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元カノKちゃんと蜘蛛

もう数年前の話になるが、学生時代にKちゃんという女の子と付き合っていた。

彼女とは語学のクラスが同じことがきっかけで仲良くなり付き合っていった。

一目でわかる小顔さ、大きくパッチリした目、シュっとした鼻。

初めて見た時から彼女の際立つ美貌に私の目は奪われた。

芸能人でいうと岡本玲に似ており、スポーツはテニスをしていた。

Kちゃんの身長は153cm程で小柄。足のサイズは24cmと身長にしては大きめだった。

髪型はショートでよく前髪を分けており、低身長ながら大人びた雰囲気だった。

私服はパンツ姿からタイトめなスカートなど大人びた服装をよくしていた。足元はヒール、スニーカー問わず気に入ったものを履いていた。

そんなKちゃんだがかなり足元には無頓着で、一緒に歩いていると様々なモノ(生き物)や健気に生い茂る草花を踏み潰しているのを目撃した。

ある日、Kちゃんのアパートの外で彼女の身支度が終わるのを待っていた時の話だ。

彼女のアパートの隣には公園があり、その影響もあり春から夏にかけて多くの虫が彼女のアパートの階段や通路に群がっていた。

Kちゃんもよく「ここ虫めっちゃ多くて夏場は大変なんだよね〜笑」と言っていた。

Kちゃんが身支度を終えるのを私は玄関の外で待っていたが、この日は気温も暖かく案の定大きさ1cm程の蜘蛛が玄関先をちょろついているのを発見した。

気温も暖かくなったのでようやく外に出れた喜びもあるのか、小さいながらも健気に動き回っていた。

蜘蛛は1cmほどのサイズだったが、玄関外の地面の色はコンクリートの灰色で、下をみれば蜘蛛とはわからなくても確実に何かしら虫がいるのはわかる状況だった。

そのためKちゃんも確実に気がつくだろうと思い放っておいていた。

蜘蛛は動いたり止まったりしてKちゃんの玄関先をずっとちょろちょろしていた。

しばらくすると玄関のドアが開き、
Kちゃんが「お待たせ〜!」と満面の笑顔で出てきた。

この日の服装は黒のワンピースに、ポインテッドトゥのショートブーツというコーデで、大人びた雰囲気の彼女によく似合っていた。

出てきた時に足元にいた蜘蛛を踏み潰すかと思い見ていたがヒットせず、Kちゃんは鍵を閉め始めた。

鍵も閉め、出発となったとき
Kちゃんが「あ、靴紐結ぶね」
といって右足を前にだし前屈みになるポーズになった。

その時、ちょうど彼女の目の前にいた蜘蛛をショートブーツのソール部分で踏み潰した。

プチッ

正直信じられなかった。靴紐を結ぶ際に下を見たはずだ。

そして下をみれば蜘蛛の存在には確実に気がつくはずなのに容赦なく蜘蛛の頭上にKちゃんは24cmのショートブーツを覆った。

時間にして10秒ほど、Kちゃんは靴紐を結びながら蜘蛛を踏み潰しつづけた。

「結べた!行こ!」と可愛い笑顔を私に向け、立ち上がり彼女が足をどかすと、そこには蜘蛛だったモノが地面にへばりつき、地面のシミと化していた。

数秒前までは生命あったものが、これでもかというぐらい地面にべったりと刻印されてしまっていた。

そんなことも気にもとめない様子で彼女はショートブーツのヒールをコツコツ鳴らしながら「今日はどこいこうね〜」と私に向かって楽しそうに言っていた。

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