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ぞんびのリミテッド大考察『ダスクモーン:戦慄の館』序文


どうも、お久しぶりというほどではないですね、ぞんびです。
アルケミーではないメインセットの追加としては異例の短スケジュール(2か月未満)ですでに『ダスクモーン:戦慄の館(以下DSK)』がやってきてしまいます。前回のブルームバロウと同じく完全新規次元となりますが、その雰囲気は全く違いますね。ブルームバロウに戦慄の館なんてない。
ブルームバロウの時はちょっと違いましたが、1セットでそのセットの強烈な存在感を与えるためかセットに一本大きいテーマが通されてる上でそれに関連するメカニズムという形になっています。ダスクモーンでは『館自体が超常的存在であり恐怖』であることを示す為か、恐怖側をエンチャントによって表現しています。また後程詳しく触れますが『怖い側のエンチャント』と『逃げ惑う側の非エンチャント』という構図にある程度なっていますね。
この記事ではいつも通りDSK全体の能力や特徴や気づいたこと、そのそれぞれの分析や考察をしていこうと思います。この記事シリーズの目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。

序文はここ
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前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際に今回のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
  専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
  越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。

1:ダスクモーンの全体観

まず既に述べた通り”恐怖側/館側のカード”をエンチャントで表現しています。ナイトメアクリーチャー達が分かりやすいですね。テーロスの時よりもセット全体でまとめようとしている趣があり、エンチャントがセット内に多いことを利用するメカニズムが違和感(星座のリメイク)以外にも昂揚があり、さらに新カードタイプの部屋があり、さらにこれもまた普段よりちょっと多めのオーラ類は生存と相性が良い、という風にある程度エンチャントの要素がセット全体を縦断しています。
そのためどの色であってもエンチャントを一定枚数確保することが大事になる気がしますね。特にエンチャント・クリーチャーであるものが大事です。各色何枚エンチャント・クリーチャーがあるかの分布把握が大事だと思ってまた表を作って頂きました。多色は閑散としているので単色のみです。アーティファクト・クリーチャーも昂揚のために大事なのでセットでカウントですね。
コモンが全体的に少ないうえで、色によってやはり偏りがあります。自分が今やっている戦略がエンチャント・クリーチャーに依存するのか、アーティファクト・クリーチャーのカウントが必要なのかは常に考えておきましょう。
また、それ以外にも『急に出てくるクリーチャー』『狂気を表す切削/衝動ドロー』などの怖さを表現する要素はいつもより多くなっていると思っています。全体的にプレイの上で”恐怖”を感じる場面が増えそうですね。
新規メカニズム類も”恐怖”重点な気がするのでそこの意識を持っておくと把握しやすいかもしれません。

2:新規メカニズム・部屋

エンチャントの新規サブタイプとして、また新しい分割カードの一種として登場したメカニズムです。『分割版エンチャント』と直感的には言えますね。呪文と比べてエンチャントはテキストが長くなりがちで、故にこのカード群もかなり文字が小さく見えますね。部屋の隅々まで見ておきましょう。

