3分De論文【言語聴覚士の 「患者の発話を待つ」 という臨床技能の検討】
みなさん、こんにちは。
論文を読んで勉強したいけど、忙しくてなかなか出来なという方の味方、時短言語聴覚士STサクです。
今日は3分でこの論文を説明します。
この研究では、失語症患者とのリハビリにおいて、新米とベテランSTのリハ場面を分析して、「患者の発話を待つ」という技能が具体的にどのようなものなのか調べた論文になります。
この論文の中で、経験豊富なSTは「漸次的ヒント提示連鎖」(gradual hint-presentation sequence organization)というプロセスを使っていることがわかりました。難しい名前ですが簡単に言うと、いきなりヒントを提示するのではなく、下記のように段階を経て提示しているようです。
・患者さんの想起の状態(どこでつまづいているのか)を確認する
・ヒントを提示する前に予告する(語頭音なら「最初の音は・・・」など)
・患者さんがヒント提示を了解するような反応を確かめてから提示する
この「漸次的ヒント提示連鎖」は、言葉だけでなく、表情やジェスチャーなども使った言語的・非言語的な働きかけも含まれます。
面白かったのは、新人STとベテランSTの違いです。新人さんは、この「漸次的ヒント提示連鎖」がまだ上手くできません。したがって、患者さんの想起の状態が分からず、反応に対し適切に肯定や修正が出来ていなかったり、ヒントが良いタイミングで提示されていませんでした。
一方、ベテランのSTは、患者さんのちょっとした目線の動きや身振り、空書(空中に文字を書くような動作)などにも注目して、「漸次的ヒント提示連鎖」を効果的に使い、最小限のヒントを最大限に使おうとしていました。
STはなるべくヒントを提示せずに患者さんに正しい発語をしてもらうことが目標です。つまり、「患者の発話を待つ」技術は、患者さんが言葉の想起を十分出来るように関りながら待つという、能動的な技術と捉えられます。
今後の課題として、新人STがどのようにこの「漸次的ヒント提示連鎖」を身につけていくのか、もっと詳しく研究する必要があるそうです。
いかがでしたでしょうか?
論文の中で、訓練場面を事細かに言語化して、それにどういう意味があったのか分析していましたが、私はそれに触発されて自分自身や患者さんが発信したことの意味を改めて見つめ直す良い機会になりました。
皆様はどのようの感想を持ちましたでしょうか?
ここまで読んでいただき有難うございました。
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ありがとうございました!!
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