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【ドラフト】『アルケミーホライズン:バルダーズゲート(序文)大考察』

こんにちは、ぞんびです。

バルダーズゲート!開門!
いろんな意味で超特殊セットと呼ぶにふさわしいMTGA専用デジタルセット『バルダーズゲート:アルケミーホライズン』がいよいよ登場します。通常のスタンダードのローテーションには加わらないカードセットですが、リミテッドを意識した設定になっているということでこのリミテッド大考察の記事シリーズで取り上げる対象としました。

今回も、この序文に先駆けて”特別編”で、プレビュー期間の過ごし方やその段階でわかる情報のまとめの記事も書いていました。ぜひこちらも併せてご覧ください。
『【リミテッド大考察】アルケミーホライズン:バルダーズゲート ”プレビューの地平線の眺め方”』



カード個別評価白編はこちら
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カード個別評価緑編はこちら
カード個別評価多色+その他編はこちら

前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際にアルケミーホライズン:バルダーズゲート環境のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
  専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
  越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。

今回の考察記事序文ではセット全体のメカニズムに対して大まかにリミテッドでの影響を述べていきます。プレビュー記事でも触れた部分ですね。そしてその後カードプール全体を見て僕が気付いたこと/違和感とおもったこと/気を付けるべきと感じたことなどを纏めていこうと思います。この記事の目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。
また、今回のこのセットは、現行スタンダードのセットである『フォーゴットンレルム探訪』のカードの再録も多く含んでいます。過去記事になりますが以前の大考察もリンクを置いておきますので、参考として必要でしたらぜひお読みください。そのうえで、今回の記事の中でもそれらのカード群に対しては過去の扱いや、今回評価を変えるべきポイントなどについて触れていく予定です。
【ドラフト】『フォーゴットン・レルム探訪大考察(序文)』


1:新規キーワード『専門化』

アンコモン以上の伝説のクリーチャーたちに配られている新規能力です。
『専門化 マナコスト』という風にあらわされており、マナコストの支払い+手札を捨てることをコストとしています。捨てたカードの色あるいは基本地形タイプによって、5色のいずれかの姿に変化するという能力ですね。
変化後は以下のように変わります。
 ・マナコストは、対応する色のシンボルが1個増える。
 ・サイズはおおむね上昇。変更がない場合もあり。
 ・効果が変更。『5色すべてに共通する効果/条件+色ごとのアレンジ』という形
です。専門化前も何らかの効果を持っており、専門化後とシナジーがあるようになっています。サイズアップに加えてアンコモン以上の、しかもアルケミー専用カードにふさわしい強烈な効果を持っており適切に専門化することができれば一気にゲームを決定づけることができそうです。
ポイントは、一見単色のように見えて5色のように見えて実は2色のカードであるということですね。5つ分の効果を持っていますが、実際にはデッキに入れる際に2色に絞られるという意味です。ピック中も『どの2色のつもりでピックしている、あるいは受けを広げれるか』は大事ですね。カードごとに『どの色として使うのが強いのか』はこの事前評価の時にしっかり触れたいです。
評価の軸としてはまず『その本来の色の効果が強いか』があります。もしそうでない場合は2色目として強い色を選べるかどうかに強さが依存してしまい、ピックが手狭になってしまいますからね。白青、白黒、白緑、白赤のどれとして使ってもいいカードと、白黒でないと弱いカード、明らかな差が出るということです。
また、専門化をしなくても一定の戦闘力があるかは大事ですね。専門化は強いものの、1枚のカードを場に用意するために2枚分のマナ+手札を使っているので軽々にできる行為ではないと判断しています。そのため、出してすぐ専門化する動きを強要されないような、専門化前でもしばらく戦えるカードだとより強さを引き出しやすいですね。
補足として、リリースノートなどがまだ出ておらず、注釈文などもないため専門化が具体的に『どのタイミング』でできる能力なのかはわかりません。『インスタントで起動できるかどうか』『スタックに乗るのかどうか』が不透明であり、それぞれどうであるかで評価が大きく変わると思っています。インスタント起動できれば、隙が無く専門化できて大きなプレッシャーとなる一方で、スタックに乗る能力の場合は専門化対応で除去を打たれると負けに直結する損害となります。この辺りはリリースノート発表され次第確認したいですね。
全体的にはテンポを失う代わりにカードパワーを得る、あるいはある種のマナフラッド阻止能力といえます。とはいえ専門化をした瞬間に急速に攻撃力を得るカードも多いため『中速にゲームレンジを近づけるが、明確なピークを設ける』という影響を環境に与えると思います。除去の要求度は高そう。


