【ドラフト】『イニストラード 真紅の契り(序文)』
こんにちは、ぞんびです。
季節はいよいよ晩秋、季節を彩る紅葉を見る機会もあったのではないでしょうか?そう、モミジと言えば赤。赤と言えば真紅の契りですね。
そう、イニストラード:真紅の契り(以下VOW)の公式全カードプレビューが終了しました。ホラー次元であるイニストラード第二弾であり、吸血鬼たちの婚礼という目を引くモチーフを中心としながらもホラー成分もしっかり抑えられた大変に楽しみなカードセットです。ここでは恒例となる『リミテッド大考察』としていくつかMTGAのリミテッド目線の記事を書かせていただこうと思います。
※11/10 追記:濫用について記述を補足しました。また、除去の範囲の穴がもたらす影響についての項目を追加しました。
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前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際VOW環境のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、VOW環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。
また、今回のイニストラードはまた前回とは違う難しさ、カード評価のやりづらさを感じます。前回から引き続きとなりますが、『2色によるアーキタイプ』が成立しているものの、その押し出しが前回以上に強くないエキスパンションとなっています。特に対抗色のアーキタイプ用のカードと断言できるようなカードが少なめであり、それらを切り分けて綺麗な分析をしたり実際のピックでもそれのみを集めてデッキを決めるといったようなことはできないと感じています。
そのため、今回の考察記事序文ではまたまず今回の新規要素/継続要素(メカニズム)に対して大まかにリミテッドでの影響を述べたうえで、その後カードプール全体を見て僕が気付いたこと/違和感とおもったこと/気を付けるべきと感じたことなどを纏めていこうと思います。この記事の目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。
1:イニストラード 真紅の契りの全体構造
まずはVOWをセット全体としてみたときの全体構造や大雑把な特徴について述べていきます。
前回に引き続きもっとも特徴的なのが変身する両面カードの存在です。前回の繰り返しになりますが、パックへの封入率が特殊となっています。変身化カードは通常のカードスロットに封入されるのではなく、特別なスロットに入るからですね。そのため今回の1パックの封入は以下のようになります。
アンコモン以上の変身カード:1枚
コモンの変身カード:1枚
通常のレア、あるいは神話レア:変身カードがアンコモンであったなら1枚、レア以上であるなら0枚
通常のアンコモン:変身カードがアンコモンであったなら2枚、レア以上であるなら3枚
通常のコモン:9枚
基本地形:1枚
の合計15枚となります。変身カードは必ず2枚のみでコモンとアンコモン以上の組み合わせ。そして『レアが2枚出ることはない』というのもミスティカルアーカイヴとの相違点なので注意が必要ですね。
今回もコモンに2色土地はありません。前回に引き続き安直な多色化は厳しくなると思われます。これ以外の『プールに存在するカードの特徴』類は改めて気づきの項目で書かせていただきます。
2:新規ギミック・血トークン
今回の新規メカニズムの一つです。新規トークンタイプとなる『血』トークンを生成する能力と、それが存在することを参照する、あるいは生贄のコストとして用いるカード群になります。トークン自体も生贄に捧げることでルーティングを行う能力がありますね。
アーキタイプとして赤黒の、さらに吸血鬼に強く結びつけられているメカニズムであり他の色には生成するカードは極少数しか存在せず、また血を活用するカードも存在しません。よって、『血トークンを生成して効果を発揮する』カードは赤黒専用と思って差し支えないでしょう。その中でも血を活用するカードは特に黒に偏っています。赤単色には1枚しか存在しません。活用を狙うなら黒に触れる必要があると断言できるでしょう。
