【モンハン愛をカタチに】飛び入りしたあとがき的な何か
今年は公式50枠に入れなかったので飛び入り参加したゾディスです。今年の小説はいかがだったでしょうか。
小説を投稿するたび、「後書き長ったらしいの嫌だなぁ」とか思っていたので、こっちで書きながら思ったりしたことをつらつら述べてみようかな?なんて思ったり。
noteを使うのは初めてなので読みにくいかもしれませんが、宜しければ小説と合わせてこちらでも楽しんでいただければ幸いです。まぁ何事も挑戦ということで。
※ 後書き名目で4000文字超えの長文。反省します……読まずとも作品そのものに影響はございませんので、気が向いた方のみ閲覧ください。
閲覧にあたって
本記事には私の投稿作品「悠久に燃ゆる灯火を」に加え、Fate/Grand Order(特に第2部第6章)のネタバレが含まれております。
前者は当然のことながら、後者についてもネタバレを避けたいという方はご注意ください。
「鍛冶屋」がテーマになるまで
昨年は「音楽」をテーマとして一本書いたわけですが、これにはキッカケがありました。みなさんご存知「狩猟音楽祭」です。今まで誰も触れたことなさそうだし、良い機会だから試してみよう。去年はそれくらいの理由。
では、今年はなぜ「鍛冶屋」がテーマに選ばれたか。
こちらも理由というほどの理由はなく、始まりは今年の10月末ごろ(だったかな?)に本企画のお知らせを見た時に「何を書こう?」と考えて、いくつか出てきた案の一つ、という程度でした。
「鍛冶屋が普段何してるのかってあんま考えたことないなー」
って感じ。作中の色々なものを作る流れはその時点から変わっていません。去年の「共感してもらえるといいな」という狙いに対して、今年は「そういえばどうしてるんだろうね?」というのを想像してもらえたらな、というのが始まりでした。ただし、この時点ではまだストーリー仕立てというよりかはオムニバス形式みたいな作品を想定していました。
……正直、そのままいってたら多分頓挫してたなぁと(メリハリなさすぎて私が書けなくなってると思います)。
ネコ嬢で閃いた
タイトルだけで見ると通報案件に見えるこの見出しですが、本作の転機は割と真面目にここにあります。
ネコ嬢の見た目は少女ですが、実際の彼女の年齢は竜人族であるがゆえに「不明」。ゲーム本編内に登場するキャラクターは基本的に年齢不詳ですが、その中でもとりわけ判別しにくいキャラクターがネコ嬢です。
そこでふと思い出したのが、モンハン大辞典wikiの記事内で見かけた「竜人族としては若く、100歳未満」という文言。そこから「長寿である彼ら彼女らはどれだけの人を見送ってきたのだろう」、という発想に繋がりました。
ところが、ゲーム本編にはそういう若い竜人族の鍛冶屋というのはあまり見掛けられず、何より彼らは機械的な反応しか返してくれない。
ここで「そんな感じのを書いてみるか……」というキッカケが誕生。
「アヴァロン・ル・フェ」での一幕
(ネタバレ注意!)
※本項においてFGO第2部6章の大きなネタバレがあります。ネタバレを避けたい方は次の項へお進みください。
さて、話は変わりましてFate/Grand Orderの第2部6章。この章では「妖精王オベロン」というサーヴァントが登場します。
オベロンはウィリアム・シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」の登場人物で、肩書き通り妖精の王に当たる人物です。まぁ戯曲そのものについて詳しいことは知らないのですが。
話を戻しまして、アヴァロン・ル・フェの最終盤。「物語のキャラクターである」という認識を持つオベロンからこんなワードが出てくるわけです。
この三文が、私には割と衝撃だったというか、「分かってはいたけど実際考えたことはないな」という認識を突きつけられたというか。
私たちがモンハンをプレイし、楽しみ、そして次回作が発売されたり、時間がなくなったりしてそもそも作品に触れなくなる。
そういう「当たり前」の流れの中で、過去作、あるいは最新作であっても、ゲームの中にいるキャラクターは我々プレイヤーの記憶の中で徐々に風化していきます。そして、プレイヤーキャラですらそれは逃れ得ない。
なるほどこれは寂しいぞと、そう感じてしまったわけです。
今回描いたハンターは、怪我をしながら「最初の仕事」を一人で乗り切り、仲間と共にジンオウガを狩り、最終幕で「はいいろのりゅう」によって大怪我を負わされて、その生涯を閉じます。
普段小説で描かれるのは、その部分部分でしかなく、その先、あるいは前を考えるというのはなかなかないことなのです。実際、私自身もそれを全て書くのはあまりにも冗長であると判断して部分を選択したわけですが、「彼」の人生にはもっと色々な経験があったはずなのです。
そう言ったものを、創作物では全て描くことはあまりにも難しい。
ここで、上の項で触れた竜人族の寿命を思い出しました。彼らの視点であれば、もしかしたらちゃんと全部描けるかもしれないと。
蒸しぷりんさん(@ilikemh)作の終わりのイラスト。
私からあれこれ注文して本作の主題を詰め込んでもらいました。彼の人生もまた、より輝かしいものになってくれたらなと考えたり。
鍛冶屋のモチーフ