2:新規キーワード『二体掛かり』

1枚のクリーチャーが2枚分になる能力ですね。『アタックした時に、手札にこれの複製を加える。これとそれ両方は永久に複製を失う』というものになります。クリーチャーでの攻防が中心になるリミテッドではシンプルに強い能力といえますね。『攻撃』がテーマに設定されている赤白にほとんどが割り振られている能力であり、その攻撃性を大きく担っています。基本的には本来のマナコストより0.5~1程度弱いカードになりますが、それが2枚分になるなら十分元は取れていますね。平均値が高い能力だと思います。
とはいえ、2枚目を普通にプレイするのはややコスト的に損をするので、一時/永久修正カードや装備品を用意してちゃんと戦力に仕立て上げたり、攻め続けるデッキにして一貫性を持たせたり、専用化のコストにするなど用途をしっかりと用意することによって評価を底上げしたいですね。
二体掛かりはアタックした時点で誘発するため、一部の防御に使いたいコンバットトリック/アタック時の除去などの評価をやや下げますね。
注意点としては、『二体掛かりを持つカードが”永久に”の修正を受けた状態で二体掛かりで複製しても、”永久に”の部分は受け継がれない』ということです。パワーの上げ下げとかめちゃくちゃやりそうなんで気を付けましょう。


3:新規キーワード『恩恵』

あまりリミテッド的に分析することは少ない能力ですね。
『次にクリーチャーを唱えたときに』の効果を紋章のように得る能力群です。クリーチャーを強化する効果になっており、効果自体はリミテッドに合っていますね。とはいえ枚数もあまり多くないため、環境全体に影響を及ぼすなどはないと思います。それぞれ別個のカードのタイミングで評価していきましょう。


4:再録キーワード『当事者/出来事カード』

エルドレインの王権から再録となった能力であり、呪文とパーマネントがセットになったカードです。1枚で2枚分になる能力ですね。
そもそも2枚分になるという仕組みがリミテッドにおいては強力ですし、今回の出来事は枚数が少ないとはいえすべて統率者レジェンズ:バルダーズゲートから収録されておりある程度のカードパワーが保障されています。更にどれもクリーチャーがやや重く、その分強いものが用意されているので全体的にスローゲームでの活躍が見込めるでしょう。全体的に重いデッキを組むことを肯定しているように思います。



5:リミテッドアーキタイプ

今回はフォーゴットンレルム探訪とバルダーズゲートそれぞれから引き継ぐ形でリミテッドアーキタイプが10種用意されています。
とはいえ、これはAFRからの特徴なんですがアーキタイプの濃度がかなり薄めですね。それぞれのアーキタイプを明確にやる理由になるカードが多色のアンコモン+1,2枚というものも多くないです。そのため、ほとんどの色の組み合わせではアーキタイプに直接こだわるのではなく『攻める側に回るアグロデッキ』『マナ加速するデッキ』『除去をかき集めたコントロール』などの速度ベースでデッキタイプを判断して戦略やピックをしていくべきだと思いました。
アーキタイプは以下になります

白青:明滅
  
”戦場に出たとき”の誘発型能力と、クリーチャーを一時的に追放/手札に戻す手段を組わせることで効果の再利用を狙っていくアーキタイプです。再利用するためのカードがコモンに合計3種+バウンス2種存在し、今回のアーキタイプの中だと断トツで『テーマでデッキをまとめる』ことができるアーキタイプだと思います。再利用したい効果のカード自体がやや少ないので、それらを先に積極的にとっていく必要があります。古代の伝承の僧侶は最優先ですね。白黒と共通点を持っていたり、古代の伝承の僧侶が緑白と共有できるためピックの柔軟性もある程度確保されており、今回筆者が最も期待しているアーキタイプの一つです。多色アンコモンである至極の刀、オージも使いやすく強いですね。

