#人生を変えたボカロ曲3選
絞れる訳がねーだろ。
Twitterでこんな素敵なハッシュタグが話題になっていたのですが、当たり前に感情溢れ出して止まらない文字数足らないのでnoteにまとめます。
本当はもっともっともっともっとも〜〜〜っとありますが…。
今回はボカロ文化に支えられ続けてきたここまでのあたしの人生を振り返ったときに、確実にターニングポイントになってるなと思う楽曲を、ボカロPとして、ボカロリスナーとして、それぞれご紹介させてください。
▼ボカロPとして
1.Alice in 冷凍庫/Orangestar
あたしが作曲を始めるキッカケになった楽曲です。
出会ったのはあたしが15歳の頃、ボカロ文化に深くハマり始めて間もないくらいだったと思います。
衝撃を受けすぎて、"家族でショッピングモールに買い物行った帰りの車の中、曇り空でちょっと寒かった"という細かな景色までマジで鮮明に覚えてます。
まずは6分弱という曲の長さに驚きました。
それまで聴いたことのあった音楽はJPOPとボカロ曲で、そのどれもが3〜4分台だったので、「クラシック以外の音楽でこんなに長い曲もあっていいんだ!!」という音楽の自由さみたいなものを強く体験しました。
そして、楽器構成や曲展開がめちゃくちゃシンプル。
ボーカル、ピアノ、ベース、ドラム、ちょっとだけストリングス。たったこれだけ。ピアノのフレーズは繰り返しがほとんどで、ベースの動きも全然ない。それなのに、こんなにも曲の世界観や温度感が表現されていてめっちゃ聴きごたえがある。
さらに、曲の途中でBPMが変化する曲を聴くのも、これが初めてでした。最初聴いたとき、全然理解が出来なくて混乱してたな〜。
当時あたしは、スマホに入ってる「GarageBand」という作曲が出来るアプリの存在を知ったばかりで、元々作曲をすること自体興味あったので多少触ってはいたんですが。
音楽経験は小学校時代に金管バンドでトランペット・小太鼓・和太鼓をそれぞれちょびっとやっただけの奴にとって、DAWの操作はチンプンカンプンおちんちん。「作曲はまず人の曲の耳コピから」というのは知っていたのですが、知識&経験皆無あかちゃんにはどの楽曲を聴いてもコピーなんて到底出来る気がしなくて、一切やれませんでした。
でもこの楽曲なら、楽器の数も激しい動きも少ないし、全ての楽曲がとっても聴き取りやすい。
「これなら出来るんじゃね…!!」と、少年は作曲アプリの打ち込みに明け暮れました。
まあ、iOS版GarageBandにはテンポチェンジ機能がないので、結果的には出来なかったんですけどね。
それでも、耳コピで不完全ながら初めてフル尺の曲を作ることが出来た経験は、現在の作曲活動の確かな原点となっています。
ちなみに、現在でもこのiOS版GarageBandを使って曲を作っています。有料音源使ってもいいんですけど、"冷蔵庫にある食材や余り物などそこそこいい味付けの家庭料理を作る"っていう感じのコンセプトがあたしの裏目標としてあるので、Apple社が急に「今日から社名を"X"に変更して俺好みに色々好き放題変えていくぞー!!」とか言わない限りはずっとスマホのGarageBandで曲を作ると思います。
(先日ボカクロの主催・ippoさんにMacBookを譲っていただいたので、MIXのお勉強とかはそっちでやるってのもありだな〜とは思っています)
2.メルト (音街ウナ カバー)/cillia
あたしが初めて"音街ウナ"という存在に出会った楽曲です。
オリジナルではなくカバーの動画ですが、確実にこれが無かったら音街ウナを好きになっていなかったので、紹介します。
原曲を知ったのは、太鼓の達人というリズムゲームです。『千本桜』『ルカルカ★ナイトフィーバー』『六兆年と一夜物語』『脳漿炸裂ガール』などの定番ボカロ曲も、あたしは太鼓の達人から知りました。音ゲーって音楽の流行りを知れて意外といいのかもね。
