欧米ホラー映画では物足りない人にオススメのアジアンホラー「女神の継承」
U-NEXTのポイントが余ってるので鑑賞。
怖いと聞いて観てみたんですが、これは面白かった。
怖さ自体はそこそこ。
いろいろとツッコミどころもあるんですがホラー好きなら是非観た方がいい一作。
ミン役のナリルヤ・グルモンコルペチさん(名前が覚えられない…)がキレイなのでそこも見どころ。
ともかく夏におススメの一作。
欧米のホラーは物足りない、アジア独特のどろどろした作品が好きな方にちょうどいい塩梅。
以下、ネタバレありです。
まずツッコミどころから。
モキュメンタリーが難しいのはドキュメンタリー形式でありながらフィクションである以上、演出をつけるというところでして。
演出をつけすぎるとドキュメンタリー(ノンフィクション)から離れすぎるし、演出をつけなさすぎるとノンフィクションとして物足りない。
ドキュメンタリーの場合、演出をつけることでフィクションとしての見易さを向上させるわけですけど、今作はあくまで「フィクションだけどドキュメンタリーに見せたい」作品なので演出は抑えた方がいい。
この辺の配分が難しい。
まず悪魔(悪霊)祓いシーンの人員配置のおかしさ。
今回の悪魔祓いはミンにとりついた悪霊を祓うわけですからミンの拘束は大前提として必須なんですよ。
なのになぜか人はみんな儀式の方に出払って、ミンの部屋の前には祈祷師の弟子とミンの叔母と赤ちゃん、そしてカメラマンの三人。
仮に儀式が終わるまでミンを部屋の中に封印するなら、建物の周囲には誰も近づけない(部屋の鍵は祈祷師が持つとか)とか儀式の傍のプレハブ辺りに封印するとかやりようはあったはず(ミンの手を引いて移動してるシーンもあるので)なのに。
悪魔が讒言を弄して扉を開けさせるなんて大定番なのに舐めすぎ。
そして案の定、叔母が騙され封印を解いちゃう。
そしてシーンで祈祷師の弟子が叔母を止めつつカメラマンに「早く確認してください!」というのにカメラマン全然動かないんですよ。
部屋の封印守らんかったらヤバいのはお前もわかるだろ。。。
で、儀式は失敗して次々虐殺が始まるわけですけど、正直ここでBGMはいらないと思うんですよね。
「取材班は全滅し、その記録だけが発見された」っていうストーリーがついている以上、引き継いでその映像記録を今作として映画化したスタッフが虐殺シーンに演出を果たしてつけるか?って違和感がどうしても拭えない。
あそこは無数の悪霊にとりつかれた人々の息遣いや悲鳴が響き渡るだけで充分怖さはあるので正直余計な演出はいらなかったなぁ、と。
全体的には非常に面白かったですね。
女神は果たして女神だったのか?というリドルストーリー的なオチはプロデューサーであるナ・ホンジン「コクソン」にも通じるテーマ。
人は神を信仰するが、果たして神は人間の善や悪といった概念だけで(例えば人間に味方すれば善だというような)推し量れる存在なのか?という疑念が根本に流れてる。
そしてこの手の定番ですがキリスト教は相変わらず役に立たない。
祈祷師の取材のはずがその複雑な経緯が明らかになり、一族にかけられた呪いが判明、ミンにとりつく悪霊の存在が浮かび上がって...。
失踪したミンが発見されるまでちょっと間延びしましたが、そこ以外は展開もよかったですね。
非常によくできた(一部不可解でしたが)モキュメンタリーホラー。
日本のホラーと違って名前も顔もよく知らないキャストだけが演じているのでドキュメンタリーとしてリアリティが増してさらに面白い。
ホラー苦手な人はどうなんでしょうね。
個人的にはこのくらいがベースラインって感じで。
怖い、というか一番びっくりしたのは監視カメラに映りこんだところですかね。あそこはわかってても音と同時驚かせ演出でスキを突かれた。
最後、ミンが母親を焼くところ
「昔ならそのまま燃やしたろうけど、今はカメラマンが先に見つかるんだろうなぁ…あぁ、やっぱり見つかったか」
って展開が今どきのホラー演出の難しさって感じさせてました。
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