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横浜にできるロープウェイの解説②採算大丈夫?

はじめまして、Zip Infrastructure株式会社の須知と申します。
私は自走型ロープウェイという新交通システムを開発しているベンチャーの社長です。こんな未来を目指して日々開発をしています。

この記事はYOKOHAMA AIR CABINの解説の②です。全体の目次は以下より

①ここがすごい
A計画から建設までの流れと驚くべき短期間での実施
B日本初の「エアコン付き」

②採算大丈夫?(本記事)
A収入予想
B支出予想
C赤字?黒字?

③今後の課題(明日以降)
A高すぎた建設費
B年次点検
Cバッテリー劣化
D曲がれない

というわけで2回目行ってみましょー

タイトル画像は

からお借りしています、ぜひこちらもお読みください


A収入予想

まず、1年に何人くらい乗るでしょうか(この想定が一番難しかった)
調べていると、YOKOHAMA AIR CABINと近くにあるランドマークタワーの展望台とが同じ料金だということに気づきました。大人1000円、子供500円です。そして展望台の年間来場者数が
・年間58万人(2012年、これだけリンク無くした)
・18か月で70万人(2018/6-2019/12、https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec180712_yokohamalandmark.pdf https://www.yokohama-landmark.jp/aim/press/pdf/2020skygardenrenewal.pdf)

というデータが見つかったので、インバウンドとコロナを無視した場合で、年間50万人と仮置きしましょう。
この条件で大人が40万人、子供が10万人とすると

40万人×1000円+10万人×500円=450,000,000円=4.5億円となります。

また、徒歩で10分程度の距離であることから、往復で利用する割合を10%と低く見積もります。往復券は大人1800円、子供900円と10%引きのようです。団体割引などもあるようですが、その辺の感覚はわからないので、往復利用によるプラス分と各種割引によるマイナス分は相殺するものとしましょう。

まとめ

コロナとインバウンドを無視した場合に、YOKOHAMA AIR CABINは年間4.5億円の売り上げが想定される

B支出予想

建設費は80億円程度とすでに報じられているので、年間当たりの費用を考えてみたいと思います。

まず減価償却費の算出のために建設費の内訳を推定します。

搬器(ゴンドラ)1000万円×100台=10億円(後で根拠書く)
支柱 10億円×4本=40億円(既存高圧電線塔を5億円として埋め立てを考慮してその2倍 参考https://www.occto.or.jp/access/oshirase/2015/files/20160329_tanka_kouhyou.pdf)
駅舎 10億円×2駅=20億円
その他(原動機等)10億円

次に減価償却費を算出します。計算が面倒なので定額法で計算します。

搬器 10億円/10年=1億円
支柱 40億円/50年=0.8億円
駅舎 20億円/50年=0.4億円
その他 10億円/20年(この年数は適当)=0.5億円

合計で2.7億円です。

運行に直接かかわる方は、乗り降りの補助がそれぞれの駅で1人、また、制御室で制御をする方が1人と考えて、合計で3人。点検、総務、広報等をする方々を考えて、全体で6人と想定します。

年収400万円に社会保険などを考え、1人当たり600万円がかかると想定すると、6人×600万円で3600万円が人件費としてかかります。

次に動力費、修繕費、賃借料などです。

ロープウェイや観覧車など、全体が動き続ける大型機械というのは、起動時こそ電力を食うものの、一旦動き始めるとそこまで電力を消費しません。(車が市街地走行と高速道路の走行で燃費が数倍違うのも加減速回数に大きな差があるから)普通のロープウェイだと1日1万円程度なのですが、エアコンもあることだし1日2万として、端数を切り捨て、動力費を年700万円としましょう。


次に修繕費です。そもそも、搬器(ゴンドラ)自体が輸入品であるので非常に高く(実はもう日本では作っていない)、2018年に箱根ロープウェイが出したプレスのp3では、フニテルタイプの18人乗りの搬器の調達価格が1台7000万円となっています。

今回のは人数も少ないし、通常タイプなので1000万円として年間1%分の修理を行うとすると、1000万円×100台×1%=1000万円となります。

次に賃借料です。これもグレーな部分が大きいです。まず参考に桜木町駅前でイベントをやる場合の金額を調べます。

これを参考に桜木町駅側を50万円/日、運河パーク駅側を半額の25万円とすると、75万円/日、これを年間に直すと75万円×365日=27,300万円(2.7億円!)となります。

しかし、今回のロープウェイがみなとみらいの観光ポテンシャルの上昇に結び付くことは間違いないでしょうし、長期間の賃貸であることや建設費を全額運営側から出していることを考えると、減額の余地は大きい気がします。ということで思い切って90%の減額として賃料を年間2700万円とします。

まとめ

全部合算すると

2.7+0.36+0.07+0.1+0.27=3.5億円となり、年間支出は3.5億円が想定されます。

C赤字?黒字?

AとBの結果から、4.5-3.5=1.0ということで年間1億円の黒字が見込まれます。これだけ見ると儲かるじゃん!って思いがちですが、利回りを考えると1.0/80=0.0125=1.25%となり、不動産の3-5%という利回りに比べると低く感じられます。

一方、索道事業が独占事業であることや計画を進めていた2018-2019年にかけて倍々ゲームのように海外観光客が増えていたことを考えると、建設された理由もわかります。

最後に、この想定はコロナを想定していません。観光客数が30%減少すると年収支が赤字になってしまうので、計算をして改めて、観光業界は非常につらい時期だと思いました。

さいごに


ということで今回は、YOKOHAMA AIR CABINの採算を想定してみました。皆さんの質問、反応をお待ちしています。

また、Zipではこれまでのロープウェイの問題点(3回目で書くことになると思います)を解決する自走型ロープウェイを開発するメンバーを募集中です!気軽に連絡ください!


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