこのままだとOTJのメカニズム二つに関与できなくなります。しかし今回は『戦場に出たときに対戦相手を対象とする』砂漠があります。これらによって土地サーチを行う=悪事を働くことになれるのでデッキを組む際の選択肢が増えるということでしょう。
ただし、これらの砂漠は二色サポートでもあるし、そもそも緑以外の悪事を働くデッキも欲しがるカードです。洞窟や門などより競争が激しいといってよさそうです。
8:リミテッドアーキタイプ
定例の項目ですね。『2色の組み合わせ』で10通りのアーキタイプが用意されています。
一つずつ説明していきます。
白青:自分ターン中に手札から呪文を唱えない
いきなりわかりづらくふわっとしたアーキタイプですね。『このターン中にあなたが手札から呪文を唱えてないなら』という誘発条件を持ったカードが複数枚存在します。
ただ呪文唱えないだけなら得する以上に不利になるだけなのでどのように『唱えないか』が重要ですね。具体的にはインスタントを構える/計画をする/起動型能力を使うといった手段と併用することになります。そのため特に計画系のアーキタイプとはほぼ重なっているといっていいんじゃないでしょうか。マルチアンコ自体は強めなものの、誘発条件を持つカード自体が少なくパッとしないので『計画を交えたコントロールデッキ』のサブプランとして使用されることが多そうです。
長期戦系のデッキだと『必然的に呪文がない時にも効果がある』カード群だといえるんでそうなりえるデッキにタッチする形でも見そうです。青白唱えないデッキ!とかは正直難しそう。
青黒:悪事コントロール
悪事を働くシナジーメインなんですが、『長期戦向け』なカードと効果が中でも多い気がします。あるいは悠長と言えるのか。起動マナが重かったり、盤面に直接影響するものでなかったりとですね。
そのため焦って悪事をするのではなく、悪事カードや盤面を整えて一斉に悪事する、という視野の長いデッキをイメージしています。
この色には2枚も『コモン・1マナ・防御的なコンバットトリック』のしかも優秀なものがあるのが気になっています。受けるデッキ作りやすい色かも。
ただし、悪事デッキは脅迫の工作が取れないとピンとこないかも。
黒赤:無法者
サンダージャンクションの”無法者”のメインテーマといえ...る?
各種無法者クリーチャーとそれらを参照するカード群で構成されています。色の特徴上アグロっぽくはなりますが、無法者参照カード自体がコモンに少ない関係でうまくまとまってない可能性もあります。
小粋な仲間、ナイフによる脅迫、陽気な擲弾兵 薬瓶砕きはどれも無法者シナジーを持ちながら攻撃的な性能が一貫性があり強いアンコモン群といえます。これらが取れているときは無法者に気を配り、またこれらが来てもいいように無法者を揃えておくということになるんじゃないでしょうか。
後者2枚は悪事シナジーとも兼用しているためそれらのカードも気を付けておきたいですね。
赤緑:パワー4以上
伝統の赤緑のアーキタイプですね。パワー4以上であるカードを条件としたカード群です。
過去にあまり大成したことが無いアーキタイプですが、今回も”アーキタイプとしては”あまり大成しない気がします。参照するカードが少なく影響が少ないためですね。特に赤にはなんと1枚しかなく、マジ?って感じです。
しかし一方でいいこともあり、『普通にパワー4以上である緑のクリーチャー』が今回豊作なことですね。無理にパワー4を求めなくても勝手に満たしてくれる。そのためパワー4以上アーキタイプというよりは『緑に、一部条件があるカードがある』程度の認識でいいでしょう。
ただし百発百中のカクタスフォークだけはべらぼうに強いカードです。これがあるときはちゃんとアーキタイプ名乗っていいかもしれません。赤側にパワー4が少ないのでやはり緑タッチ赤の形になるとは思いますが。
緑青:計画
計画を参照するカードが多いというよりは『計画を持つカードが多く』『それによって緩やかなシナジーとなる』という感じですね。青白の『手札から唱えない』を一つまみ、青赤の『呪文を2回唱える』を一つまみ、みたいな感じで青という色全体の越境性が集まる感じがあります。青も緑も計画カードをメインに取っていけば必然青側のカードが使いやすくなるでしょう。
また、クリーチャーの肉質がいい色二つの組み合わせと今回なっています。そのため計画による最序盤のテンポこそ失うものの、中盤以降まくる形の一種のランプデッキのような動き方の構造はとれそうです。