cilliaさんのことは、実は歌ってみた動画から知ったので、最初は歌い手さんだと思ってました。このカバー動画の1個前に投稿された、DECO*27さんの『ゴーストルール』の歌ってみたを聴いて、「外国の女性の歌い手さんって聴いたこと聴いたことあんまりないけどめちゃくちゃ上手くてええやんけ〜」って思ってました。まさかボカロPだったとは…。
冒頭のラララパートから歌がうますぎて、本当にVOCALOIDか疑いました。ハキハキした発音や伸びのある発声はもちろん、ビブラートやブレスアウトの聴こえ方までめっちゃくちゃ自然で、もう「なんじゃこりゃ!?」って。
"真っ先に思い浮かぶ"の、「まぁはーっさっきんにーいー おんもい〜ぅうー⤵︎ ︎か〜ぶうーっハッ…」っていう歌い方がめっちゃ良いんですよ。これ文字起こししてみたけど全く伝わらないので、元動画で聴いてください。
この部分に、息遣いの自然さや中音域のイケメンな力強い声質、ところどころ見える快活なかわいさなど、細かい魅力がこれでもか〜っ!ってくらい詰まってるんです。マジで良いんですマジで…。
そして、伸びやかで突き抜けるサビの高音。ぶち貫かれまして、鳥肌が止まらんかったとです。うなぎですけど。
あとね、一番最後の"今すぐ わたしを抱きしめて!"でかっこよさとキュートさ丁度半分ずつくらいの表情を見せてから、"…なんてね"で一気に切なさを残してくるココがガチで最高すぎる。
こうしてあたしは、音街ウナというVOCALOIDの大ファンとなってしまったわけです。ありがとう、cilliaさん。
こりゃ本当にとんでもねぇ歌い方が出来るVOCALOIDなんだと、あまりの良さに恐怖さえ感じました。
この動画があったおかげで、あたしは向こうの次元に友人も出来ました。そういう"関係性に関する思い出"っていうのを、この動画を開く度に感じます。
一応なんですけど、音街ウナというVOCALOID、公式のウナちゃん、他のボカロP家のウナさん、そしてあたしの友人はみんな違うので、そこんとこよろしくお願いしますね。
3.ミッドナイト・プール/cat nap
あたしが初めて"VOCALOIDと歌ってみた"ジャンルに出会った楽曲です。
動画の投稿日があたしの誕生日と同じということにさっき気づいて、より親近感が湧いています。
この曲が投稿された2017年当時、ボカロ文化は現在のようにテレビで特集が組まれたりYouTubeで1億再生超えたりみたいな形では、一般的に受け入れられていなかった印象があります。
実際、ボカロオタクの道へ足を踏み入れていたあたし自身も、「ボカロはボカロ、人間は人間」といった感じで、勝手にそれぞれで括って壁を作った状態で音楽を楽しんでいました。
でもこれは、1つの曲の中でミクとねこむらさんがとっても柔らかい声でハーモニーを奏でている。絶対に交わる混じり合う事などないと決めつけていたVOCALOIDと人間の声が、こんなにも心地よく溶け合っている。
圧巻でした。新鮮でした。感動でした。音楽って本当に自由で面白いんだな〜って。
マジでこの曲に出会わなかったら、今のあたしのスタイルっていうのは絶対になかったですね。
余談ですが、あたしの初投稿動画作品は、この楽曲をウナと一緒に歌ってみた動画です。まだアイツとは出会って間もなくて、距離感がそこそこあっておもろいです。
そしてこの1年後、鏡音リンちゃんとみきとPさんご本人が一緒に歌う『ロキ』という曲がバチクソにバズり散らかします。また、この頃からピノキオピーさんの事も個人的により深く知ることになっていきます。
VOCALOIDと一緒にボカロPが歌う楽曲がきっとここからさらにこういうアプローチが広まっていく期待感と、あたしはそれよりも前にcat napさんでVOCALOIDと歌ってみたというものに出会って衝撃を受けてるもんねー!!という謎の厄介マウントで、胸いっぱいになってた記憶がありますね。
(ピノキオピーさんは2017年以前からもミクとデュエット沢山されてるんだけどね、『動物のすべて』とか。)
▽ボカロリスナーとして