ルールとしては、非常に直観的に運用できる部分と、それを成立させるために複雑な細かい部分に分かれています。
まず直観的な大枠を説明します。
・部屋は二つのエンチャントがセットになっており、唱える際にそのどちらかを選んで唱える。
・選んだ側は『開放された』扱いとなり、戦場にある間はそちら側のカードとして扱う(名前、効果、マナコストなど)
・戦場にある時に、まだ開放されてない部屋を選んで開放することができる。マナコストを支払うと、それも開放された部屋となる。
・両方の部屋が開放されている場合は名前、効果、マナコストは合算したものとなる。
という感じです。時間差で両方を使えるという点では出来事カードに近いですし、また戦場にある時に別のカードの効果を得るという点では使用感覚は作製にも近そうです。部屋の効果の大半が『ドアを開放された時』(唱えて戦場に出たときも開放されたとカウントします)の単発効果なのでソーサリー+エンチャントの出来事カードみたいな使用感のカードが多いですね。
ルール部分の詳細部分を解説します。かなり長くなります。
・スタック上にある時は唱えた側のみとして扱う。戦場では開いている側、あるいは全開放なら合計。それ以外ではその両方の合算として扱う。
マナコストをや色を参照するカードと干渉しますが、今回ほぼないんで基本は気にしなくていいですね。
・戦場にある時のドアの開放は”特別な処理”でありスタックに乗らず即座に解決される。
ここが注意ですね。マナを払ったタイミングでインスタントで破壊されておじゃん、という感じはないです。ただし、部屋が開放されたことによる効果自体は改めて誘発するのでそこでの対応はできますね。また、それ以外の効果で急に使われて困るものはあんまりないです。後から破壊で間に合いますね。
使う側の注意としては『このターン中に両方のドアを使うつもりがある』時にどちら側からプレイするかということですね。大雑把に『違和感のカウントを稼ぎたいときは誘発効果じゃないほうから(着地後誘発したタイミングで破壊され全開放ができない』『相手が1U持て余してるなら軽いほうから(2マナ要求がある』『それ以外は概ね誘発側』ということになると思います。
・唱える以外の方法で出した場合は両方のドアも開いていない
あまりおきませんが気にしておきたいです。任意のドアを開けれますね。

改めて部屋がもたらす影響ですが、まずカード群としては『長期戦に強い』カードだといえます。出来事と同じようにシンプルにカード2枚分だからですね。除去やカード獲得効果+その他と組み合わせも多く、長期戦向けの効果ぞろいともいえます。ゲームが長引く場合には部屋を多く引いた方が有利になれるし、マナフラッドも受けれます。
また、打消しに少し強いですね。相手の打消しをすり抜けたタイミングで出た部屋を、相手が打ち消し構えてるときに開けるからです。
アーキタイプに関連しているといえるものや、基本的なアグロ/コントロールの戦術として軸になれ強いカードもそろっており、かなりよく見るカードタイプになると思います。
部屋がマナを使ってしまう為、セット全体で重いカードが少なめなきもしています。デッキのマナバランスを見る際にもそこは意識しておきましょう。

3:新規メカニズム・違和感

テーロスの『星座』のバリエーションとなる能力ですね。エンチャントの登場あるいは部屋を完全開放するたびに能力が誘発するカード群です。

全てクリーチャーで白:3、青:5、黒:2、赤:1、青白:1、白黒:1、青黒:2となってます。緑に1枚もなく、違和感がベースのはずの白にも少なめですね。
能力はどちらかというと殆どが相手のライフを削ることにつながる効果になってますね。青黒の2枚はコントロール側ですが、それ以外は殆どビートダウン側ともいえます。全体的に殴るための能力ととりあえず把握しています。
ただ、枚数自体が少ないので『違和感』としてデッキをまとめる場合にはアンコモンの集まり具合が重要に思いますね。『鍵と錠前』的に考えると、鍵になる要素は今回かなり多く、部屋が実質2回誘発させたりとズルもしやすいです。部屋を取っているところからスタートして違和感に触る、という感じをイメージしています。
破片魔道士の救出をはじめとして瞬速を持つエンチャントがかなりの枚数あるのは覚えておきたいです。戦闘力に関係ある違和感持ちはそれで計算ずらされることは覚えておきましょう。

