鉄道業界ー業界分析
こんにちは。ジリ貧投資家です。
今回は鉄道業界について、業界分析を行っていきます。
鉄道業界とは
鉄道業界とは鉄道を運行する企業の総称です。属する企業は①JR②私鉄③第三セクター④公営の4つのどれかに分類されます。それぞれにおいて収益構造や事業範囲が違うため、自分が就職・投資したい企業群の特徴を控えておくことがベターです。
鉄道会社の分類
①JR
JRとは旧国鉄から分社した企業の総称です。この企業群にはJR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州・JR貨物の計7社が属しています。この中で上場しているのはJR東日本・JR東海・JR西日本・JR九州の4社のみで、残りの3社は未上場であり、株式は「独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)」が100%保有しています。
JR各社は鉄軌道事業に特化しており、JR東日本・JR東海・JR西日本では運輸事業が収益の50%以上をしています。一方でJR北海道・JR四国・JR九州では運輸事業における収益は本州のJRと比べても少なく、不動産事業が収益に貢献しています。
JR九州のようにバランスよく収益を上げている企業はJRの中でも少なく、2020年からのコロナウイルスの影響で運輸収入が減り、赤字となったJRは多い。今後JR各社は運輸事業における安全の追及のほかに、その他事業での収益増加に向けた取り組みをしていく必要があります。鉄道会社の総合職を希望する方はより良いアイデアを出せるように、デザイン思考を身に着けておくことをお勧めします。
②私鉄
私鉄とはその名の通り「私有鉄道」の略称であり、旧国鉄に対して民間会社が経営する鉄道会社のことを言います。具体的には小田急電鉄や京王電鉄、名古屋鉄道や近畿日本鉄道などが挙げられます。
私鉄の多くは親会社を中心として企業活動を行っており、各事業ごとに子会社を設立しています。一例として近鉄GHDを見てみましょう。近鉄GHDにおける鉄軌道事業(運輸)は、近畿日本鉄道や養老鉄道等が行っています。不動産事業は近鉄不動産等に、流通は近鉄百貨店や近鉄リテーリング等が行っております。
JRと比べ、運輸事業以外に強みがあるのも私鉄の特徴です。以下のグラフをご覧ください。
運輸事業以外の収益の大きさがわかります。私鉄は各社の管轄地域の発展のために様々な事業を展開し、地域に貢献しています。
③第三セクター
第三セクターとは、第一セクター(国・地方公共団体)と第二セクター(民間企業)が共同出資した企業のことを指します。智頭急行や愛知環状鉄道、北越急行などがあります。
第三セクターの多くの企業は経営難の状況にあります。第三セクターの多くの路線は旧国鉄の赤字路線を引き継いだものであるため、元々の利用者が少ないが原因の一つと考えられます。
④公営鉄道
公営鉄道は地方公共団体が運営する鉄道です。代表例として名古屋市交通局や横浜交通局が挙げられます。
地方公共団体が運営しているため、各交通局の職員は公務員となります。その為、公営鉄道に携わりたいと考えた場合、各自治体が行う試験に合格する必要があります。
鉄道業界の取り組み
現在、鉄道業界ではインバウンド需要を生み出すとともに、運輸収入以外の収益を生み出す努力を続けています。現在日本の人口は減少し続けており、2070年には9000万人を下回るという予測が出ている。人口の減少は鉄道会社の運輸収入に直結するため、鉄道会社は運輸業以外での収益確保が急務です。
運輸業以外の収入を増やすため、鉄道会社は様々なことを行っております。
東京メトロは鉄道資源を利用したNFTの発行や沿線の開発を行っております。また、JR東日本は各自治体と協力し、町おこしに力を入れています。このように鉄道に頼るだけでなく、関連事業を想像していく必要があります。新事業を作り出すために、想像力が豊かで、チームを引っ張ることのできるリーダーシップを持つ人間が必要となるでしょう。
鉄道会社の募集する職種
総合職(事務系)
主に総務・人事・経理・広報・事業創生などを行う職種です。最終的には経営者を目指す職種であるため、入社難易度は非常に高いです。デザイン思考やチームでのリーダー経験などが豊富な方が多い印象を受けます。
総合職(技術系)
鉄道技術者として、技術的な視点から会社施策を提言・実行することが求められる職種です。最終的には各鉄道技術部門のトップを目指すことになります。
現業職(運輸)
鉄道会社の顔である駅務・車掌・運転士として活躍することが前提の職種です。時間・社内規定・法令の遵守が求められます。大卒であれば個人の希望により、支社勤務・運転士・管理者等の道があります。
現業職(技術系)
鉄道現場の技術職として、各専門分野を極めることが求められている職種です。運輸職と同様に、個人の適性や希望によってオフィス勤務や現場の監督者となる道が用意されています。
鉄道業界を志望して感じたこと
コミュニケーション力と主体性を見られているように感じました。私は現業職(運輸)を中心に就職活動をしていましたが、1社しか内定を頂くことができませんでした。敗因として、自分が伝えたいことをそのまま相手に伝える能力と決断力が足りなかったことが挙げられます。
鉄道はチームプレーですが、いつも同じメンバー・場所・役割ではありません。そして駅員・運転士・車掌・指令はそれぞれ違う場所にいます。無線を通しての会話となるため、現場で今何が起こっているかを正確に伝えることが必要となってきます。また、運転再開や列車を止めるのは指令や車掌、運転士の仕事です。危険だと思えば躊躇することなく非常ブレーキを投入しなければなりません。判断能力がなければお客様を危険にさらすことになります。
私はこれらの能力を示すエピソードを伝えられなかったことが敗因だと考えています。これから鉄道業界を目指す人は、コミュニケーション力と判断能力を示せるようなエピソードを用意しておくことをお勧めします。
鉄道業界を志望する人へ
電車が好きだからという理由だけで鉄道業界を志望するのは危険です。テクノロジーが進化する現代において、乗務員という職を続けられるわけではありません。鉄道を通して何を実現させたいのか、どんな思いで業務に取り組むかを明確にすることをお勧めします。あなたの熱い思いはきっと面接官に届くでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この記事が鉄道業界を志望する方の役に立てれば幸いです。
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