少しひねりのあるフレンチホラー映画「ゴーストランドの惨劇」

人里離れた叔母の家を相続し、そこに移り住むことになったシングルマザーのポリーンと双子の娘。姉のヴェラは、奔放で現代的な少女。一方妹のベスは、ラヴクラフトを崇拝する内向的な少女。双子の姉妹ながら、性格は正反対だった。新居に到着したその日の夜、突然の惨劇が一家を襲う。2人の暴漢が家に押し入ってきたのだ。しかし、娘を守ろうとする母は必死に反撃し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しに。 あの惨劇から16年後。ベスは小説家として成功したが、ヴェラは精神を病み、今もあの家で母と暮らしていた。久しぶりに実家に戻ったベスを母は迎え入れるが、ヴェラは地下室に閉じこもっていた。そして、ベスに向かって衝撃の言葉をつぶやく…。

https://www.youtube.com/watch?v=jJ8LVV1utpQ

U-NEXTで鑑賞。
仏パスカル・ロジェ監督謹製の名作と評価の高いホラー。
全体構造に捻りがあって、さすがパスカル・ロジェ(マーターズもそうでしたが)っぽい。
お馴染み「少女を閉じ込めていたぶる」パスカル・ロジェ仕草がなんとも胸糞&鬱展開。
驚かし部分に関しては不気味な音楽&突然の音で驚かす系のギミック多用なので正直そこまで怖くなく(じわじわ驚かす日本のホラーの方がよほど怖い)全体ではなく端々のディテールだけ見てしまうと「あれ?これでいいの?」みたいな部分も多々あるのですが、その辺はホラーなので広い心で観るのがオススメ。

私はホラーに関する感覚がバグっているのでこのくらいではさほど怖い(あと暴力描写も)と思えないのですが世間一般的にはどうなんでしょうね。

ひと捻りがあると、さらにひと捻りを求めてしまうのですがそういったことはなく、悪役側も意外とあっさりした印象。
含みのありそうな警官のセリフに「そこからさらにまたひっくり返る?」とか期待してしまったじゃないですか。

この作品が受ける評価の高さは全体構造の妙に対してだと思うんですが、単純にホラー作品としてなら淡泊なのではないかな?と思うんですよ。

血が飛び散り身体の部位がちぎれるようなグロ描写もほとんどなく、悪役は生き返らず銃弾も効果がある現実的範囲の脅威なので。
いわゆるジェイソンやフレディのように人知を超えた悪ではない。
脅威は目の前の異常者ではなく主人公の脳の中にある、ということなのかも知れませんけど、だったら主人公の好きな作家がHPラヴクラフトでなくてよくね?と思ってしまった。
てっきりどこかで魚人顔のキャラやタコの頭とコウモリの羽をもつ神が登場するかと(出たら出たでチープそうなので出なくてよかったですが)…。

ただ暴力は結構エグい。
旧作「マーターズ」もそっち方向に振り切った映画でしたが今作も(「マーターズ」ほどではないものの)ハード目の描写は多い。
そういった描写に抵抗のある方は手を出さないのがオススメです(言われなくても出さないでしょうが)。

色々書いていますがホラーとしてのバランスは良く、物語構造も面白い。
予備知識なしで観るのがいい作品。
単純に血と暴力の嵐に終わらないあたりがフレンチホラーブームの牽引役になったパスカル・ロジェらしさなのかもしれない。
★★★★☆



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