4:新規メカニズム・戦慄予示

ダスクモーンの館にはいたるところに恐怖が潜んでおり、その正体もわからないということを示した能力です。

カルロフ邸殺人事件でも出てきた『裏向き』に関連する能力ですね。そのときはだれが殺人者わからないといったようなフレイバーでしたが今回は『正体不明の存在/恐怖』を示しているのかなと思います。生存者仲間でも遠くで誰かわからなかったら怖いですからね。
ライブラリーから2枚見て、片方を裏向きのクリーチャーとして、片方を墓地に置く能力です。裏向きに出すものはもちろん条件がないのでとりあえず2/2トークンをおまけでつける効果と判断して一回いいですね。
裏向きで出されたカードは基本的なルールとして『クリーチャーであれば表になる』ことができます。変装と同じく『スタックに乗らずいつでも。本来のマナコストを支払う』ことで表へとなりますね。急に化け物になるかもしれない。
副作用はいろいろあります。まず一番わかりやすいのは墓地を用意する性能ですね。場に出された裏向きも基本的にいつか墓地に行くので戦慄予示1回で墓地にカード2枚を用意できています。昂揚のサポートが分かりやすいだけでなく白黒のリアニ戦術の補助にもなれますね。
また、次に紹介する生存のサポートにも実はなっています。裏でアタックして相手を欺いた後、ブロックされなかった場合に表にすれば生存の恩恵が受けれますね。
他にもパワー2以下のクリーチャーを用意できるとか、裏向きが表になるシナジーもあったりして結構越境的ですね。ただし部屋などのエンチャントは表になれないし、エンチャントクリーチャーであっても戦場に出たカウントにはならないので違和感系例つとは相性悪めですね。
これが存在する影響は割とありそうです。
まずこれらは一種のコンバットトリックを内蔵したカードだといえますね。2/2だと思ってブロックしても勝手に大きくなる可能性があるためです。そのため展開が出遅れた場合にマナが余っている戦慄予示相手に戦闘を仕掛けることが難しくなります。安直に通しても今度は生存とかで裏切られることもあるためですね。そのため最低2/2を安全に受けれるクリーチャーを用意しているうえで、インスタントの介入手段を用意しないと”安全”に戦慄予示を受けるのは難しいといえます。常に安全に受けたいならかなり厄介ですね。
とはいえ戦慄予示側もそう楽ではないのはしっかり把握して、過度に見えないものに恐怖しないようにしたいです。EtBも違和感も相性が悪い影響で、まず思ったより『表にして強いクリーチャー』は少ないと思います。また、結局『普通に戦場に出すよりも戦慄予示をした分のコストを余分に払っている』のも見逃せません。『表にさせたうえで相打ち』なら実はかなり得をしていてこちらが負けたとしても2マナくらいのクリーチャーだったならテンポをそこまで失いませんね。カード自体は今回部屋で稼ぎやすいのであまり臆さず積極的に恐怖と触れ合ったほうが、少なくとも最初警戒するものが分からない間はいいのかなと思ってます。コモン~アンコモンのそれぞれのマナコスト帯の良く使われる最大サイズを把握する、くらいで警戒はいいんじゃないでしょうか。
大型(5マナ以上のクリーチャー)も、結局デッキに入る枚数のことを考えたらそう当たり率も高くないと思います。とはいえ複数回戦慄予示を繰り返されたら当然のように化け物に当たると思うので警戒しなさ過ぎもよしたいですね。適度な緊張感のラインがどこにあるのかは遊んでく中で見極める必要ありそうです。

5:新規メカニズム・生存

生き延びる人間たちを表現したメカニズムです。

第二メインフェイズ開始時の時点でタップ状態であることで誘発する能力群ですね。一番簡単な達成方法が『戦闘に参加して生き残る』ことであるためかクリーチャーの質がいい緑白に限定(黒にも1枚だけ)して配られている能力です。例によって人間の色ですしね。
枚数は少ないといっていいのかわかりづらいですね。トータル12(+1)枚なので新規能力としては少ないですが2色にのみ配られている能力としては多いのかも。能力の内わけとしては手札獲得能力が2,盤面にクリーチャー追加が3、その両方が1となっていてカード獲得能力に優れている印象があります。カウンター設置系は2個と飛行獲得で打点もちゃんと上がりますね。生存が達成できる=自由に殴れているということが多いと思うので一度生存を許すとぐずぐず不利になってしまいそうです。
ただし、重要なポイントとして生存意外に戦闘に関連する能力を持つものはいなく、サポートなしには『正面から殴って通してもらう』しかなくなります。サイズもマナコストに比べて劣っていることはないものの、優れているということもないため相手にしっかり防御を固められると生存できず、半端なサイズが暴かれてしまうかもしれません。
『コンバットトリックなどの強化』『相手の除去』『ブロックされないの付与』『戦慄予示の経由』『タップ効果』など、それぞれの枚数は多くないもののサポート手段はかなり多岐にわたっており『鍵と錠前』の関係性は結びやすいと思います。それらはしっかりと使いたいですね。
マナコストにも気をつけたいです。当たり前のこととしてまだ相手の準備が整ってないうちに殴れる軽い生存は強く、重いと弱いです。それが分かってるのかそもそも4マナまでしか生存が今回いないですね。評価の際にも2マナと3マナで壁は生まれそうです。
扱えれば強そうなものの、環境全体でガードが上がれば『攻撃するために常にカードを組み合わせないといけない』アグロとなってしまう可能性があり、それは結構失敗もしやすいなと思っています。生存に対して使って強いサポートは大体それ以外に使っても強いので、生存持ちに拘り過ぎずデッキを組む方が良さそう。

