24年ベスト:音楽編
今年も沢山の音楽を聴き、幾ばくかのフィジカルも買ったがこのような生活をいつまで続けられるかはわからない。
今年で最後かもしれないと思いつつ、来年末もこのようなレベルでベストアルバムを選ぶ程度の心の余裕を持てると良いなと思ったりもする。
この一年間、お世話になった大好きなアルバムが多数選外になっているが、それらのアルバムが本リスト上のアルバムより優れていないわけでは必ずしもない。
単純にこのリストにある音楽が私個人の2024年を象徴したアルバムだったというだけに過ぎない。
※音源の各種リンクはアルバムタイトルからどうぞ。
※12/15にXにポストした際から5枚増やし順位も僅かに変動してる部分がある。
※()内はレーベル名。
40‐31位
40.AURORA 『What Happened To The Heart?』(Decca)
ノルウェーの歌姫AURORA、その堂々たるパフォーマンスで既に大ベテランの貫禄もあるが、デビューして10年に満たなかった。
本作はAURORAの4枚目だが、表現者としての独特のキャラクターと音楽性がこれまで以上にマッチして、ダンスからロックまで様々なポップミュージックを高い次元で体現している様は圧巻。
世界的に見ても途轍もなく過小評価されてる気がする。
39.Magalí Datzira 『La salut i la bellesa』(Bankrobber)
Andrea Motisを初め数々の才能を輩出しているバルセロナのユース・ジャズバンドSant Andreu Jazz Band出身のダブルベース奏者/SSW。
「Clairoや角銅真実が好きな人にお薦め」と言われてまんまと嵌る。
基本的にはポップスな方向に向かっているけど実験的な部分もあるし、何より良い感じで力が抜けたような自然な歌唱が良い。
ベースの演奏も格好良いし、是非ライブ動画も見てほしい。
38.Anastasia Coope『Darning Woman』(Jagjaguwar)
当初ベスト35を出した際に次点だったのがこちら。
中世の聖歌隊のようなコーラスとアシッドフォークとアートロックの魔合体と形容したくなるどこか歪だけれど繊細で美しい音楽。
Brigitte Fontaineにも影響を受けているという若干21歳のアーティストのデビュー盤。
今年Molly LewisもChanel BeadsもMustafaもAngel OlsenもリリースしたJagjaguwarは最も充実していたレーベルの一つだったかもしれない。
37.James Hoff 『Shadows Lifted from Invisible Hands』(Shelter Press)
一聴するとポップとはかけ離れたものからポップ(ス)の痕跡を抽出するという行為がとても好きだ。
収録4曲の元ネタはDavid Bowie「Space Oddity」、Lou Reed「Perfect Day」、Madonna「Into the Groove」、Blondie「Heart of Glass」だそうだが、それら楽曲の要素をほぼ聴きとることはできない。
年末、往年の某アイドルのニュースが流れた際、日本の歌謡曲はほぼ聴いてこなかったはずなのに、数日間そのアイドルの大昔の曲が頭の中にこびり付いて離れなかった。
無意識の聴覚風景をテーマにグリッチ・アンビエント作品に仕上げたJames Hoffもそんなポップスの持つイヤーワームの恐ろしさと底知れぬパワーに魅せられた者なのだろう。
36. NewDad 『Madra』(Fair Youth)
「結局皆んなシューゲイザーと90年代が好きなんでしょ?」と突きつけられてるかのようだ。
アイルランドから彗星の如く現れた彼らはみるみるうちに日本での人気を獲得し、来日公演まで果たしてしまった。
耳障り良くキャッチー、且つ耽美でドリーミーなメロディーを聴けば聴くほど、NewDadは現代のBellyあるいはMazzy Starなんだと強く感じる。
35.Kamasi Washington『Fearless Movement』(Young)
ポップなスピリチュアル系ジャズというものはジャズリスナーからあまり好まれていない印象を受けるが、ジャズを小難しく高尚なものでなく、ただひたすら格好良いものとして聴かせる、それも確かな技をもって聴かせるという姿勢は称賛されるべきものだと思う。
自分は熱心なKamasi Washingtonのファンではないが、ポップでクールなジャズが廃れないためにも本作をベストアルバムの一枚に推した。
何度もエンタメ的クライマックスを迎えるアルバム展開、Piazzollaのカバー曲「Prologue」で壮大なフィナーレを迎える構成(「Prologue」がフィナーレなのだ)は見事としか言いようがない。
34. Princ€ss 『Princ€ss』(wherethetimegoes)
このバンド名とアルバム名を検索しても日本の某バンドのことしかヒットしない。