さて、前項にて「登場人物の人生」という概念についてざっっっっくり触れたわけですが、実はもう一点、思いっきりアヴァロン・ル・フェから影響を受けた点があります。鍛冶屋のモチーフです。
こちらも画像をば。
彼の名前は千子村正。妖刀村正なんかで有名なあの村正です。クラスとしてはセイバーですが、れっきとした刀工で職人気質なお爺ちゃん。お爺ちゃんです。
前項でも触れた通り、竜人族は長寿であり、なおかつその見た目は人間のそれと同じではありません。カティやミルシィが子供の姿であるように。
本作で鍛冶屋を描く際、「そういう割り切りができていない年頃の竜人族がいいな」と考えて真っ先に出てきたのが彼でした。
見た目は依代となった人物のものですが、中身(精神)は村正本人のものなので性質的にはお爺ちゃん。ついでに一人称は「儂」。一瞬で「あ、さては村正のパクリだな?」とか思った人もいるんじゃなかろうか。当たらずもほぼ正解。
そして、試し読みをお願いしたzokさん(@zok_1682)が「休憩がてら描いたんでどぞー」とかいう軽いノリでくれたイラストがこちら。
休憩がてらで出てくる代物じゃない()
村正のデザインに通じるものが残りつつ、竜人族らしい顔立ち等「爺さん」らしさがあって私は変な声が出ました。
自慢です。良いでしょ←
彼自身はおそらく150歳とかそれくらいじゃないかなって考えています。あの世界での150歳はちょうど人間年齢での20歳とかに相当してるんじゃないかしら。
その仮定通りの精神構造であるならば、見知った顔が自分はまだまだ若いという年頃でありながら、何人もが老いては先立つという経験をしてるんじゃないかなと感じるわけです。そして自分はそのまま。冒頭の悲観的なモノローグはそういった彼の心情を表したものです。
皆さんも想像してみてほしいのです。
私は正直耐えられない。あまりにも寂しい。
時間
さて、そんな感じで軸が出来上がったので内容を書いていったわけですが、皆さんはどのくらいのタイミング鍛冶屋の彼が竜人族であるとお気づきになられたでしょうか。あるいは彼がまだ「若い」と気づいた方。
一応、「竜人族」「若い」というのはぼかしてあるつもりです。実際に、試し読みをしてもらったzokさんおよび作中のイラストを描いてくださった蒸しぷりんさんからは「最終盤まで気づかなかった」というお言葉をいただけたので、ある程度は誤魔化せたんじゃないかなと思っているのですが。
そして、そういった人物を書く上で難儀したのが「時間描写」でした。
本作を執筆、投稿するにあたり、前述のお二人に加え皇我リキさん(@ougariki)およびありあさん(@aria195555)にも試し読みをお願いしました(この場を借りて改めてお礼をば)。
本編を一通り読んでもらい概ね好評をいただいたのですが、特にリキさんとありあさんから「時間描写」についていくらか意見をいただきました。
作中において「しばらく」とか「久しぶり」というような単語はあまり出てこないと思います。これは「竜人族にとっては10年20年ですら『少し』程度でしかないだろうから」といった意見をもとに改定を加えたからです。
当然ではありますが私は人間なので、つい「人間」の感覚で「しばらく」とか入れちゃってるんですが、当人は多分そんなこと考えてないよね、と。確かになーって思いながら一通り読み返して書き直した点があちこち。
また、「ハンター側に感情移入して読んだから、時制変更描写があるともっと良いかも」という意見をありあさんからもらいました。これには目から鱗の思いで、あちこち直そうか直すまいかと書き上げてから苦悩したという後日談があります。
私は書き手側の人間ですから、主人公(=視点)が誰なのか、というのを念頭に置いて書いていました。今作では鍛冶屋の彼ですね。
しかし、ハンター側に感情移入して読む場合、時間経過をしっかりすると「あ、これだけ時間が経ったんだな」と読み手側が良さを感じられる、と。
悩みました。そういう描写があることは確かに実際の流れはどれくらいか、という点がしっかり伝わる部分になりますから、入れると入れないとではその明度が大きく違う。
今回は「竜人族の時間の流れの曖昧さ」を出したかったので採用はしませんでしたが、最後まで悩んだポイントでした。
終わりに
長々と創作中のあれこれを書き綴ったわけですが、ここまでついてきていただいた読者の皆様、お疲れ様でした。まとまりのない文章で申し訳ない限りです。
あれこれと語った本作ですが、語ったような狙い抜きに皆さんに楽しんでいただけたのなら幸いです。そして、本作。キッカケに、たまには昔の拠点に顔を出してみるのも良いんじゃないでしょうか。
上から4(G)、ストーリーズ、ワールドの鍛冶屋の皆さん。私はほぼ4出身の人間なのですが、今でもたまにバルバレに顔を出します。樹海の亡霊。
最後になりますが、昨年に引き続きステキな企画を運営してくださったせと。さん。試し読みをお願いした四人の小説作家さんおよび相談に乗ってくれたモンハン創作家サーバーの皆。お忙しい中ステキなイラストを蒸しぷりんさんとzokさん。何より読んでくださった読者の皆様に感謝を。本当にありがとうございました。
皆さんのモンハン生活が、より楽しいものとなりますように。
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