1.少年少女家出綺譚/しじま
あたしがここまで深いボカロオタクになるキッカケになった一曲です。
新曲マジで一生待ってる…。
この頃のあたしは「とにかく高い音を出して歌いたい!!」という完璧な高音厨でした。声変わりが始まる前はhihihiF#まで出せたんですよ。自慢です。
ほいで、"ボカロ曲 高音"かなんかで検索してたら、高音のボカロ曲を最高音域順にまとめた記事を見つけまして、そこから知りました。
見たことの無い文字列のタイトルと、あの白を基調としているのに色鮮やかで美しいサムネイルに惹かれ、動画を再生しました。
今まで聴いたことないとんでもない迫力の煌めきと超高音のミクが織り成す、爆発的に感情に打ち付けてくるサウンドに心を奪われました。マジで鳥肌が立った。
今でも定期的にこの曲が聴きたくなって、原キーで歌えたあの日々を思い返しながら懐かしんでいたりします。
そして、この曲に出会ったときの再生回数はたしか5000後半くらいだった気がします。
それまでのあたしは、"VOCALOID殿堂入り"タグで曲を漁ることがほとんどでした。未熟な頃特有の「再生回数が多いほど良い曲」という考えの元、少なくても10万再生超えてるやつの方がすげえクオリティだろうなどとほざいておりました。
そんなとき、5000再生の曲にこんなに感動させられちゃったもんですから、「もしかして10万再生いってない、1万再生すら超えてない楽曲にもこんなにすげえ曲があるのか…??」と思い始めますわな。
んで、気がついたらオタクです。
残念ながらもう販売ページがないのですが、以前しじまさんがBOOTHでオリジナルTシャツを販売されていました。すんげえワクワクして購入したところ、手描きイラストが描かれたコピー用紙も同封されていてテンション爆上がり。Tシャツと合わせて、あたしの宝物として大切にしまっています。
2.四弦奏者のための、孤独の奏法。/Haniwa
あたしが初めて"ポエトリーリーディング"というジャンルに出会った楽曲です。
ボカロリスナー、アメリカ民謡研究会好きがち。
こちらは2015年投稿の曲ですが、出会ったのは2017年です。先程の考え方のアップデートがあった直後に出会いました。2017年はマジでちゃんとオタクに堕ちた年だったな〜と、まとめながら改めて思います。
これも最初はタイトルが目に付いて聴いたはず。句読点が入るタイトルの音楽なんて見たことがなかったので、とっても新鮮でした。
デカすぎるベースの音圧、エフェクターのかっこよさ、少ない動きながら一目で凄いことをやってることがわかる動画演出。クリエイティブすぎる一曲に度肝を抜かれました。
また、それまであたしが聴いてきた音楽には"ボーカルのメロディ"というものが必ずありました。(ゲームなどのBGMも聴いたことはあるけど、あまり音楽と認識して聴いたことはなかった)
それが、この曲には一切ない。ただ、結月ゆかりが淡々と言葉を連ねる。なるほど、こういうのも音楽なのか……。
俳句や短歌の事を"詠う"と表現する意味が、この曲を聴いてわかったような気がします。
衝撃で呆気に取られながら聴いているあたしに、曲後半でイントロと同じフレーズを詠った直後、"貴方も。"と突然指を刺されたあの鳥肌は忘れられないです。規律的な恐怖って言ったらいいんでしょうか…、とにかくドキッとして心臓なくなるかと思いました。
そこから、それが"ポエトリーリーディング"というジャンルであることを学び、大好きになっていきました。まずは合成音声のものから聴き漁り、人間のポエトリーの存在もやがて知っていきます。
音楽ジャンルなんてロック・EDM・JPOP(しかもめっちゃざっくり)くらいしか知らなかったし意識もしてなかったのですが、ポエトリーリーディングを知ったのをきっかけに様々なジャンルについても学ぶようになった気がします。
しかもボカロ曲って、"VOCALOIDを使っていればボカロ曲"になるので、本当に全てのジャンルの曲に出会うことが出来るんですよ。