6:再録メカニズム・昂揚

異界月で登場したメカニズムの再録です。同じくホラーエキスパンションつながりですね。

墓地のカードタイプ4種類を満たしているときに強くなるカード群です。
今回はエンチャントがテーマなのでそこでカード種類が確保しやすいですし、アーティファクトクリーチャーも低レアリティに一定用意されています。戦慄予示による疑似切削もあるため普段よりかなり4種類集めやすくなっている状況だといえますね。
自分がどの手段で墓地を溜めるのか、デッキ全体で見て何のカードタイプが今足りないのかを把握してのピックが重要になります。赤には昂揚持ちエンチャントクリーチャーがいて、緑にはアーティファクトクリーチャーがいるということは把握しておきましょう。土地を墓地に落とすのが今回は一番難しそうなので戦慄予示をちゃんと取ってそれでカウントを確保するのはかなり重要かも。
MTGAだと光って教えてくれるので数え間違いはないとおもいますが、インスタント/ソーサリーなどはその解決時に墓地の枚数を数えます。それそのものは数に含めないのは注意ですね。

7:アーキタイプ解説

ここからは各2色のアーキタイプ解説になります。今回はちゃんとアーキタイプっぽい名前で書いてくれてるんで把握は楽ですね。

・白青:違和感テンポ
違和感系のアーキタイプです。マルチカラーであるグレムリンを手懐ける者が横ならべを、知りたがりの光霊はコスト軽減による展開補助を行う為盤面を広げて殴ることが得意ですね。部屋がとにかく大事なアーキタイプになると思います。コモンの大玄関は盤面展開も強化も両方できとにかく相性が良く、アンコモンの手術室も同様ですね。カードを引かずとも2回分の違和感達成ができるカードなので違和感を中心としたテンポでかなり重要になり得ます。エンチャントクリーチャーの数自体がアンコモンに多めなのも相まって、他のアーキタイプよりもさらにアンコモンスタートが大事な色に感じるかもしれません。違和感持ちもコモンはそこまで強くないので。青が半端。


・青黒:違和感コントロール
違和感系のアーキタイプです。こちらもマルチカラーアンコモン2枚が示すように受ける側のデッキですね。とはいえ正直どの違和感持ちも半端で、アドバンテージ獲得もビートダウンも半端にしかできないように見えます。無限への恐怖を気が長く再利用してコツコツ、みたいな感じになるんでしょうか。コントロールをするという目的がありきで、その中で違和感がたまに仕事すればいいかなくらいのウェイトになりそうです。不本意な器と精体の追跡者あたりはかなりキーになりそう。どちらかというと違和感というより部屋で簡単にカードを稼げるコントロール、という感じでしょうか。