ゆえに何もわからない謎のバンドだが、正体はアイルランドのスーパーバンドらしい。
スローコアとシューゲイザーとアンビエントを高度な次元で融合した楽曲は匿名性が高いがレベルも高い。
敢えて言えばHTRKに近いが彼らはオーストラリアだ。
私が情弱で知らないだけかもしれないのでバンドの正体について情報を求む。
33.Liana Flores『Flower of the soul』(Verve Records)
ボサノヴァとブリティッシュフォークを見事に折衷してみせた新世代イギリス系ブラジル人 Liana Floresのデビューアルバム。
Tim Bernardesをフィーチャーした曲を聴くだけでもタイムレスな魅力を持ったシンガー、アーティストであることがよくわかる。
大好きなイギリスのフォークロックバンドPentangleのカバーも披露したという来日ライブに行けなかったのは痛恨の極みだがこれから何度も来日してくれるだろう。
32 James Rushford 『Turzets』(Blank Forms Editions)
オーストラリア出身のコンポーザーJames Rushfordによる中世音楽とミュージックコンクレートの融合のような作品。
CS + Kreme、Oren Ambarchi、Klaus Lang(!)といった過去のコラボアーティストを見るだけでそのキャリアが凄まじいことは一目瞭然。
本作はなぜかあまり話題になってないようだがもっと聴かれるべき作品だ。
ポルタティーフ・オルガンの音色も素晴らしい。
31.Jeff Parker ETA IVtet 『The Way Out Of Easy』(International Anthem Recording Company)
ETA 4tet is:
Anna Butterss - amplified double bass
Jay Bellerose - drums, cymbals and percussion
Josh Johnson - amplified alto saxophone with electronics
Jeff Parker - electric guitar with electronics and sampler
こう書かれるだけで心が躍っちゃう最強カルテット。
収録曲すべて16分~23分の長尺の演奏で全曲素晴らしい。
年末に投下された最高のアンビエントジャズ。
30‐21位
30.Klara Lewis 『Thankful』(Editions Mego)
WireのGraham Lewisの娘であるKlara Lewisはこれまでも『Too』など素晴らしいアルバムをEditions Megoからリリースしてきた。
そんな彼女が21年に亡くなったPITAことPeter Rehberg(Editions Megoのレーベルファウンダー)にタイトル通り謝意を捧げた作品が本作。
シューゲイザー、アンビエント、ノイズ、エレクトロニカ、オリエンタルを巡り、果てはノイズへと回帰していくかのようなその音像はPeter Rehbergに対する最大限の賛美と鎮魂が込められている。
29.Hannah Frances 『Keeper of the Shepherd』(Ruination Record Co.)
アヴァンフォーク、ネオクラシカルインディーなフィールドではJessica PrattやLaura Marlingが流石の作品をリリースしたがそれらに勝るとも劣らない傑作がこちら。
Joni MitchellやJohn Faheyの影響が窺えるギターチューニングはなかなかプログレッシブだし、SSWとしての腕も確か。
全体的には老成しているかのような熟練の味わいがありつつ、若くて可憐な雰囲気も同居しているのが独特の魅力。
28. Li Yilei『NONAGE』(Métron Records)
ロンドンを拠点とする中国人コンポーザーLi Yileiのセカンドアルバム。
本アルバムの中国語タイトルは「垂髫」で「子供時代」または「乱れた髪」を意味するのだそうで、昔のテレビ番組や子供の玩具、アコースティック/電子楽器等をミックスしたアンビエントとなっている。
本作をひっさげ(?) Li Yileiが来日したのも凄いが、演奏中に体調不良のアクシデントに見舞われたというニュースにも驚かされた。(日本の夏がすべて悪い)
27.gum.mp3 『Black Life, Red Planet』(Gum Studio)
ダンスミュージックの最前線に位置するであろうgum.mp3のアルバム。
ジャングル、ジャズ、アンビエント等を吸収したアフロフューチャリズム極まる最強のビートミュージック。
年始にlit(福岡)でまた来日するとのこと。(東京来て…。)
26.角銅真実 『Contact』(Universal)
インタビューを読んだからかもしれないけれど、このアルバムにはアルゼンチンと長崎という遠く離れた二つの土地のイメージがごく自然に同居している。
