【脳科学】なぜ、堀江貴文さんと斎藤祐馬さんの話は噛み合わないのか
先日、知り合いからある動画を勧められました。
【ホリエモンVS斎藤祐馬】起業家にビジョンは必要か?
起業家の堀江さんとDTVSの斎藤さんが、ビジョンについて議論している動画ですが、終始二人の意見が合いません。一見、単に二人のプロトコルが合わないだけに見えるかもしれませんが、実際は二人の脳の違いから、このような議論に発展しています。
脳の働きにより、行動が変わる
動画の中の話や今までの行動を見る限り、堀江さんは脳の前頭前野、黒質、淡蒼球、被殻の働きが良いと想像できます。
前頭前野は、多くの方がご存知の通り、創造的な活動をするときに働く場所です。前頭前野の働きが良い人は、好奇心旺盛で、興味のあることに関してアイデアが溢れ出てきます。頑張ってアイデアを捻り出すというより、自然と湧き出てくるような状況です。
米国で活躍する経営者や資産上位の方々の脳を診たときに、共通して、この前頭前野の働きがかなり良かったです。おそらく堀江さんも、今までの発想力を拝見する限り、常人の方よりも働きが良いと想像できます。
これは経営者に限らず、第一線で活躍するアスリートやアーティストもここがよく働いています。多くの人々を魅了するようなプレーや作品を創るためには、前頭前野が働いていないとまずできません。
黒質(中脳の一部を占める神経核)がよく働いている人は、やる気に満ちています。イメージでいうと、堀江さん、松岡修造さん、本田圭佑さんのような方です。
彼らのように表面に滲み出るかは別として、黒質がよく働く人は、頑張ってやる気を出さなくても、デフォルトの状態で自然とやる気に満ちています。逆に働いていない人は、何に対してもやる気が出ません。やりたい気持ちが湧き出てきません。
前頭前野と黒質が両方働いている人は、次々に色んなアイデアが思い浮かび、かつそのアイデアをすぐ実現しようと試みます。黒質の働きが悪く前頭前野だけの働きが良い人は、アイデアは浮かびますが、中々実際にそれをやる気になれません。逆に黒質だけ働いている人は、色々チャレンジしますが、見当外れのことばかりが続きます。
前頭前野の中でもオデコの裏側辺りは、決断力(意思決定)を司っているため、前頭前野の働きが良くない人は常に間違った判断をしてしまいます(バグがあるようなイメージです)。
仕事の場合は、スジの良いビジネスかの判断を見誤るため、本来避けられるはずの失敗を起こしたり、起業家の場合だと無謀な挑戦で自己破産される方が多いです。明確に間違ったことを突き進めてしまう点では、ある意味一番タチの悪い状態なのかもしれません。
淡蒼球(脳の皮質下構造のひとつで大脳基底核の一部)の働きが良い人は、とても楽観的です。人は誰しも落ち込むと思われているもしれませんが、淡蒼球がよく働いている人は、あまり落ち込みません。逆に淡蒼球の働きが悪い人は、ネガティブで落ち込みやすいです。
よく「物事は捉え方次第」と、頑張って楽観的な思考にもっていく人がいますが、淡蒼球の働きが良い人は、頑張るという努力ではなく自然と楽観的です。ベースが楽観的なので、他の人が落ち込むような出来事でも、とくに気にしません。
起業のようなリスクが伴うチャレンジでは、とくに淡蒼球と黒質の働きが大きく影響します。著名な起業家の方々が、「行動」が全てだと繰り返し伝えていますが、淡蒼球と黒質の働きが良くない人は、中々起業に必要な行動がとれません。
黒質がよく働いているとやる気があり、何気ない行動力は人一倍あるのですが、淡蒼球の働きが良くないと、企業のようなリスクの大きい(ように見える)チャレンジを控えます。リスクを伴う行動にチャレンジしたいと思うには、黒質と淡蒼球の両方が働いていないとできません。
黒質と淡蒼球の働きが良い人は、根っからのポジティブな自信家です。根拠のない自信に満ちています。周りから何を言われても、湧き上がる自信に従い行動することができます。逆に両方働きが良くない人は、日々不安で鬱傾向になります。
もし夫婦で二人とも淡蒼球と黒質がよく働いている場合は、同じように楽観的な考えで上手くいきますが、どちらかが両方働いていないという真逆の場合は、パートナーのことが全く理解できないかもしれません。働いていない側は、相手のチャレンジが理解できず、不安と不満が溜まっていくことでしょう。