・黒赤:生贄
いつもの生贄ギミック、なんですが今回は珍しくエンチャントが生贄にできます。
とはいえ継続的に生贄にし続けるカードも少ないですし、極端に生け贄の餌に向いたカードも少ないです。アーキタイプとして生贄を軸にまとめるのは難しいんじゃないでしょうか。黒や赤のカードを使う際にエンチャントが生贄に出来るとラッキーだから部屋とかを取りましょうという程度なのかなと思います。マルチカラーのアンコモンもアーキタイプとしてまとめるほど強いものかは正直怪しいと思いました。実は昂揚が達成しやすい特徴を生かして赤からカードを狩りてアグロっぽくするのがやっぱりいい気がしますね。

・赤緑:昂揚ストンピィ
昂揚を行うアーキタイプです。アーティファクトクリーチャーが多く、それらでアタックしていれば自然と相打ちなどで溜まるという設計でしょう。戦慄予示や生け贄もあり、赤の部屋が強い関係で特に意識しなくても凄く自然に昂揚できるんじゃないかと思います。
コモンでは食べるほうの手が『アタックしていれば昂揚する』のテーマに非常にかみ合っています。ゲーム中盤から4/2でアタックになるのが強いですね。アンコモンだと野火の木人+暴力的衝動の破壊力が凄まじいです。積極的に狙っていいアンコモンコンボでしょう。

・緑白:生存
生存の項目で大体述べた通り緑白は生存の色ですね。
とはいえ生存に拘り過ぎると一度出遅れたときに『バニラで延々殴ろうとするだけ』になってしまいがちだと思います。しかし緑と白それぞれの残りのアーキタイプも互いに相性が良いか微妙なところですね。昂揚と違和感を組みあわせようにも、緑にアーティファクトクリーチャーが多くなっちゃうし緑の部屋があんまり強くないんですよね。かなり工夫がいるアーキタイプに思えてしまいます。

・白黒:リアニメイト
久々のリアニメイトアーキタイプです。今回は結構期待していますね。
コモンに1枚、アンコモンに2枚優秀な蘇生カードがあります。特に蛾の儀式は2回使えてデッキの安定性を大きく高めてくれそうです。
墓地にクリーチャーを用意する手段は、『土地サイクリング』『戦慄予示に巻き込む』などがあります。今回は青が混じってないせいで手札からのルーティングがちょっと苦手なのは気にするべきかもしれません。そのあたりをフォローするためにも、実は色があってない土地サイクリング持ちをデッキに入れて墓地に用意するといったテクニックも必要かも。


・青赤:部屋
違和感、というよりもっと『部屋を扱う』ことに注力しています。
部屋を開放するマナを確保したり、使い終わった部屋を生贄にしたりとかですね。
当初予想していたより多くの部屋が登場したこともあって煙たい談話室はちゃんとアーキタイプを支えるサポートカードになってくれそうです。ガラス工場はほんとに大事なカードなので何よりも優先して取って行きたい。でもそれはある程度どのアーキタイプになるときにも自然な行動なので、あとから参入しやすいアーキタイプともいえるかも。

・黒緑:昂揚消耗戦
これも昂揚ですね。赤緑の様にせめるために墓地を用意するというよりは、昂揚してない状態でもどんどん相打ちや切削を行い、後半のカードにつなげるという感じに見えます。
とはいえ黒は別に昂揚カードが多いし強いわけでもないので、もっとミッドレンジ/ジャンク系っぽく質のいいカード+除去出て戦っていく形になるのかなと思ってます。戦慄予示とかで自然と切削をしていきたい。リアニメイトとかと組むのもアリかも。


・赤白:パワー2以下アグロ
パワー2以下のクリーチャーを参照するアーキタイプです。それらを使って主にビートダウンを行いますね。ただし、そもそもパワー2以下を使えば相手に与えるダメージは必然減るはずなのでパワー2以下に拘泥すると本末転倒かもしれません。そもそもパワー2以下参照カードは少ないです。
ほつれた遊び友達が恐らく『鍵』になり得ます。悪意ある道化師、見捨てられた人形、アラベラ、鍛えられた随伴者といったクリーチャーを送り込んだり、生存や戦慄予示との連携も取れますね。アグロで基本は組んで、ほつれた遊び友達の価値をちょっと高くする感じ?