青葉市子『アダンの風』やcero『e o』との共通項も勿論感じる。
今年の邦楽(という呼び方は本来好きではないが)の中でも最高レベルで印象的な作品。
25.Limpe Fuchs & Mark Fell 『Dessogia / Queetch / Fauch』
83歳の伝説的なドイツのミュージシャンLimpe FuchsとMark Fellのコラボレーション作品。
Limpe Fuchsによる多彩なアナログパーカッションとMark Fellによるデジタルノイズの融合がLP3枚分延々と繰り広げられる一大桃源郷。
因みに、息子であるRian TreanorがRotherham Sight & Soundと組んだ作品ではMark Fellのデザインしたソフトウェアシンセが利用され、Beatrice Dillon初のアコースティック作品はMark Fellの依頼が元で作られたらしい。(共に本年リリース)
自身の素晴らしい作品のリリースは勿論のこと、他の作品での影響力からもマンオブザイヤーはMark Fellで決定。
24.Sam Morton 『Daffodils & Dirt』(XL Recordings)
今年も数々の話題作がリリースされたたXL Recordingsだが一番嵌ったのがこちら。
このアルバムの製作の契機はラジオ番組にSamantha Mortonが出演した時の選曲の良さに感激したRichard Russell(XL Recordingsの創始者)がコンタクトしたことらしい。
単純にビザール&メランコリックなトリップホップとSamantha Mortonの声質が好きというのもあるけど、Alabaster DePlume、Laura Groves、Jack Penate、Ali Campbellという絶妙なゲスト陣も最高。
23. The Kris Davis Trio 『Run the Gauntlet』(Pyroclastic Records)
Kris Davisは『Diatom Ribbons』を2019年ベストの1枚に選んでるがジャズには基本門外漢の私はそれ以降コンスタントに追っていなかった。
本アルバムはジャケット記載のとおりGeri Allen、Marilyn Crispell、Angelica Sanchez、Carla Bley、Renee Rosnes、Sylvie Courvoisier という偉大なる女性ピアニストの先輩たちに捧げられているが、テーマに沿ったしなやかで美麗な作品集となっている。
トリオ編成でこの格好良さは本当にたまらない。
22.Donato Dozzy 『Magda』(Spazio Disponibile)
今年のテクノで一番格好良かったのは多分こちらとHuerco S.のLoidis。
勿論Voices From The Lakeが好きすぎるので贔屓目に見ているというはあるけれど。
Donato Dozzyが敬愛する叔母に捧げられた作品らしく、ミニマル且つ瞑想的なアンビエントテクノ。
21.Fievel Is Glauque 『Rong Weicknes』(Fat Possum Records)
Fievel Is Glauqueはプログレッシブ・ジャズ・ポップ・デュオと言われるだけにやってることはかなり複雑でテクニカルな部分がある。
他方、彼らが敢えて同居させているであろう絶妙なラウンジー感、ローファイな質感、フェイクさ加減により、音楽は決して小難しくはならない。
フランス人シンガーを擁していること、独特なリズムの取り方は多用されること等の共通項からStereolabと比較されるが、KnowerのようなViral Jazzやカンタベリー色が強かった時期のArt Bearsみたいな一面もある。
20‐11位
20.Lau Ro『Cabana』(Far Out Recordings)
ブラジリアンサイケロックバンドWax Machine(初めて知った)のメンバーLau Roによるソロアルバム。
ファジーなトロピカリズモが現代に蘇ったかのようなサウンドはボサノヴァ好きにもアンビエントフォーク好きにもサイケ好きにも刺さる。
ジャケットまんまのアシッド感に嵌る。
19.Melt-Banana 『3+5』(A-Zap Records)
Melt-Bananaは昔から大好きで『MxBx 1998/13000 Miles At Light Velocity』(Tzadik)は年間ベストに入れた。
11年ぶりのスタジオアルバムと言われ『Fetch』からそれ程時が経っていたことに驚くともに、8thアルバムにして、ポップカルチャー、サイバーパンク、エクストリーム・ミュージック等多様なサブカルチャーを全編取り入れた奇跡的なまでに若々しいバンドの佇まいに感動する。
18.Jabu 『A Soft And Gatherable Star』(do you have peace?)
