鉄骨造入門①
・鋳鉄(ちゅうてつ)とは?
鋼よりも炭素量が多く、脆い鉄
溶鉱炉から出てきた鉄=銑鉄(せんてつ)には不純物が多く含まれている。
銑鉄から不純物を除去し、炭素濃度を低くして鋼を作る。
炭素が鋼よりも多く2%以上含まれた鉄が鋳鉄。
硬いが脆く割れやすいため建築構造には使われない。
融点が低いので型に流し込んで作る鋳造に使われる。
・鉄骨は火に弱い
燃えることはないが、熱で強度が落ちる。
500度で強度が半分になり、1500度で溶け出す。
鋼は熱に弱いため、耐火構造にする場合は耐火被覆が必要。
・鉄骨は水にも弱い
水によってサビてしまう。そのためコンクリートでそれを補う。
基礎や地下室等、土の中に入る構造物は鉄骨ではなくRC造で作る。
S造の建物でも基礎や地下室をRC造にするのはそのため。
・コンクリート内部の鉄はサビない
鉄は水に浸ると酸化して錆びる。
酸化は酸性の時に促進され、アルカリ性では進まない。
コンクリートはアルカリ性のため、錆びることはない。
(二酸化炭素などで、コンクリートは表面から徐々に中性となってゆく。その分鉄は錆びやすくなるが、水がなければ錆びない。)
水がかかる可能性のある鉄骨部は、コンクリートで覆うとサビの心配がなくなる。
・赤サビ、黒サビ
工場から出荷された状態ですでに黒サビの層がついている。
黒皮(くろかわ)、ミルスケールとも呼ばれる。
黒皮は緻密な層なので、それ以上のサビを防ぐ効果がある。
塗装や溶接の前にはケレン(素地調整)をかけて塗装や溶接が不完全にならないように黒皮を取り除く。
ただし、ボルト接合やコンクリートに埋め込む鉄筋などは摩擦力の向上や付着性の向上により取り除かないで使用する。