ただし、血トークンそのものは赤黒というアーキタイプから独立していると思います。ルーティング効果は効果は小さいものの汎用的な効果であるからですね。今回用意されているアーキタイプの中で積極的にルーティングを活用するものは10種の中で降霊だけですが、ゲーム中盤から終盤にかけてのルーティングそのものを一切必要としないデッキは存在しないと言っていいでしょう。環境速度自体はある程度早いものの極端にアグロ優位ということはないように感じています。そのため、長引くゲームにおいて手札の質を向上する役目はしっかり果たすタイミングがあるでしょう。
血を生成するカードは主に吸血鬼を前提としてはいますがその中でも単体で活用でき、他のデッキに血を提供することができるカードや越境性が高いカードの評価は底上げされると感じています。
3:新規ギミック・訓練
血が赤黒であれば緑白に配られた能力が訓練です。
攻撃時に誘発する能力で、訓練を持つクリーチャーよりも大きいクリーチャーと共にアタックすることにより”訓練され”+1カウンターを得る能力ですね。
能力としては拡張性(応用性)が低めの能力であるためか『条件付きでクリーチャーが大きくなる』以上の活用方法をされているカードは少ないです。概ね戦闘にのみ影響を与える能力という認識でほぼ問題ないでしょう。ただし+1カウンターを使う特性と、そもそも訓練の前にカウンターを乗せることにも意味がある(パワーが大きいクリーチャーを作れる)ためか+1カウンターを活用するカードも少しあります。
パワーを上昇させ攻撃させるという行動はリミテッドにおいては基礎的でありまた一般的には有利になる行動であるため訓練そのものによる影響や、訓練をするためにクリーチャーを大きくするという行動は無理なく組み込めるでしょう。
ただし、能力の特徴として『遅い』能力であることには注意が必要です。『パワーが低く、次のターンスムーズに訓練できるタイプ』はサイズが低すぎて1度訓練しただけでは影響を与えないことが多いです。そもそも訓練元共々生きて帰ってこれるかがわかりませんね。そして『マナコスト相応のパワーを持つタイプ』は相応のパワーを持つゆえに自身よりパワーの高いクリーチャーを前のターンに用意しておくことが難しく結局”2ターン後”の訓練になりがちです。訓練を活用する際はそれらの問題を解決するべく、先述したようなサイズ修正系のカードは意識するべきでしょう。
その分一度ハマれば継続的に攻め続けて勝ててしまう能力です。能力の専門性自体も高くなく緑白に限らず様々な色で訓練支援カードともども活用することができるでしょう。
4:新規ギミック・切除
新規能力の一つです。専用のコスト(素のコストより重い)を支払うことによってテキストから不要な部分を取り除き強くするというコンセプトですね。
ただし、リミテッドの考察をするにおいては『ギミックとして』注目する必要はほぼないと判断します。切除を参照するようなカードもなく、また枚数自体が極めて少ない(低レアリティにほとんどない)ため切除が存在するからと言ってレイトゲームをみんなが目指すということもほぼ起こりえないと判断しました。共通のメカニズムの名前がついているだけで、そういう単体のカードがあるんだなぁって感じですね。
5:再録ギミック・濫用
以前のタルキールからの再録となるギミックですね。戦場に出たときにクリーチャーを生贄に捧げても良いという誘発と、それにより生贄に捧げた後で改めて誘発する能力の2段階に分かれています。
今回の濫用はやや効果が小さい代わりに濫用を持つクリーチャー自体が平均的なマナレシオを持っていることが目立ちますね。そのため、濫用なしでも戦うことはできそうです。
濫用の効果の小ささは、盤面に与える影響の小さいことを考えています。何らかのカードで手札を増やす/減らす効果(カードアドバンテージ)がメインのように見え、直接盤面を触る(ボードアドバンテージ)効果が少ないように思いました。自身の盤面を減らしながら行う効果として、そのような効果が適当かどうかは常に考えておかないといけないと思います。