灰毛の天才、オーロック博士はちなみにやばいカードです。流れてきたら計画デッキ一直線でいいかも。
青赤:呪文を2回唱える
これも伝統的な青赤のアーキタイプですね。今までは基本的にリミテッドでは成立させづらかったのですが今回は『計画』により大幅にそれがやりやすくなっています。『二つ以上』を必要とする呪文を使うターン中に計画呪文を追放から唱えることによって自然に条件を満たせますね。特に今まではそういうカードは『それ自身を唱えたターンに誘発させれない』ことが多くそれだけで使いづらかったです。計画によるフォローができるのはかなり画期的ですね。
赤に計画カードが緑と同等の枚数配られているのもその動きを暗示していますね。
計画カードの中でも金貸し鮫のような『1枚目でも2枚目でも優秀なカード』はかなり大事になると思います。
赤白:傭兵トークン
『タップすることで他のクリーチャーのパワーを上げる』効果を持つトークンの生成とそれの活用が行えるアーキタイプです。
このトークンの活用法は多岐に及んでおり、アーキタイプとしてみても非常に越境性が高いものだといえます。生贄、無法者カウントは他のアーキタイプとの越境がある部分です。更に『横に並べて全体強化』『強い1体を集中強化』の両方の戦術が取れるのが既存の横ならべ系戦術と比べて一線を画しているといっていいかもしれません。プレイヤーの腕と理解が出るともいえますね。
白黒:生け贄
これも白黒伝統といえるアーキタイプです。ただし今回はまたいつもよりややいびつな構造ですね。
生贄系のカードがそもそも多くないです。継続的な生け贄を必要とするのは3枚程度で、そうじゃないものも数枚しかありません。クリーチャーの死を利用するカードも正直少なく、あんまり『生け贄でアドバンテージ!』って感じにはなっていないと思います。
赤か白の傭兵生成カードに対してタッチで白黒のマルチを入れるなどして『アーキタイプに寄生』する形で使うカードが多くなるんじゃないでしょうか。
黒緑:墓地活用
これもいつものやつですね。しかしいつも以上に全然『墓地を気にするカード』がないです。血トークンや探検といった墓地を増やしやすいメカニズムもないので全然まとまってない気がしますね。諜報/切削がついてるカードが少しあるので、それらで墓地が都合よくなったらラッキー、そうならなくても普通に戦ってその流れで悪地の回復やラトスタインでアドバンテージゲットできればオッケーって感じの戦い方になると思います。その2枚がかなり強いので”アーキタイプとしてまとまってはいない”が色としては扱いやすいって感じになったりするんじゃないでしょうか。今回全体的に強いレジェンドが多いのでそれらを再利用できる黒+色マナサポートの緑という組み合わせにも合理性があるかもしれません。
9:プレイブースター封入割合
今回も引き続きプレイブースター形式です。
ですが前回からまた封入スロットや入っているカードが変化していますね。
これは今後毎回このように微調整(そのセットに含まれているボーナスシートなどで)していくと思うのでその都度確認していきたいです。
今回は画像がないので文面の引用を公式記事より行います。
まず、コモンカード用枠が1枚減っています。最低で5枚しか出ないことがあり得るようになりました。かなり衝撃ですね。
その代わりになるのが『速報』カードです。ミスティカルアーカイブの互換品ですね。過去のエキスパンションからの再録カードです。今回は『西部劇/開拓地のニュースっぽいフレイバー』で味付けされているだけで得に特徴が統一されているわけではありません。しいて言えばクリーチャーは1枚も存在していませんね。そのためデッキに含まれる呪文の質と量はちょっと上がりそう。
また、今回は不特定枠からファストランドが出ることはありませんが、『コモンの2色砂漠』は土地枠から出るようになりました。2回に1回なので結構出るんですが、悪事や緑系デッキでの取り合いになるので競争率はかなり激しいと思います。
他は概ね変わりませんが、やはり『速報枠』の影響は大きそうですね。強めのカードが結構多いのでカルロフ邸の時以上に『カードパワー』優先で高めの環境になるかもしれません。多色の除去などが非常に多く含まれてるので多色デッキも正当化されやすいかも。
ザ・リストであるスペシャルゲスト/ビッグスコアもカルロフ邸のそれより明らかに平均点が高くなっています。遭遇率自体は高いとは言えないと思いますがドラフトプール全体のカードパワーの上昇は確実に起きると思います。