被殻(脳の中央部に存在する大脳基底核の一部で、尾状核と共に背側線条体を形成)の働きが良い人は、とても集中力があります。周りが見えなくなるほど集中することができ、大きなパフォーマンスを発揮する人が多いです。逆に働きが良くない人は、集中力に欠けます。
これは瞬間的な集中もそうですが、長期的な集中にも関与します。今この瞬間やりたいと思ったことを、気づいたら数年〜数十年やり続けているということも起こり得ます。
前頭前野がよく働いていても、被殻の働きが良くない人は飽き性です。色んなことに興味関心を持つのですが、すぐ飽きてしまい、何事もやり遂げることができません。アンジェラ・ダックワース氏の言葉を借りるならば、グリットがない人物と言えるでしょう。被殻が働いていない人は、続けられないことから、中々大成しないという特徴があります。
前頭前野、黒質、淡蒼球、被殻の働きが良い人は、類稀なる才能の持ち主に見える
前頭前野、黒質、淡蒼球、被殻がよく働いている人は、常人とは比べものにならないほどの「経営的素質」を持たれています。すべての人の頭に当然脳はありますが、この4つすべてがよく働いている人は滅多にいません。
海外で活躍している経営者の脳を診たときに、この4つの働きの良い人が非常に多く、共通して下記のような性格特性でした。
・好奇心旺盛な性格
・関心事への溢れるアイデア
・即実行できる行動力
・ポジテイブな自信家
・高次元の集中力と継続力
調査したところ、何か特別な努力をした訳ではなく、幼い頃から自然とこれらの性格特性を持っており、それにより人生に大きな成功をもたらしていました。
動画の中で、堀江さんが「ビジョンが無くても大丈夫」と言った際に、斎藤さんが「でもビジョンがあったほうが、目的に向かってより突き進むことができるから、堀江さんも持ったほうが良い」と説いていましたが、
常人の場合は、ビジョンをつくることにより、その大きな目的に向かう集中力を補うことができるかもしれません。一方、被殻などの働きが良い人は、ビジョンが無くても同じように、もしくはそれ以上にフォーカスすることができます。
ビジョンという大きな目的を持ち、そこから逆算して細かい行動計画を立てて進めば、成功確率が上がる。これは、万人のために生み出されたツールです。要は仮に被殻などの働きが良くない人でも、近い効果を生み出すための手段として用いられています。
故に元々それができる人は、実は必要ありません。実際にビジョンを立てなくても成功している人は存在します。但し被殻の働きがよくない人は、同じように真似しても上手くいきません。
おそらく斎藤さんが今まで支援された起業家は、被殻などの働きが良いとは言えない方々だと思われます。これはディスカウントしている訳では無く、働きの良い人がそもそも少ないという意味です。
斎藤さんは、支援された起業家とビジョンをつくり、それに目がけて集中するようなやり方をすることにより、ある一定の効果を感じられたと想像します。その成功体験から、多くの起業家にそのやり方を進めているのかもしれません。
しかし堀江さんのような人は、ビジョンを持たなくてもそれ以上のパフォーマンスが発揮できます。そのような人がいるという事実を、まず知っていただくと良いでしょう。また堀江さんのような人は、他の人で上手くいったことを、そのまま転用されて強制されること。ある一つのやり方が成功法則だと強制されることに、大きな苦痛を感じます。
他に惑わされず、自分の上手くいくやり方、感性を大事にされます。
故にできている人は、「ビジョンがあったほうが良い」と言われると、「いや、そんなことない」と反論したくなると思います。
ビジョンにより効果を得ている側は、「そんなこと信じられない」と思われるかもしれませんが、脳が違うとそれほど違います。また、そもそも大きな目的を立てることにより、逆にパフォーマンスが落ちる人も存在します。
詳しくはこちらに記載してありますので、興味のある方はご覧ください。同じ人間でも、人それぞれ本当に中身が違います。
ある人にとっては正しいことでも、ある人にとっては正しくありません。人の脳を入れ替えて、体験することができれば一番分かりやすいのですが、それができないのがとても残念です。