実際に濫用を使うためには濫用を持ったクリーチャーとそれにより生贄に捧げても良いクリーチャーをセットで用意する必要がありますね。黒にはコモンに2種類それ用のカードが、青にも1枚あります。また、降霊とも『損をしにくい生贄』という点で相性がいいですね。それ以外の色で濫用を使おうと思うとやや使いづらいと思います。濫用してもやはり効果が小さいカードが多いのが、そこを強調していますね。
ルール的な注意点としては『濫用で生贄に捧げるかどうかは解決時に判断する』『濫用する前に、濫用を誘発したクリーチャーが場を離れてしまった場合には濫用をしたことによる誘発は誘発しない』というのがポイントです。場に出したタイミングで濫用持ちをそのまま除去されることに弱いというわけですね。(無駄な生贄はせずに済みます)
6:再録ギミック・降霊
直近からの再録となるギミックの一つが降霊です。詳しい解説は前回の序文をご確認ください。
今回は前回と毛色は大きく変わっています。まず、前回は黒にも少量存在しましたが今回は青白にしか存在しません。また、前回は表面裏面共にクリーチャーでしたが、今回は表面がスピリット、裏面はオーラで統一されています。神話レアのような例を除いて『クリーチャーだったころの能力を自分のクリーチャーに付与する』(たまに相手にデメリットとして与える)という形になっています。
傾向としてはまず、裏面のオーラはカード1枚としては戦力不足であるものが多いですね。その一方でクリーチャー面は良好であるカードが多いです。そのため、表面をメイン戦力として用いて、除去られた場合は機を見て降霊により中盤以降のアタッカーやフィニッシャーを形成していく形になると思います。前回は中盤戦以降をテンポよく戦う手段として重宝され、オーラになったことによって意識はある程度変わるものの今回も基本は近いでしょう。極端にいえば降霊持ちのみでデッキを組むことが出来れば常に互いに降霊しあって強いクリーチャーを作れるとも言えます。現実的ではないですが。
サイズ補正や回避能力の付与は訓練と相性が良かったり、直接墓地に置くのは血トークンと、生贄にする場合には濫用といったように他のメカニズムと親和性が高いのが特徴ですね。ドラグスコルの歩兵のような軽く扱いやすい戦力となる降霊はピック中には非常に重宝すると思われます。
7:再録ギミック・日暮れ/夜明け
もう一つの直近からの再録ギミックです。人狼たちは続投となっていますね。
前回と比べて大きな変化はありません。ただし、赤と黒の変身カードの枠を吸血鬼に侵食されているため全体的な枚数は割合として減っています。
また、前回よりも気持ち変身後のサイズ上昇幅がおとなしい気がしますね。全体的なマナコストの低下で使いやすくなっているとも言えますが。
前回は降霊や除去の多さにより相性と立場が悪いカード群とされていましたが、今回はやや向上していると期待しています。全体的に扱いやすいマイルドな人狼が増えているのと、狼/狼男であることを参照するカードが増えたため変身部分を無視しても集める意味がややあるからですね。
ただし、同じ緑の能力である訓練はサイズをあげて攻撃したい関係上自分のターンの戦闘に絡めて呪文を打つ機会が多いと思われます。そういった意味で相性が悪いことは留意するべきかもしれません。
8:2色のアーキタイプ解説
今回用意されている、2色ごとの組み合わせのアーキタイプの説明をしていこうと思います。
・青白:スピリット/オーラ(降霊)
降霊自身がスピリット/オーラであるためかそれらのカードタイプを意識した支援カードが多いですね。鋼纏いの霊が一番よく見ることになると筆者的には思っています。降霊を活かすのであればこのようなカードを使って『序盤は相打ちを意識して、中盤以降は攻め続けるデッキ』を意識することになるんじゃないでしょうか。
・青黒:ゾンビ濫用
ギミック通り濫用です。とはいえ先述した通り濫用用の生贄は黒が比率として多いですね。青は降霊をどれほどとれるかということになると思います。軽い降霊であるランタンを携える者はこの組み合わせが最もうまく使えるんじゃないでしょうか?