年末近くにキャッチアップしたのだけど今年一番美しい音楽だったかもしれない。
ブリストル・サウンドと言われて自分が想起するもの、特にMassive Attack『Mezzanine』辺りの雰囲気、加えてCocteau Twinsの耽美さ、シューゲイザーやドリームポップのダウナーさ加減等が絶妙な配合で詰まってて泣ける。
今年レコードで購入した最後の音源。
17.Tyla 『Tyla』(Fax Records)
アマピアノをポップスに昇華してるとか、ダンスチャレンジ動画がどうだとか、いろいろな文脈で語れるのがTylaの凄さだが、そういうこと一切合切を超え、その煌めくスター性が素晴らしい。
24年に最も輝いていたポップアイコンによる最高のダンスアルバムだと思う。
16.Xiu Xiu 『13" Frank Beltrame Italian Stiletto with Bison Horn Grips』(Polyvinyl Record Company)
Tracy ChapmanのFast Carを恐ろしくも美しいオルタナバージョンでカバーしたアーティストとして自分の中では記憶されて早云十年。
Xiu Xiuは知らない間にインダストリアルを志向しつつ、今作では強靭なポップささえも内包した素晴らしいアルバムに至っていた。
若手の新しいバンドが数多く素晴らしい作品をリリースする中、ベテランによるフレッシュかつクレイジーなこのアルバムには痺れる。
15. Chanel Beads 『Your Day Will Come』(Jagjaguwar)
NYを拠点に活動するミュージシャン Shane Lavers のプロジェクト Chanel Beads。
アンビエント、ドリームポップ、チルポップ等、ここにはインディーの全てが夢のように詰まっている。
Jagjaguwarで2枚目のランクイン。
このアルバムの楽曲はDJセットに常に入れている。
14.Ibelisse Guardia Ferragutti & Frank Rosaly 『MESTIZX』(International Anthem)
ボリビアのシンガー兼マルチインストルメンタリストとシカゴ在住のプエルトリコのドラマーによる雑食ジャズ。
南米音楽やフォーク、ポストロック好きにもオススメできるアヴァンさ漂うデビューアルバム。
Jagjaguwarに続き、International Anthemからも2枚のアルバムを選出。
13.The Body & Dis Fig 『Orchards Of A Futile Heaven』(Thrill Jockey)
ドゥーム / スラッジ・バンドThe BodyとThe Bugのボーカル等で活躍してきたDis FigことFelicia Chenによる「混ぜるな危険」ユニット。
もはやユニットのビジュアルだけで優勝。
最新型メタルとアヴァンでダークなエレクトロニック・ミュージックが融合した究極的ヘヴィ・ミュージック。
意外にポップな部分があることにもキュンとしてしまう。
ヘヴィミュージック好きにはPharmakonとUboaも添えたいけど1枚ということでこちらを選んだ。
12.Lia Kohl 『Normal Sounds』(Moon Glyph)
毎年必ずチェリスト(Okkyung LeeやLucy Railton)が入る自分のAOTYだが今年は流石に入らなかったねと油断(?)したら結局逆転ホームランのように入ってしまったのが本作。
曲タイトルそのまま(Car AlarmとかTornado SirenとかAirport Fridgeとか)の日常にある人工音をベースとしたフィールド・レコーディングとチェロ、そしてシンセサイザーの見事な融合というのみならず、各曲の音楽性の高さが評価ポイント。
Ka BairdとPatrick Shiroishiがゲスト参加しているのもポイント高し。
11.KA 『The Thief Next To Jesus』(Iron Works Records)
今年最高のExperimental Hip Hop。(ベストを選んでる時はこればかり聴いてた。)
音楽を安売りしない男ことMach-Hommy同様、こちらも全くフィジカルが手に入らない。
でもそんなことは些末なことか。
KAの遺作。
10‐1位
10.Astrid Sonne『Great Doubt』(Escho)
今作で初めて知ったロンドンを拠点に活動するコンポーザー/ヴィオラ奏者。
TirzahとML Buchの融合などと言われたら好きに決まってるじゃん、と聴いてみたら当然好きだった。
因みにずっとアストリッド・ソンネと発音してたけどゾンネだったようだ。(とこの記事書いてる時点で知った)
9.Nala Sinephro『Endlessness』(Warp Records)
「アンビエントジャズだからライブ行こうよ」と家族に伝え、来日公演観に行ったら、低音がブチギレたグルーヴィーなサイケハーシュだった。(勿論アンビエントパートはあったけど。)
21年の『Space 1.8』も年間ベストに選んだが、本作もとても優れたアルバムだった。
ライブの際に見られた即興の積み重なりによりこのアルバムに至ったのかと想像すると更に感慨深い。
8.Rafael Toral 『Spectral Evolution』(Moikai)
