コーヒーの沼 第18歩 発酵その2
皆様こんにちは。前回、コーヒーの発酵について 導入編を書いたZKです。
今回は、コーヒー産地で実際に行われている発酵の方法について紹介していきます。
なお、本内容をまとめるにあたり参考にしたのは、
旭屋出版発行の Café Res 2022 秋/冬号 コーヒーの発酵プロセス という記事です。
発酵の概要は前回も書きましたが、発酵させたい作物内の糖分を栄養として微生物や菌を働かせること。発酵に活用したい微生物や菌の特徴に合わせ、
発酵環境を人為的に作り出し、付加価値をつける工夫がなされています。
コーヒー豆の発酵で活用されている方法をいくつか紹介します。
・エアロビック(好気性)
空気(酸素)のある環境で活発に活動する微生物を利用して発酵を
進める方法です。コーヒー産地では意図しないエアロビックが
発生していることもあるのではないかと思います。
コスタリカの豆の精製方法でよく耳にするハニープロセスは、
コーヒーの豆と果肉の間になる粘膜質(ミューシレージ)を残して
乾燥させる手法です。コーヒー豆に甘さ、フルーツ感が付与されます。
ちなみにハニープロセスのハニーは、ミューシレージのスペイン語
(ミエル)を英語に訳すとハニーになることに由来するそうです。
ハニー=ハチミツではないそうですが、コスタリカハニープロセスの
コーヒー豆はハチミツのように甘く感じるので、
それも加味されているかもしれません。ハニープロセスの豆が甘みを
まとうのは、ミューシレージの甘さが豆に浸透するからと
言われていますが、好気性発酵も少しは関与しているのではないかな
とZKは思います。これは個人的な意見です。
・アナエロビック(嫌気性)
密閉した容器の中にコーヒーチェリーを充填し空気のない環境で
より活発に活動する嫌気性微生物を利用する発酵方法です。
果肉が付いたまま密閉容器に詰めて発酵させるもしくは、
果肉と豆を分離してから密閉容器に詰めて発酵させるの
どちらかが主流のようです。
密閉容器に二酸化炭素を注入すると、
カーボニックマセレーションという方法になります。
ボジョレーヌーボーで用いられる発酵方法だそうです。
二酸化炭素ではなく発酵過程で発生した搾り汁(モスト)を
注入する方法もあります。
注入するものは、いろいろと試されているようで、
ヨーグルト発酵で耳にする乳酸菌を注入するラクティック、
パンの発酵でよく聞くイーストが利用されていることもあるとか。
わが家では、相方が自家製パンの酵母に 米麹を利用しています。
もしかしたら、麹菌発酵のコーヒーなんてものも出現するかも?
コーヒーの発酵はワインやお茶などに比べると歴史は浅いですが、
これから品種に対する評価以上に、間違いなく注目される行程になると
思います。
根がネガティブなので、
『まだ現在流通しているコーヒーの味の違いもおぼつかないのに、
差別化が進んだら困るなぁ』となってしまいそうですが、
『まだ知らない味に出会える可能性が現在進行形で広がっている。
楽しみにしよう』と
ポジティブにとらえることにします。
いかがでしたか?
2回にわたってコーヒー豆の発酵に関するトピックを素人なりに
まとめました。コーヒーと発酵については様々な見識者の方が
記事をアップされていますので、そちらもご覧いただき
味の違いを楽しんでいただければと思います。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。