全体的にはギミックを活かしてアドバンテージを蓄積していく遅いデッキになると予想しています。過度に攻撃的な濫用もないですね。黒は除去も強いためコントロール的なデッキを意識できるでしょう。
また、マルチカラーの髑髏スカーブが飛びぬけて強いため、このカードがとれたかどうか/流れてきたかどうかでデッキの強さが大きく変わりそうです。
・赤黒:吸血鬼/血
これも部族というよりは血でつながったアーキタイプですね。血を生成するカードと活用するカードに分かれています。とはいえどこまで意識するべきかは未知数です。血を生成する側のカードが血を抜きにしてもマナコスト相応なものが多めであり、また先述した通り血トークン自体は汎用性が高いカードであることも相まって血シナジーを意識しなくても血を生成するカードはある程度ピックすることになりそうだからです。血を消費する側のカードはその場合でもしっかりと評価を見定める必要はあるでしょう。コモンでは血に狂った社交家が飛びぬけて強く、このカード以下の行動に血を消費したくはないですね。本人が血液を用意する+5/5が何回も殴ったら相手が死んでしまうことを考えるとそこまで血を意識する必要もなさそうですが。
マルチカラーの税血の収穫者は強いんですが、デッキにそこまでまとまりを与えるわけでもないですね。
・赤緑:狼+狼男
コモンにシナジーカードである飢えた峰狼が登場したことにより前回よりしっかりとアーキタイプを名乗ることができると思います。このカードが3ターン目に3/2でアタックできるとダメージレースで優位に立ちやすいため3マナの狼や狼男も意識しながら攻撃的なデッキを作ることになるでしょう。全然いないんですけどね。
その数のいなさから飢えた峰狼が活用しにくいのであればまたアーキタイプとしてのまとまりはなくなりそうです。
マルチカラーの群れの仔はめちゃくちゃです。1枚でアーキタイプです。
・緑白:人間/訓練
訓練の性質上、パワーの上昇系統のカードもシナジー範囲に入ります。もっとも原始的なリミテッドをする感じですね。降霊や、サイズで優秀な狼男とも相性がよく他のアーキタイプのつまみ食いもしやすいのはやりやすいですね。人間シナジーはドーンハルトの信奉者に負担が集中しています。これを軸に積極的に殴る人間もできそうなんですが、訓練の遅さといまいちかみ合ってない気もしますね。じっくり訓練持ちを並べて一斉に殴って強化するくらいでもいいのかもしれません。
シガルダ教の聖騎士はアーキタイプへの関与は薄い気がしますが単体が使いやすいいいカードですね。
・白黒:ライフゲイン
定期的にノルマとなっているライフゲインが、今回は白黒の受け持ちの番です。なんか普段と同じくらいのやる気ですね。他のアーキタイプとの積極的な辛みがあるわけではありませんが越境の一環としてライフゲインがついてるカードが何枚かあり意外とシナジーを組むことは簡単そうです。しかしそもそもライフゲインすることで恩恵を得るカードが極めて少なくそもそもアーキタイプとして成立してないように思います。コウモリの急使やマルコフの浄化師は単体でも弱くないため、これらのアドバンテージカードを軸に長期戦を挑み他のシナジーを作ることになるでしょうか
・黒緑:タフネス重視
これも新設された雑なアーキタイプですね。タフネスを参照したサポートカードと、平均マナレシオよりタフネス偏重となっているカードが散見されます。タフネスが高いということ自体を活かすカードはやはり少ないです。コモンにあるのがややいまいち(効果としては)な繁茂の狩り手だけであり、アンコモン依存度の高いアーキタイプと言えます。いざシナジーが揃えば強力な動きが許されますが、タフネス重視とか言う話を忘れて除去+クリーチャーのミッドレンジ主体になりそうなのは前回と変わらなさそうです。
・青緑:セルフ切削
これもイニストラードらしい、墓地に関連したアーキタイプですね。
ただし、フラッシュバックがなくなったことにより漫然と恩恵を受けることはほぼできなくなったと言っていいと思います。今回の降霊も、手なりで墓地から唱えて強いものではないと言えますね。