10:各気づきポイント
ここから下はいつものように、カードリスト全体を見て気づいたポイントをまとめていきます。いつも通り後々追記する可能性もあります。
・コモンアンコモンのパワー
カルロフ邸の頃からすでに予言を筆者含めドラフトプレイヤーたちがしていましたが、カードが強くなっています。カルロフ邸の頃は『じわじわ』といった感じでしたが今回は明確に『ラインが上がった』と感じました。
特に白、緑あたりの『アーキタイプがコンボ的ではない色』で顕著に感じますがコモンに『”今までの感覚では”デッキに絶対に入れたくないと感じるレベルのカード』がほぼ存在しなくなっています。赤や青などはコンボ用のカードがそのコンボ自体が弱そうなどの理由で評価を下げているカードなどもありますが、それでも単純な『そのコンボをする上でのパワー』などは高く、全体的な水準が明確に上がっていると断言できます。
そのためカルロフ邸の頃にも触れましたが『今までの感覚ではなくこのパワーアップした環境での相対的な強さ』について触れていかないといけないと思います。具体的には『ただ除去というだけでは弱い』『3/3/2,4/4/3のような今までは水準と感じていたスタッツの評価を下げる』といった形で今回表すこととしました。自分より一回りコストが低いカードと相打ちするカードはかなり怖いですね。
また、その影響で『相手よりも少ないマナを使う』リスクが増えてるように感じます。純粋に2<3<4とカードパワーが上がっているためですね。計画はこのスケールに当てはめるのがちょっと難しいです。特に4マナの計画達は『4マナ払って好きだらけ』である一方で『4.5マナ相当のカード』でもあります。盤面の強さは最終的に計画したほうが強くなるので一時的に減るライフを許容できるかということですね。これを埋めるライフゲイン付きだったり強固な防御能力のカードや、この隙をつく直接打点で詰めるカードなどの評価は上がりそうです。
アンコモンもかなり強くなっていますね。後述する部分にも関わってきますが『回ってきた強いアンコモンに沿ってデッキを作っていく』ことは多々出てくるんじゃないでしょうか。コモンと違って収録枚数減らされていませんし。
とにかく評価/ピック/プレイをする上で『以前強かった特徴のカード』の蜃気楼を見るのではなく、今このサンダージャンクションで回りと比べてどうなのか、タフネスや出力は足りているのかということをいちいち吟味し直しておきたいです。
・クリーチャーのサイズライン
今回は変装などのイレギュラーもなく、更に言うと探検などのような『クリーチャーのサイズに直接影響する能力』も傭兵くらいしかありません。そのためかクリーチャーはかなりシンプルに『マナが1マナ増えるごとに1サイズあがる』といった感じになっていますね。どの色にも4/3/4(以上)+メリットクラスは当たり前に存在します。さらには4/4/4+αも出てきていますね。そのため『能力は弱いが3/3/3だから強い』のような今まではサイズが一種の能力だったといえるラインは引き上げられています。正直3/3/3で大したメリットがないなら弱めだといわざるを得ないかも。
4/4ラインまではどの色も伸びますが4/5及び5/4の『5の数字』に到達できる色は青が脱落します。赤も4/5であり、攻めきるには不安なサイズとなってしまいますね。緑だけこの『5の壁』の団子状態を抜け出し5/6/5、6/7/7(相当)といった壁の向こう側のサイズを手に入れることができています。今回の緑は蛇川のヴェールがあり除去耐性も高めだといえるためやや遅いゲームをする場合にはこの緑のサイズ感に付き合わないと半端な盤面のデッキはだめそうです。
レア以上のクリーチャーもサイズをウリにしているクリーチャーは珍しい&大体緑に属しますね。緑に対して攻めるデッキはいつも以上にコンバットトリックあるいは『突破する方法』『先に決まる必殺パターン』を意識しておいた方が良さそうです。
緑>白>青の順でクリーチャーのサイズ感は良好に見えますがこれらのサイズ感は実は計画に支えれらている部分があります。そのためそれら側は計画の1ターンを耐える手段がやはりキーになりそうですね。半端なアタッカーなどは逆に評価下げています。
・除去の強さ