青黒:アタックをプレイヤーに通す
  
戦闘ダメージを与えること、およびそのためにアタックを通すことを共通点としたアーキタイプです。サポートカード自体は多くないものの、魂刀のスパイは依然として強く、それどころかバウンスやパワー低下カードの追加によってより使いやすくなっていると思います。最も強いカードであった黒のタリスマンが没収されているのはつらいところですが、青のクリーチャーがやや強くなっていることと合わせて除去+一部のクリーチャーのアタックという形に落ち着きそうです。魂刀のスパイへの依存度は高そう。

黒赤:宝物
  
フォーゴットンレルム探訪の時は最強と目されていたカラーリングですね。とはいえ追加されたサポートカードはあまりない反面、魔剣士などの潤滑油を没収されたり、コンボカードとして重要だった忠誠の代価も取り上げられて1マナ重くされています。宝物を作るカードも全体的に減らされているので明らかにパワーダウンを感じます。以前と同じ感覚ではピック出来なそうですね。追加パーツもほぼありませんし。

『赤緑青』:ドラゴン
  
全部まとめちゃいます。3色まとめてドラゴンアーキタイプですね。ただし、ドラゴンカードはそれぞれコモン/アンコモン/レアが『青:4/1/1』『赤:4/3/2』『緑:3/3/2』と心もとない枚数です。サポートカードも『青:アンコモンに2枚』『赤:コモンとアンコモンに1枚』『緑:アンコモンに2枚』『多色それぞれ1枚ずつの3枚』とアーキタイプとして成立してるか怪しいレベルだと思います。緑がらみの2色はランプ系デッキを意識し、青赤はきわめて強力なドラゴンの遺産、ローザンを活用した出来事コントロールなどを目指す形になるのでしょうか。3色もオーブを中心に集めてできそうですが今回は多色化にあまり向かないためやけどしそうです。ドラゴンにこだわらない、を合言葉にしたいですね。

緑白:ライフゲイン
  フォーゴットンレルム探訪の頃と比べてかなり原型が残っているアーキタイプですね。失うものばかりで得たものがほぼないのが厳しいですが、専門化の白と緑がライフゲインを割り当てられていることが多く、最も専門家カードを取り込めているアーキタイプだと思います。つまりデッキの最大値が高くなるかなと。赤黒がやや弱体化したことでクリーチャーメインのミッドレンジもやりやすくなっていることを期待していますし、白が強化されている恩恵を強く受けれるアーキタイプでもあるため引き出しに加えておきたいですね。


白黒:パーマネントが戦場を離れる
  サポートカードが極めて少なく、一見パッとしないアーキタイプです。とはいえ、相手を除去するだけでよかったり、他のアーキタイプ(宝物や明滅)と条件を共有できるためピック中に『唾を付けておく』感覚で使いやすいかもしれません。白か黒をやっている際に、多色アンコモンである無慈悲な魂、ミンタラを確保してなだれ込むイメージですね。さすがに強いカードなので。
除去とアドバンテージ面が最も優れた色である可能性が高いので、そのようなミッドレンジ構築もできるかもしれません。フィニッシャー不足感はあります。


黒緑:切削と墓地利用
  テーマとして言っていることはわかりやすく、またアンコモンを軸に有用そうなサポートカードもちらほら見えます。サポートカード自体が切削を内包してくれている場合が殆どなので、無理に墓地を増やすためだけのカード採用はしなくていいでしょう。専門化で捨てたコストなども活用できるのが追い風にも見えます。ミッドレンジ戦略の延長上として戦えそうですね。


赤白:攻撃
  二体掛かりをほとんど独占している色であり、故に攻撃を主張しています。二体掛かりや永久パワー修正などを活かして攻めを継続し続けて有利になるアーキタイプでしょう。二体掛かり絡みのレアやアンコモンがどれもきわめて強力であり、デッキ構築の上振れを狙いやすいように思います。その一方で二体掛かりのコモン群が有用であることなどから意識していれば下振れも回避しやすそうですね。このアーキタイプがどれだけ攻め力があるかで、他のミッドレンジ系全般の評価が上下しそうです。