trap系のヒップホップも、残響系と呼ばれるロックも、R&Bやファンクも、あたしは全てボカロ文化で知りました。
だから、音楽が好きな人は今すぐボカロ曲を漁って聴いてみて欲しいなって思います。絶対楽しいと思うんだ。
3.未完成タイムリミッター/Orangestar
あたしの人生を救ってくれた曲です。
この曲には、個人的なクソデカ激重感情がこれでもかと詰まっています。
多少の自分語りをします。
中学2年生の秋から数年間、母親の何気なく呟いた一言がきっかけで、勉強も運動も、生活全てすらがほとんど何も出来なくなるくらい病み散らかしてた時期がありました。ちゃんと診断は受けていないですが、まあ間違いなく鬱の症状と言って問題ないと思います。
原因となった一言は完全にお互いのすれ違いやあたしの勘違いであり、既に解決済みです。
ほいで、今じゃ考えられないくらい本当に生きるのが苦しかったんですよ。心臓が痛いのに空っぽな感じして涙止まらんかったり、腕に力が入らなくてお箸すらまともに持てなかったり。深夜にベランダの手すりに腰掛けて、飛び降りちゃおうか考えながら月を見上げるとか、2日に1回くらいしてました。
そんなわかりやすくドン底だった思春期の日々の中、ボカロ文化に触れてまだ1年くらいのタイミング。全然違う別の曲を聴こうと思った際、たまたま誤タップしたのがこの曲との出会いでした。Orangestarさんのことは『アスノヨゾラ哨戒班』で元々知っていたので、そのまま聴いてみることにしました。
初めて音楽で泣きました。
もうそれはそれは盛大に号泣しました。
どのポイントでとかじゃなくて、歌詞の全てで泣きました。
過ごすことになってしまったこれまでの闇の日々を重ね合わせながら、なんだか自分のことを理解し認めてくれたような気がしていました。
そして、曲の最後を締め括る"時間ならあるさ"という歌詞は、この悩み苦しみも時間がだんだんと解決してくれるし、自分にはまだこの先の人生に膨大な時間が残されているんだと、背中をさすってくれるみたいな安心と未来への希望を感じました。
この曲に出会った日の、ベランダで見たあの月は少し欠けていて、とても眩しくて鮮やかな黄色でした。
Orangestarさんは本当に、10代の未熟な気持ちや考え方に寄り添い、そうした上で前を向く為のヒントや余裕をくれる、爽やかであたたかい歌詞を書かれますね…。
それから少しずつ、マ〜ジでほんの少しずつ、数年かけて精神は回復していき、ボカロ沼に堕ち、作曲を始め、バイトも始め、ボカロPの友達も出来ました。
この曲がなかったら、今頃あたしはお星様として第2のキャリアを歩んでいたことでしょう。齢13でそんなことになったとて、人生経験浅すぎてそっちでもあまり目立った活躍など出来なかったと思うので、これで良かったです。
Orangestarさんは、あたしの作曲のルーツとしてだけでなく、人生のルーツとしても、本当に本当に深く支えていただいています。いつか直接感謝が伝えたいンゴね〜。
ちなみに、2022年にキャパ8000人くらいのクソデカワンマンライブのチケットが当たったことがありまして、その際は奥様の夏背さんがこの曲を歌われておりました。高音が涼やかで本当に綺麗だった…。『DAYBREAK FRONTLINE』をIAちゃん夏背さんOrangestarさんで歌ってくれたのも激アツだった。マジでめっちゃくちゃ楽しかったです。
あたしの人生の半分は、ボカロ文化と共にあります。
今でもこうして、ボカロPとして、ボカロリスナーとして、この文化の一部になれていることが、あたしはとっても嬉しいし誇りです。
そんな人生を過ごしてきて、これからもそう過ごしていくであろうあたしに、出来ることってなんじゃろか。このクソデカ長文記事を書きながら、そんなことを考えておりました。
それでは。本日もよいボカロライフを。
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