白はいつもより強め、青はコンバットトリックが優秀な分強め、黒はコンバットトリックは強いが確定除去が弱め、赤は中型火力は強いが小型火力が弱め、緑は歴代最高クラスの除去をもらっています。
全体的には及第点に達していますが、特に『2Tに出てきたタフネス3』を処理する手段が極めて少ないことは意識しておきたいです。一部のシステムクリーチャーはそれを理由に評価を上げていますね。
更に『無法者』だとちょっと除去耐性になります。ここおぼえておきたいかも。アタックに参加する必要がなく(タップにならない)無法者でタフネス3、はちょっとした呪禁ですね。ちょっとした。
あとこれもここに書いちゃいますが、今回おまけでエンチャント/アーティファクト破壊できると便利そうです。エンチャント型の除去が結構な枚数あるので。
・閑散とした大荒野(アーキタイプ)
ここからがサンダージャンクションの本題かもしれません。
まず、アーキタイプの説明のところでちょいちょい触れてるんですが『今回は”アーキタイプカード”』の純粋な枚数は少ないといえます。例えば『呪文を2回唱えたとき』のボーナスカードや『墓地のカードを参照するカード』『悪事を参照するカード』のようなアーキタイプに沿った行動を直接参照/サポートするカード群のことですね。概ねどのアーキタイプにも5~7枚程度しかないといえます。そのため安直に『悪事と書いてあるカードだけ集めればデッキとなる』『計画デッキだから計画だけ集める』というようなアーキタイプ一直線のピックと構築はほぼ不可能といっていいんじゃないでしょうか。そのことからいつも以上に『それぞれのカードが何を行いどう強いのか』という点をちゃんと掘り下げて、ただ『アーキタイプの関連単語が書いてあるから取る』ではなくそれぞれちゃんと組み合わせたり、自分でアーキタイプを創り出す必要があると思います。
・三つ巴の大乱戦(バトルロイヤル)
上の状況をそもそもなぜそうなっているのかという点でさらに分析しました。理由としては実はサンダージャンクションは10のアーキタイプではなく『3つの陣営』によって分割されているということが見えてきました。
まず、青の『計画陣営』です。青が関連するアーキタイプである『計画』『2回唱える』『自ターン沈黙』は実はやっていることがすべて同じです。計画をすれば次のターン2回唱えれるし、自ターン沈黙したことになる。沈黙してカードを溜めれば2回唱えることが楽になる、という感じですね。それぞれのアーキタイプ用のカードなども互いにかなり相性が良くなっていますね。そのためこれらは『青を中心として計画というカードをうまく使う陣営』と定義して呼ぶことができます。
次に黒を中心とした『悪い陣営』です赤黒のマルチががそもそも悪事と無法者サポートを兼ねているようにこの二つのアーキタイプはかなり重なっています。更に傭兵トークンも無法者サポートになっているといえますね。なので黒を中心として『赤白黒のマルドゥカラーの”無法者”』『赤黒青の”悪事”』の2つが重なり合って『黒中心の陣営』となっているといえます。ちょっと青が浮き気味ではある。白は悪事働けるけど青は傭兵出せないから。
そしてここから余った『赤緑』『緑白』『緑黒』はそれぞれ『緑のクリーチャーの質/乗騎/砂漠サポート』を混然と使う『クリーチャーのサイズとスケール感メインの第三陣営』といえます。
この3つの陣営で分けて考えると、一つの色の中で越境しているように見えるカードもこの陣営のどれかの中に納まっていたり、また重なるところがあってまとまっていることが分かると思います。これらを意識することを筆者としてはかなり推奨したいですね。
・荒くれ達の交差路(ジャンクション)
そして上の情報から導き出される情報がもう一つあります、それは『青と黒の陣営の中心となる色』と『白赤(緑)の陣営が入り混じる色』が存在するということです。カードリストを見たとき”まとまらないな”と感じたり”妙にシナジーするな”と思うことがあったらこれが理由かもしれません。青いカードは殆どが”計画”というキーワードを軸にまとまっています。一方で白は『乗騎』『傭兵+無法者』『計画』『生け贄』とカードの役割が散らばってしまっている部分ですね。
ピックやデッキを組む際にこの『中心色』と『ジャンクション色』で分けて考え、例えば『白中心にした3色デッキで”青白緑”などはまとまりが悪いが青を中心とした青白緑はまとまりがいい』などの意識を持つべきでしょう。ここを意識してると3色とかも結構組みやすいんじゃないかな?