雑食するもの、グロルナクと堕落産みの蜘蛛の2枚のマルチカラーはかなり強くアーキタイプを支援する専門性の高いカードでありこれらを使う場合に初めて意識するアーキタイプかもしれません。コモンでは黴墓のヤスデがどれほどとれるかに依存する不安定なゴルガリと言った感じですね。3枚とか取れたらクリーチャーを増やしデッキ枚数をやや増やす戦術も視野です。
・青赤:呪文(クリ一チャ一でない)
これもフラッシュバックの喪失がダメージになっているアーキタイプです。祭り壊しもいないのであまり勢いがあるアーキタイプではないでしょう。
青の除去が弱くなった影響もあり普通のコントロール路線も組みづらく、少なくとも何らかのブレイクスルーが見つかるまでは2色の組み合わせでは一番見ないんじゃないかと予想しています。マルチカラーのさまよう心もとんでもなく強いんですがアーキタイプを支援するといった感じではないのがつらいところですね。
・赤白:2体で攻撃アグロ
2体で攻撃する制限や恩恵を与えるアーキタイプです。
どれも使いづらい対抗色アーキタイプの中では、最も自然にリミテッドで起こりえる行動なのでひと際扱いやすいと判断しています。ボーナス持ち+回避能力持ちで殴りたいことが多いなど、訓練と共通項が多かったり、これも降霊と相性がいいのがいいですね。
マルコフの円舞手は癖のないフライヤーでありスムーズに採用できそうです。
9:結婚式に出席し気が付いたこと
ここからはこの記事のメイン内容の後半戦です。ギミックを調べたりアーキタイプを調査したりカードリストを見ていくうちに気付いた『イニストラード全体の特徴』や『リミテッドにおいてカード評価や事前戦術を考えるうえで大事となる事実』を並べて説明していこうと思います。順番はそれこそ気づいた順になります。とはいえ、今回はまだあまり気付きが多くなく、議論や指摘、今後の追記をしそうですね。
・部族支援が増えた
厳密な枚数は数えていませんし、トータルで見るとあまり変わらないかもしれませんがコモンに扱いやすい部族支援カードが増えた印象があります。そのためカード評価の際は部族も込みの評価をするカードが何枚かありそうです。
・アーキタイプ支援が細い
今までの書きっぷりでうすうす感づいた方もいらっしゃるかもしれません。真夜中の狩りに引き続きカード総数が少ないセットであるためか、リミテッドのアーキタイプを直接支援していると言えるカードがかなり少なく感じます。対抗色は特に顕著で数枚枚程度しかないものが殆どでしょう。つまり、○○デッキ!のようにアーキタイプで染め上げた専門性の高いデッキを作るのが難しく感じます。特にピックの序盤ではアーキタイプ支援を受けるカードに付加価値をつけるのではなく、オーソドックスに除去や単体パワーを意識したピックが中心となりそうです。その一方で、一部に強力なアーキタイプ支援カードは存在します。それらを正しく評価してアーキタイプに一気に寄せる判断も必要でしょう。
・越境性の高いカードが目立つ
気のせいではないと思いますが今回、やたら越境範囲が広いカードが散見されるように思います。”タフネスが高い”というような雑な要求のアーキタイプが多いからかもしれませんが。
旅する聖職者は非常に顕著な例ですね。ライフゲイン、訓練、人間にわかりやすく属しているうえで”自身がアタックせずにダメージを稼ぐ”という意味で2体アタックと、”降霊もちやそれをつけたクリーチャーを送りこみやすい”という意味で降霊とも絡んでいます。そのように、”よく見ると越境している”という要素も含めてアーキタイプを越境するカードはどのようなものがあり、それぞれどのくらい強いかという点を押さえることは”アーキタイプ支援が薄い”今回のセットにおいてアーキタイプを意識したピックができるようになる重要な着眼点だと思います。
アーキタイプ自体の越境性が高かった真夜中の狩りと比べて、単体で拾い越境をしているカードがあるというのは反対の向きの難しさですね。
・除去の評価
真夜中の狩りが強かった反動で、全体的にはやや見劣りしてしまいます。
白は今回除去最強色ではないでしょうか。軽いものから重い確定除去までそろっています。非常に扱いやすそうです。