・緑青:戦慄予示
戦慄予示をするカードが多く、また、マルチカラーを中心に表向きにすることで利益を得る色となっています。
とはいえ戦慄予示すること自体は簡単ですし表にしたことでもらえるボーナスも別に弱くないんですが肝心の『表になるサポート』が全然ないことが気になっています。マナクリもないし。戦慄予示→表になるのはメカニズム紹介でも触れましたがそもそもテンポ損になっている行動です。軽々しく『戦慄予示デッキ!』にはいかないと判断しています。正直どうすればいいか一番わからない感じあるかも。

8:気づいたことリスト

ここからはいつものように気づいたことリストですね。考えすぎてむしろ頭から抜け落ち始めちゃったんでいつもより少し雑かも。公開後思い出したら追記します。

・カードパワーの上昇
より具体的には『基礎的な役割を持つカードの質の引き上げ』です。この傾向自体はここ数年ずっと起きてはいましたが、今回はさらにわかりやすくラインが引き上げられた印象があります。
例えば打消し。2マナのマナ要求のもの3マナ確定カウンターも両方コモンとしては歴代トップクラスです。除去も眠りからの襲撃をはじめとしてかなり強くなっているように感じます。そもそも部屋に効果が組み込まれているだけで金地強さが向上していますね。そのため、普段より強いと感じるカードでも『セット全体で見てどうなのか』はちゃんと意識しないと行けなさそう。
一方で、ちょっとクリーチャー陣はそこまで性能あがってないかもしれません。今回のメカニズムが全部控えめの調整かも。クリーチャーが弱めで呪文が強めに感じるので、コントロールちょっと優勢なのかも?

・ジャンプスケア!!!
改めて、今回ダスクモーンがどのように『ホラーを演出しようとしているか』の根幹にかかわってくるのではないかと思う部分です。
筆者が思うに『インスタントタイミングで盤面が動く』ということをさせたいのではないかと思っています。戦慄予示が表になるだけでなく、インスタントで戦慄予示をしたり、瞬速で出てくるクリーチャーもいつもより多いんじゃないかと感じています。その多さに加えて、生存/戦慄予示を受け止めるという点でインスタントタイミングの介入手段の重要性が増していることでいつも以上にそれらを見ることが増えてくると思います。そのためゲーム体験として『急に何か出てきた』で返り討ちにされると感じる展開が増えるんじゃないでしょうか?
全体的にインスタントの、盤面を動かせるカードの評価を上げています。

・クリーチャーのサイズ
基本的にはかなり平均的なんじゃないかと思います。直接サイズが上がるメカニズムが少ないのもあって、額面上の数字をかなり信じれますね。
実際には戦慄予示によってちょっと2/2の出現頻度は増えていると思います。そのため2/3や3/3のラインのクリーチャーの評価は普段より上がっています。
サイズが平均的ということは先手を取られた際に殴られやすく生存などで押し切られる隙にもなると思います。相手より小さいサイズのクリーチャーを序盤で出すターンが生まれると想像以上のテンポロスになりそう。そのあとに表向きにしたり部屋の開放をしたりといった余裕も奪われますからね。そのため序盤用クリーチャーはかなりサイズを念頭に入れた評価をしたいですし、実際のデッキのバランスとしても重要視したいです。今回の2/3/3枠である付け回される研究者とかはかなり重宝するんじゃないかな。