・試される自分流の悪事(オリジナリティ)
3つの陣営に分かれているということは、逆に言えば『2色単位ではっきり分かれていはいない』ということです。繰り返しになりますが。
それによって何が必要になるかというと、デッキを組む際に『自分のデッキが今どの割合でどの要素を使用していて、どのパーツが必要か』をしっかりとらえて、場合によっては『自分の考えるオリジナル/裏アーキタイプ』に辿り着く必要があるということだといえます。例えば青赤は今回通例に反してアグロ系ではなくやや緩やかなコントロール寄りのアーキタイプだといえます。でも無法者パーツなどを併用したり軽量部分で組み立てることで『青赤計画アグロ』のようなデッキも可能だと判断しています。緑もただのマナ加速ではなく悪事を行いマナ加速/テンポ面を向上させるデッキなどもあり得そうです。そのように『陣営ごとに共通している要素』をうまく引き出して自分の望む場所でジャンクションさせたり、あるいは特定の強いカードを活用するオリジナルアーキタイプは見つけておいた方がいいかも。
筆者が今思いつく限りでは『計画よりも早く殴る』ことを意識したアグロ系デッキ(赤青、赤単等)、砂漠ランプ(色ぐちゃぐちゃ)、白黒フライヤー(絆魂と牛のライフゲインで耐えて傭兵でパンプ)、などがあります。他にもかなりあると思います。
・デッキを導く独自性(ポテンシャル)
ただオリジナルアーキを組んだりアーキタイプを調整しようとしてもやはり難しいです。そこで『コモンアンコモンの質が上がっている』点に目をつけます。特にアンコモンはまず2色のアンコモンがほんとにどれも強く、しかもどれもシステム系のカードばかりなのでシンプルにデッキに方向性を与えてくれます。他にもアンコモンにはそこそこの枚数『アーキタイプをけん引する』力を持ったカードがありますね。これらのカードが流れてくるか/取れるかを基準にまずは組み立てるとやりやすいんじゃないでしょうか。
・テンポからの脱走劇(ブレイクスルー)
今回戦略を考える上での引き出しとして明確に持っておく必要があるかなと思う部分です。ここで、及び記事の他の部分でいうテンポは概ね『盤面を強化する速度/効率』を指します。
今回は愚直に土地を置いて順番にカードを唱えていくだけでもある程度盤面はきちんと大きくなります。3マナでは3/3、4マナではちゃんとパワー4という感じですね。しかしその一方で緑以外はそこである程度サイズが頭打ちになってしまい互いに同じような盤面強化しかできない時間になってしまうと予想しています。
緑及び青はそこで自らテンポをゆがめて『4マナ計画』をすることで5ターン目に4.5マナ相当+5マナで動くことを可能にしてライフレースをある程度犠牲にテンポで優位に立つことができます。筆者としてはまだ環境全体像がに確信がないですがビートダウン側がきちんとこの『4マナ計画の壁』のリスクを押し付けて、『4マナ計画という行動自体』が弱いものになるかならないかでかなり環境感が変わると思っています。緑側はこの『自分が有利になるテンポとなる場面まで逃げ切ることを』そうじゃないデッキは『5T目を迎えても負けないようにこちらもそれより手前でテンポスイングする』ことを目指すべきかなと思いました。
・油断大敵の構え合い(ガンスリング)
プレイング上でのかなり重要な注意点ですね。『インスタントを構える』ことのリスクが今回大きくなっているという話です。もっと言うと『打消しや”相手が強いクリーチャー出して来たら使う予定の除去”』を構えて自分の展開を止めて構えることのリスクですね。
具体的に言うと計画です。計画は先にコストを支払ってあとからカードが出てくる能力なのでこれに対して除去を構えてしまうと『相手は先にマナを払うがこっちは構え損、次のターンカード2枚に1回の行動で対応しなくてはならない』という構図になってしまいますね。普通に損ですし、それこそ計画をする隙をみすみす与えてしまいます。
