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Clint Frazierの事

 2016年、前年の覇者KC、2010年代地区に王朝を築いたDETというライバルと熾烈な争いを演じながら9シーズン振りの地区優勝へと進んでいたCLE。そんなチームのトッププロスペクトはClint Frazierという、モジャモジャ頭が印象的な外野手の青年でした。

 多くのファンがチームでの活躍を信じ、期待していた彼。しかしその後青年は数奇な運命を辿った事は皆の知る所です。

 後でも触れますが先日彼がNYYからリリースされました。CLEとしては外野の補強の必要性は耳にタコができる程言われていますが、彼の今までを振り返りつつ、獲得の可能性に触れてみたいと思います。

Frazierとは?

 Frazierはローガンビル高校から2013年のドラフト1位(全体5位)でCLEに指名されてプロ入りします。その後順調にマイナーで成長し、チーム内のトッププロスペクトになります。


 彼の運命が大きく変わったのが2016年。3Aに昇格しMLBデビューも間近となったこの年、CLEはトレードデッドラインでリリーフ強化の為、セラーに回ったNYYから A. Millerの獲得を試みます。その結果、以下のトレードが成立しました。
(カッコ内は当時のプロスペクトランキング順位)

CLE
Ciint Frazier(1位)
J. Sheffield(5位)
B. Heller(30位)
J.P. Feyereisen

NYY
A. Miller

Millerはその後ポストシーズンで大車輪の活躍でチームのワールドシリーズ進出に大いに貢献しました。

 一方Frazierはと言えばNYY入り後2017年にMLBデビューします。

しかし彼のプロとしてのキャリアは脳震盪との戦いとなります。2018年のスプリングトレーニングで捕球の際フェンスに頭をぶつけて脳震盪になってしまったFrazier。

一時は飼い猫の名前を思い出す事さえ出来なかった程だったとの事ですが、結局そのシーズンはMLBで15試合での出場に留まります。2019年は試合数を増やしてMLBでも才能の片鱗を見せたものの、守備でエラーが目立ちファンからの批判に晒されました。後にそれは脳震盪の影響だったと自身告白しています。

 続く2020年はコロナ禍で短縮されたシーズンで、怪我で出場の限られたA. Judge始めライバルの外野手が軒並み低調の中、AVG .267、OPSは.900を超え、チームのPS進出に大いに貢献しました。

 そして更なる飛躍が期待された今季でしたが、脳震盪の影響かどうかは定かではありませんが目眩を訴えてIL入り。

オフシーズンに入りルール5ドラフトに伴うロースター整理でDFAされて、その後リリースウェイバーにかけられています(期限は過ぎたがアナウンスは未だなし)。

クリアはしていないのでまだ正式にFAにはなっていない(もしかしたらクレームしたチームがあるかもしれない)ですが、Frazierは既に年俸調停に入っていて、契約を引き継げば残り3年保有できますが、200万ドル以上の年俸を払う必要があります。後述の理由から果たしてそんなチームが出てくるかは微妙だと思いますが、NYYからリリースされた事は確かです。

CLEはFrazierを獲得すべきか? 


 FrazierのDFAを受けて早速FansidedなどではFrazierの獲得についての記事が出ています。

 獲得を考える上でのポイントは3つあると思います。

①能力面

 純粋に能力面だけを考えればFansidedの記事にもある通り、獲得にトライした方が良いと思います。確かにFrazierはNYYでレギュラーは獲得できませんでした。しかし2019、2020シーズンの成績から計算すると162試合換算では20〜30本のHRを打てる計算になります。CLEの現チームではJ. Ramirezと F. Reyes以外、外野手はおろか内野手にもその様な選手はいません。能力上は今の現有戦力に取って代わる可能性はあると思います。

②経済(年俸)面

 先にも述べましたが今季Frazierの年俸は約210万ドルでした(2022年の予想年俸は約240万ドル)。'後に述べる健康面から考えても、流石にその年俸は少なくともCLEには現実的ではないと思われます。Fansidedの記事にある通り、基本給は最低年俸でインセンティブの形なら契約可能、といったところでしょうか。

 問題はMLB契約か、マイナー契約でのST招待か、という事ですが、やはり健康面の理由からチームとしてはマイナー契約が妥当だとは思います。ただあくまでもチーム側から見た話で、本人としては受け入れ難いでしょうし、MLB契約を打診するチームが出てくるかもしれません。

③健康面

 先述のこれまでの経歴から判る様に、やはり彼の1番のネックは健康面でしょう。特に今季の目眩の症状についての詳しい説明が皆無なので、かつての脳震盪との関連性は気になる所です。ヤンキースがPSで敗退後、フレイジャーは自身のSNSで健康面について不確かな情報が流れているので会見して自ら話したいと投稿しました。

しかしそれから1ヶ月半、何の音沙汰もなく過ぎるなかでリリースされてしまいました。もし脳震盪の影響が尾を引いているなら、治療に専念した方が良いと思います。まずは彼の口から何が語られるのか、聞いてみたいです。

終わりに

 結論としてはまずは健康面を見極めて、不安が払拭されるなら獲得はアリ、という所でしょうか。Fanshdedの別の記事でも似たような結論になっていました。


 かつてのトッププロスペクトとはいえ、彼がマイナーでプレーしていた時のメンバーで現CLEのロースターにいるのはJ-RamとB. Zimmer始め一部の選手達だけですから、勝手知ったるという感じではないかもしれません。流石MLBというか、放出しまくったCLEらしいというか、凄いですね。

 Frazierがトレードされた時は本当にショックでしたが、どうなるにせよ、彼のこれからの道程に幸多からん事を切に願います。

. (Photo by Jeff Zelevansky/Getty Images)

追記:Cleveland. COMのビートライター、P. Hoynesもやはり健康面が懸念事項と答えています。

追記(12/18)
結局フレイジャーはCHCと契約しましたが、ファンとのやり取りを巡ってサバシアとトラブルになりました。

両方ともCLEでドラフトされ、その後NYYに移籍して2017年から3年間は共にNYYでプレーしていますから、サバシアとしても複雑なのは想像に難くありません。説明すると言っていた健康面に関しても未だ説明はない様ですし、フレイジャー今後の活動に幸あれと願いますが、いろいろ何とも言えないのが正直な気持ちです😥

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