6:各気づきポイント

ここからは、恒例の『カードプール全体を俯瞰してみて、いろいろと攻略の上で気づいたポイント』に触れていこうと思います。細かいものから大きいものまで混在していますがお付き合いください。

・除去の強さ指標
 フォーゴットンレルム探訪の頃からですが、やや大振りで範囲に不安があります。特にエンチャント形式の除去は今回明滅やエンチャント破壊で簡単に回避されそうですね。とはいえ新規追加された除去はどれも強力で、青のパワーマイナス永久修正も事実上の除去として増えています。意識してピックをすれば除去に困ることはそこまでないかなといったところですね。ただ一方でクリーチャー側には一部多色クリーチャーを始めとして存在を許すとすぐゲームが終わるものがある程度います。専門化もその筆頭ですね。確定除去などはしっかりとうち時を意識する必要がありそうです。

・レア/神話レアが強い
 まだ吟味が終わっていませんが、今のところ概ねどれも及第点を超えているように見えます。そのうえで100点満点みたいなカードも複数ありますね。今回のレア/神話レアがすべて新規+バルダーズゲートからの再録で構成されているため、エターナル環境/アルケミー環境水準のカードパワーになっているためと思われます。そのためレアや神話レアでひっくり返される試合が多そうですし、自分もできるだけ最初のほうにとれたレアを組み込みたいですね。確定除去や打消しの需要はいつもより高くなるのかなと思います。

・クリーチャーのサイズ感
 緑と青は概ねマナカーブ通りに伸びていくように見えます。しかし黒はやや不安定で、赤も4.5でタフネスがやや伸び悩みますね。赤と白に2マナパワー3があったり、永久修正などがあるため前述の特徴と合わせて赤黒白の相手なら自分よりマナ域が高いクリーチャーを打ち取りやすい状況になっているように思います。
 しかし出来事持ちなどでしっかりとサイズの大きいクリーチャーは確保できるため一度攻撃するテンポを失うと突破が難しいようにも見えます。幸い、飛行付与手段がいくつかあったりもするため、攻める側守る側共にサイズ以外の軸の戦いも意識したいですね。

・装備品の大幅削減
 以前は赤白のアーキタイプが装備品だったためその2色を中心に装備品が多く収録されていましたが、今回はそのアーキタイプの消滅に伴い大幅に削減されています。特に白に3枚あったコモン装備品は1枚まで(しかもあまり強くない)削減されました。クリーチャーのサイズは先述した通り突破しづらくはないものの、一度硬直した場はなかなか動きづらそうに見えます。結果としてレアや一部のカードパワーがものをいうゲームになりやすそうかなと予想しています。


・マナは潤沢だが多色は禁物
 
今回は青に1枚、緑に2枚、アーティファクトに1枚のコモンマナ加速があり、どれも及第点は超えています。そのためその2色を中心としたランプ戦術は成立するのかなと思います。その一方で土地に2色土地がないため、安直な3色以上の多色化やタッチは危険に思えます。強いレアもダブルシンボルが多いですね。アーティファクトに色マナサポート自体はありますがあまり強くないためできれば使いたくないです。2色でまとめることを強く意識したい環境だといえます。


以上で、序文パートは終わりとなります。この後は順次各色のパートを執筆していきますね。
未だ英語版のカードギャラリーしかないため、英語でカードを紹介していくことになりますが、これは順次日本語に差し替えても行くつもりです。その都合もあって今回はリリース後に記事を公開することが増えてしまいそうです。申し訳ないです。


最後になりますが二つ宣伝です。

意見交換やドラフトを一緒に観戦したり交流する場としてDiscordのサーバーを立ち上げました。

もしよければどなたでもお気軽に来ていただいて一緒に活動やご意見いただければMTGAのドラフトを楽しみやすいと思います。この記事を読んでいただいたことをきっかけにドラフトを始めてみたいという方もぜひ!

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また、筆者は非公認MTGA大会『まじ☆すと』というものを運営しております。Vtuber/配信者/動画投稿者/記事執筆者/etcと、インターネット上でMTGAの活動をされている方を広く集めた大会になります。ぜひこちらも公式アカウントから気に留めていただけると幸いです。



また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。是非よろしくお願いします!


では、次は白編でお会いしましょう

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