計画は結構4マナが多いことを加味すると相手が4マナ目を迎えるターンで構えたりそういう使い方がメインになるカードはちょっと考え直すべきかなと思います。4マナで普通に出せるカードを入れようということでもありますね。
逆に相手の構えを警戒する場合も4マナで『普通に出す』『計画する』の選択肢があるといいかも。
とにかく『インスタント除去持ってるけど相手の盤面に除去したい相手がいないからとりあえず構えとこう』みたいな考え方はかなりやめた方が良さそう。
・眠れる大地の大財宝(ビッグスコア)
今回の『ザ・リスト』枠のうち3/4でビッグスコアと呼ばれる特別なカード群が出てきます。どれも一律神話レアで、本来独立したエキスパンションになるはずだったものから抜粋されての収録となったみたいですね。
レアリティが高くどれも『構築目線で見れば』特徴的で強力なカードが揃っていますが『宝物庫から手に入る財宝』というフレーバー及び『本来独立していた』ことからか効果の方向性がOTJ本体とはあまり連携がとりづらい効果、もっと言えばアーティファクトシナジー効果が多くなってしまっていますね。さすがにそれらを単独で運用するのも難しいですし、出現率の問題からそれらを集めてアーティファクトシナジーデッキを作るのもちょっと現実的ではないと思います。
それでもちゃんと単独で強いカードは一定数あり、砂嵐の回収者のような『単独でアーキタイプ』となれるカードも存在しています。それらのようなカードをしっかりと評価して時にはオリジナルアーキタイプとして用いるとちょっと差がつきそうですね。
また、別種のボーナスシートである『速報』の影響もここでまとめちゃいます。
こちらはビッグスコア以上にシンプルに使いやすい呪文が多くなっています。実はかなりの割合が除去になっており、黒い除去の弱さなどここで補われているように感じますね。具体的には各色2枚+多色10枚で合計20枚存在するアンコモン速報のうち16枚が除去です。速報は各パック必ず1枚(以上)あり、なおかつその2/3はアンコモンになります。つまり1ドラフトにつき12枚以上速報の除去が出るといえますね。かなりの割合だと思います。コモン並みに出るので各色の除去の強さはここと比較をちゃんとする必要がありそう。もしかするとかなり除去が飛び交うセットかも。
多色カードがとにかく多いので『青中心』『黒中心』『緑中心』の上で3色デッキを組んでこれらのカードを積極的に拐取することはかなり正当化されそうです。
・限りある恵みの砂漠戦(テリトリー)
今回は一応砂漠シナジーがありますが、ほぼほぼ『緑の能力の一部』として取り込まれているのは前述したとおりです。
では、緑のみが砂漠を扱う権利があるのかというと全然そんなことはありません。
前述した通り今回は多色化の恩恵が結構大きそうです。更にコモンの2色砂漠はどれも『悪事を働く』効果を持っているのでかなりいろんなデッキが積極的にピックしに来るんじゃないでしょうか。かつての氷雪を超える人気度になることを予想しています。緑は多色化/砂漠を活用できるのが利点の一つであると思うので、枚数が多く必要ではないものの(砂漠の枚数を数えるカードはないため)1枚目、2枚目の確保は結構早めにやってもいいかもしれません。
以上で『サンダージャンクションの無法者』の序文を終わろうと思います。
ちょっと他にやることあって後回しにしちゃってたらまたリリースが目の前に来てるので、これから頑張ろうと思います。というかほんとカルロフが短かったですね。
最後になりますが二つ宣伝です。
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それでは、次の記事でお会いしましょう