・歪んだ館、歪んだメカニズム
今回のアーキタイプ一覧ですが、筆者としては並べてみていて違和感がありました。それは『まとまりが閉じていない』ことです。モダンホライゾン3が非常にわかりやすかったですが『赤白青はエネルギー』『赤緑青はエルドラージ』、あるいはサンダージャンクションであれば『赤黒青で悪事&無法者』というように3色でまとまっているメカニズムの塊があることがあります。これを”閉じている”と筆者は呼んでいますがダスクモーンでは少々事情が違います。
青白と青黒が共に違和感であるため、普段だったら白黒も違和感か多少なりとも関係あるかと思いきや全然関係ないリアニメイト。でも代わりに赤青がほぼ違和感と、閉じずに開いて終わっています。赤緑と緑黒の昂揚も、赤黒は厳密には昂揚ではなく、その代わり非常に相性が良い戦慄予示が青緑に割り当てられていたりとやっぱり開放されています。
そのため綺麗に2色でまとめよう、あるいは3色でまとまっていると思うと意外とそうでないことが多いように感じます。一方で開かれている分メカニズム同士、色の組み合わせの隣り合っている部分同士である程度重なっておりかなり自由な選択ができるように見えます。パワー2以下が見た目以上にフォロー範囲が広かったり、リアニメイトが昂揚と戦慄予示どちらとも相性が良かったりという部分ですね。そのため普段より2色でまとめるよりタッチあるいは通常3色にして開かれて広いアーキタイプを自分で開発して館をカスタマイズする余地が生まれると思います。
かなり部族ごとに独立していたブルームバロウとは大違いに感じますね。

・狂気の注意
これはちょっとした注意なんですが、戦慄予示についてです。これは2/2トークンを作るようなものと言いましたが、実際にはライブラリーを2枚消費しています。
これには二つの効果があり、まず実質ドローという観点で見て『デッキの特定のボムレアクリーチャー、システムクリーチャー』にアクセスしやすいということですね。戦慄予示を多めに採用しているデッキなら、強いクリーチャーを引く再現性は高いといっていいかもしれません。
もう一つはライブラリーアウトです。あんまり調子に乗って戦慄予示していると結構ライブラリー消費しちゃうんじゃないでしょうか。掻き回す頭蓋蟹という強いライブラリーアウト手段がいるので、調子に乗ってると狩られるかも。

・色事情
今回は土地枠から2色コモン土地が出ます。しかも、不安定とはいえアンタップインする可能性があるコモン土地ということでだいぶ強め。
広漠なる変幻地もあります。緑にマナクリーチャーこそいませんが土地サーチはコモンに2種ありどちらもまずまず以上の強さをちゃんと持っていますね。
さらにさらに土地タイプサイクリングもあります。今回は全部クリーチャーとしても使いやすい程度の大型クリーチャーであり、ちゃんと無色マナでサイクリングもできます。ダブルシンボルなのでタッチ側の色として使うのはやや難しいものの、ちゃんと強いカードだといえそう。
これら3つの要素によりかなり多色化しやすい基盤が揃っていると思います。既に述べた通りアーキタイプが開かれているのも合わせて3色でアーキタイプを越境させて組むのが実はデフォルトになり得るかもしれません。

・脱出の光はアンコモン
これも既に触れた部分ですが、今回はコモンが強くなっているもののアーキタイプとして目立つものは少ないように感じます。生存が場合によってはバニラ近く見えてしまったり、構えるカードも人によってスキキライ別れるのもそのせいかも。コモンのある程度の割合を占めてる部屋も強いものの軸って感じではないし。
その一方でアンコモンは順調に強くなり続けてます。マルチカラーアンコモンだけでなく単色のアンコモンの中にも放置すると不利になりすぎる、あるいはちゃんとアーキタイプの軸になれるカードが散見されますね。なので全体的な方針として『流れてきた、軸になるアンコモンを中心に方向性を定める』でいいのかなと思ってます。もっともこの傾向自体は大なり小なりここ数年ずっとですし今後も低くなりすぎることはないと思いますが。


以上で『ダスクモーン』の序文を終わろうと思います。
ブルームバロウと比較すると各アーキタイプ/メカニズムの要素が一見独立しているけど重なる部分もあり、環境への影響がずれながら生じていると感じました。生存/違和感ベースのアグロ環境になるのか、あるいは部屋/戦慄予示ベースのコントロール環境になるのか正直まだわからないです。筆者もある程度予想をして取り組みますが、読者の皆さんも何か自分なりに軸を持って予想してみるとより面白いし上達につながるかもしれません。



最後になりますが二つ宣伝です。

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