青はかなり弱く見えます。そもそもバウンスやパワー低下オーラも普段あまり使いたくないカードであることを考えると事実上0と言えるんじゃないでしょうか。フリーズが一時的効果なのが厳しいですね。
黒は3マナ以下のコモンインスタントがないのが非常に気になるものの除去範囲自体は悪くないです。平均的ですね。
赤は重い除去が弱く範囲に不安があるものの1マナと2マナがしっかりと強く序盤戦を中心にした戦いで威力を発揮しそうです。
緑は今回一方格闘ですね。3マナはやや重く感じますが黒の除去の穴を思うと丁度よさそうです。
また、降霊により簡単に枚数をごまかせなくなるどころか降霊がオーラの関係でそれらに強くなったと言えるので前回より単体除去の立場は向上していると言えます。その点でも、除去から始まるオーソドックスなピックが一番かもしれません。
・除去の弱さがもたらすレア(ボム)の影響の大きさ
上の項目がもたらす影響についてもう少し考えています。
まだ全てのレアを整理して格付けしているわけではないのですが、リストを流し見した段階でも影響力が高い≒対処できなければ負けになるクリーチャーが多いように感じます。特にシステムクリーチャー方面も充実を感じますね。そして、その点が環境の除去に対して負荷になっていると感じます。
黒はタフネス3以上を4マナまで除去できない、赤はタフネス5以上が出来ない、白はアタックしてこないシステムクリーチャーを最低5マナ(起動コスト)まで処理できないなどそれぞれの色の除去に範囲や速度の穴が目立ちます。そのため、環境の人気色(になると予想される色)の穴をつけるマナコスト/サイズであったり、強力なシステムクリーチャーであることは評価を底上げすることにつながると感じています。マルチカラーアンコモン達などもそうなるでしょう。
・コンバットトリック
白、赤いずれも質が良いです。また、緑に質が高いわけではないものの2枚のコモン巨大化があるため環境全体としてはコンバットトリックはよく見ることになりそうです。訓練などが攻撃優位な能力であったり、白以外の除去がやや重さと範囲に穴があることが多いため軽いクリーチャーたちをコンバットトリックでバックアップする原始的な戦術(訓練や降霊も絡めて)も通用しそうです。
・各色/アーキタイプの強さは保留
いや今回かなりわかりません。アーキタイプが薄いとこうなっちゃいますね。
ぱっと見はうまく組めた訓練系デッキ、吸血鬼系デッキ、除去+ファッティで押していくデッキがやってみたい程度に印象には浮かびますが明確な強弱はわかりません。
白は除去が強い関係で最初はわかりやすく人気かな?逆にシナジーカードが多く見えるしタフネス偏重がイメージ悪そうな黒などは人気が薄いかな?程度の予想ですね。前回おお外ししたので(アグロ意識が強すぎた)今回控えめですw
以上、少々長くなりましたが、『イニストラード 真紅の契り リミテッド大考察』の序文となります。
続きの記事では、各単色編5回と、多色+無色編に分けて系6回の記事を予定しています。前回はかなり記事が遅れてしまったので今回は気合を入れて書いていきたいですね。ぜひお楽しみにください。
最後に宣伝ですが、意見交換やドラフトを一緒に観戦したり交流する場としてDiscordのサーバーをこの度立ち上げました。
まだ立ち上げたばかりでこれから活動をしていく感じですが、もしよければどなたでもお気軽に来ていただいて一緒に活動やご意見いただければMTGAのドラフトを楽しみやすいと思います。この記事を読んでいただいたことをきっかけにドラフトを始めてみたいという方もぜひ!
リンクはこちら。
また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。つい先日、なんと50名を超える参加をいただき勢いもあります!
こちら以下公式アカウントになりますので良ければご覧ください。
https://twitter.com/mtgastreamer
それでは、次は白編でお会いしましょう。
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