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きみのおめめ 橋の下のかに #15

娘はきまって橋の下をみる。
欄干と娘はだいたい同じ背丈でなので、しゃがんで隙間から覗く。(その姿をみると、メイちゃんのおじゃまたくし(トトロ)が頭に浮かぶ)
「みてー!かにがいたよ」
と跳ねた声を出すと、サワガニかなぁという私の返事など聞き流して、もぞもぞと動くかにに熱い眼差しをおくる。
娘の横に立ち、橋の上から川を覗き込む。時間によっては川底だったろうそれは、土というより泥のカーペットのようで、日の光を浴びてつやつやと光っていた。ぽこぽこと10円玉ほどの穴が等間隔に開いている。
「また見つけた!あれ!」
娘が指差す先をしばらく凝視しても見つからずうなっていると、パチ、と光がはじけた。ぬるりとした甲羅に反射する、太陽の小さな光の粒だった。
1匹見つけると、これまで見えていなかったのが不思議なほどそこかしこにかにがいた。
「光る石みたいねえ」
そうだねえ、と言って娘に向き直る。
風が吹くたび、肩よりのびた髪が娘の頬をなでた。道路を走るバスが走り去り、遠くでぷわ、とクラクションを鳴らす。まわりの世界が急になくなってしまったように、娘の視界は橋の下のみに注がれる。
ゆっくりとまばたきを繰り返し、私でない何かを真剣に見ている娘の横顔をいつまでも見ていたいと思った。

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にわのあさ
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