Rafael Toralの過去作において、個人的に一番好きなのは『Aeriola Frequency』一択だったのだが、本作はそれに並ぶかそれ以上に素晴らしい。
00年代以降ギターから離れた彼がギター、アンビエント、ドローンに回帰したアルバムであり、エクスペリメンタルな環境音響を浴びることができる素晴らしい作品。
ある意味ジャケットの写真を裏切らない音。
7. Magdalena Bay 『Imaginal Disk』(Mom + Pop)
どこぞの漫画の第6部のように頭からディスク取り出すB級感漂うアルバムジャケット、ロココでレトロなMVやファッション、キッチュなエレクトロ/シンセポップの音色、どれをとっても素晴らしい今年最高の万華鏡ポップス。
チープなSFのような世界観がアルバム全体を覆い尽くしており、気づくと1周してしまう。
6.Dawuna 『Naya 』(Sun Royalle)
ウガンダ系アメリカ人アーティストDawunaの2ndアルバム。
前作『Glass Lit Dream』も途轍もなく良かったけれど本作はより一層生々しく、まるでデモのような実験的R&B、ソウル、ファンク、ヒップホップのミックスだった。
唯一の欠点は短いことだがそれさえも美点に思えてくる。
5.Church Chords 『elvis, he was Schlager』(Otherly Love Records)
LAの実験ポップ作家Church ChordsことStephan Buonoのソロプロジェクトだがゲストが凄い。
Jeff Parker、Nels Cline(ex. Wilco)、John Herndon(ex. Tortoise)、嶺川貴子、Ricardo Dias Gomes、Genevieve Artadi等々。
まさにドリームバンドによるアヴァンでパンクでメタなポップス。
4.Moin 『You Never End』(AD 93)
2年連続ランクインだがこれ以上ない当然の結果でもある。
本作にはアイルランドのOlan Monk、NYのJames K、ロンドンのCoby Sey、カタール系アメリカンSophia Al-Mariaといったいつになく豪華なゲストが客演しており、多様性とポップネスすら獲得している。
メンバーでもあるValentina Magalettiは今年も大活躍でHoly Tongue(Shackletonと共作をリリース)もNídiaとのユニットアルバムも最高だった。
3.Still House Plants 『If I Don ’ t Make It, I Love U』(Bison)
ロンドン出身ボーカル、ギター、ドラムというシンプルなトリオ編成のバンドによる
シンプルイズベストを地で行くような極めてストイックな作品。
ポストロック、ハードコア、ブルース等を飲み込んだソウルミュージック。
この作品は絶対日本盤を出すべきだと思ったのだが出なかった。
その代わり『MODE』の企画で来日し、goatとのライブを行ったことはとても意義深い。
2.Bianca Scout 『Pattern Damage』(Sferic)
前作からの一推しアーティストだげとよくぞここまで進化したなと素直に感動。
そもそも自分は一度推したアーティストを継続的にフォローしてこなかったのではないかと常々反省してきた。
ダンサー/ミュージシャン/パフォーマーとしての顔を持つBianca Scoutの面目躍如、室内楽とコンテンポラリーダンスとダークポップオペラの見事なミックス。
まだまだ推せる。
1.Jlin 『Akoma』(Planet Mu)
良いアルバムの条件とは何か。
ヒット曲が沢山入ったアルバムか、トータルコンセプトに優れた作品か、時代時代を象徴するアルバムか。
いろんな考えがあるだろうが「冒頭から釘付けにされ、最終盤に行くに連れ最高に盛り上がるアルバム」がシンプルに良いアルバムという気もする。(ラストで尻すぼみしていく著名なアルバムも多い)
その意味でJlinの本作は完璧と言って良い。
Björkが参加した1曲目から掴みはバッチリだし、ラスト3曲「Sodalite」「Grannie's Cherry Pie」「The Precision of Infinity」で最高に盛り上がって終幕する。
Kronos QuartetやPhilip Glassといったいつになく豪華なゲスト陣を招いていることも功を奏し、フットワークの要素にクラシックや現代音楽がこれまで以上に巧みに絡んでいる。
バラエティに富んだパーカッシブなJlin によるサウンドがメロディーをも構成し、実験的でありながら過去一ポップなアルバムにもなっていた。
番外
蛇足かもしれないがベストリミックスアルバムをオマケで1枚選出。
Kelela 『RAVE:N, The Remixes』(Warp Records)
KelelaはBank Headの頃からのファンでアルバム/EPもほぼ全てレコードで持っているのに過去の自分のAOTYには不運にも何故か入らなかった。
このリミックスはオリジナルアルバム以上にKelelaの音楽の魅力が詰まっている。
ようやく年間ベストアルバムリストにKelelaを入れるときが来たのだ。(番外だけど)
1月リリースという意味では24年の幕開けであり、年末ヴァイナルが出たという意味において24年のフィナーレでもあった。