【交換留学チュートリアル】番外編: 25卒就活体験記
こんにちは。今回は少し趣向を変えて、25卒就活の体験記を書こうと思います。過去の記事でも書きましたが、自分は就活を終えてから留学に向かったので、就活も自分にとっては留学のための「準備」でした。
記事内では留学要素は全くないですが、すでに26卒就活が始まっているというのもあって、このタイミングでこの記事を書きました。
筆者の例
先に自分の就活がどんな感じだったかをお伝えします。
選考時点でのプロフィール
東京大学大学院システム創成学専攻修士1年
いわゆる理系修士
学部: 東京大学工学部
浪人・留年なし
ガクチカ: 学生フォーミュラ団体の立ち上げ
インターン経験: 機械学習エンジニアとして2社勤務経験あり
志望職種・業界など
研究が情報系寄りで、特にAIを使っていたので、基本的にはAIを扱うデータサイエンティスト (以下DS)、機械学習エンジニア (以下MLE)を一番志望度高く設定しつつ、次点でバックエンドエンジニア、その次に外資の戦略コンサル・総合コンサルの順で志望度を設定していました。
選考企業数
サマーインターン
ES提出先企業数: 33社
エンジニア系 (システムエンジニア含む) : 24社
コンサル系 : 3社
その他 : 6社
ES・テスト通過企業数: 22社 (ES通過確約も含む)
テスト=コーディングテスト、SPI・玉手箱など
インターン合格企業数: 11社
本選考 (選考志望出したけど面接を1回も受けていない企業は省略)
ほとんどがサマーインターン選考の続きだったので、ESを新たに書くことはしませんでした。
選考企業数: 6社
内定を得られた企業数: 2社
落選企業数: 2社
辞退企業数: 2社
結果
通信会社のどちらかというとがっつりコード書く系のデータサイエンティストとして働くことを決めました。本命の企業の一つから内定をもらえたので、納得の行く結果で終わることができました。
ひとまずの感想
東大と聞くと就活無双するイメージあるかもしれませんが、自分の場合は少なくともそこまでではなく、むしろきついと思うことのほうが多かったです。結構精神削られるので、如何に平常心でいられるかが就活成功の鍵のひとつなのかなとも思ってます。
また、自分から本当に入りたいと思っている企業以外は世間的に通りやすいと言われていても普通に落ちます。就活は日本の大学受験とは異なり、仕事の処理スペックだけでなく志望動機も大事になってくるので、志望動機と会社の理念・事業がマッチしていないと普通に落ちます。で、大抵そこまで入りたいと思っていない企業に対しては志望動機をうまく表現できないのがあるあるなので、落ちやすいというロジックです。
自分の場合特にエンジニア職種以外の企業は、特段モチベーションが高いわけではなく周りが受けているor世間的に知名度が高く入れたらすごいと思われるからぐらいしか理由がなかったので、選考が全然進みませんでした。
ただまあ、別に何社内定もらったとて結局入るのは一社なので、何社内定を取れたとかは気にしなくて良いです。たまに、就活で取れた内定の会社数でマウント取っているやつがいますが (主にネット上で)、普通に精神衛生上良くないので無視しましょう。
早期化&長期化する現代就活
まず実際に就活をやってみて感じたのは、現在の就活は始まるのがとても早い上に、別に早く終わることなく長い期間就活に時間を割くことを強いられているという点です。
昔と比べて、先行きが不透明な現代において、学生は昔よりは勉強することが必須になっていますし、それ以外にもスキルの習得を煽られます。それに加えて就活に向けたプロセスの増加が更なるストレスをもたらしており、学生にとっての負担は確実に増えています。
上述の通り結構精神削られるので、本業の研究や授業にあまり手がつかなかったというのが正直なところでした。
また、ネット上ではあの会社に入る人は質が悪いだの、年収がどうのこうのだの適当なことを抜かすやつがたくさんいるというのもあって、更なるストレスが生じることもあります (変なマウントするやつも多いしね) 。しかしながら、ただ不満を述べるだけでは自分の将来が良くなるわけでは残念ながらありません。冷静に自分がやるべきことをこなすことが求められます。頑張りましょう。
体験記
大体のスケジュール
以下のスケジュールは、全て卒業から2年前の年 (学部3年 or 修士1年) であることに注意してください。早いよね。
面接回数は、カジュアル面接・面談などは除いています。
3月末: 就活サイトに登録し始める、外資ITのインターンにES提出
4月: サマーインターンのESを書き始める
5月: 多くのESが締め切りを迎える、面接が少しずつ始まる
面接回数: 3回
6月: 面接が本格的に始まる、ESを書くのを終える
面接回数: 11回
7月: 面接ラッシュ、大学テスト・レポート期間
面接回数: 9回
この時期に始めて大学のキャリアセンターを訪問
8,9 月 : サマーインターン
平日は研究室の予定も相まって2日ぐらいしか休み無かった気がする
ひっそりと滑り止めぐらいに考えていた企業に落選、面接1回
10月: 超本命の企業に落選、ここでようやく自己分析をきちんと行う、内定承諾企業の最終面接を受ける
面接回数:3回
11月: 内定承諾先から内定をもらう、ほとんどの選考を辞退
12月: もう一社入社可能性のあった企業から内定をもらう、終戦
面接回数: 1回
使った就活サイト: 理系修士の場合
基本的に使っていたのは、以下のサービスです。特徴はどのサービスもスカウトを受け取ることができる点です。
LabBase
ビズリーチ・キャンパス
サポーターズ
エンジニア志望でなければ不要
自分は参加しそこねたが、サマーインターン選考の時期に多くの企業と一気に面接できるチャンスがあるので、それは良さそう
外資就活ドットコム
コラムが色々と参考になった印象、登録して損はないぐらい
特にLabBaseは本命の企業から特別なオファーをもらえることもあるし、興味ない企業であってもカジュアル面接や場合によってはES選考通過確約のスカウトをもらうことがあります。ES通過確約のオファーは面接の練習にちょうどいいので、積極的に挑戦して良いと思います。ちなみにスカウトを一番もらったのはビズリーチ・キャンパスでした (OB訪問機能はあまり使わなかった)。
正直これ以外のリクナビ・マイナビとかは登録しなくて良いと思ってます。企業について右も左もわからない人は、どの説明会に行くかを決めるために登録する価値あるかもですが、早く動けている人は自分が行きたい企業が何であるかはある程度固まっていると思うので、大抵は不要です。
また、エンジニア志望でなにか書ける経歴がある人は、Wantedly, Linkedinに登録するのも良いでしょう。自分はWantedlyから何社か選考のスカウトをもらえました。
エージェント系のサービスについて
エージェント系のサービスも利用しましたが、正直そこまで魅力的な企業は無かったので特に興味なければ使う必要は無いです (わざわざエージェントを経由しないと新卒が集まらない会社という時点で若干の察しがありますが、、)。
ES対策
前提として、ESを書く前に自己分析を一通り済ませておくとよいです (やり方は後述)。自分のことが分かっていないと、企業の質問に対して自分がこういう人間なんだと伝えることが中々難しいです。
自己分析を一旦終えたら、企業についてよく知りましょう。自分はサマーインターンの際、なぜかここを怠って面接で結構適当な回答をしてしまった企業が多々ありました (当然落ちます)。最低限企業のHP、特に新卒採用向けHPは絶対に見ましょう。そこから企業と自分のエピソードのマッチしている部分を探し出して、ESを書きましょう。
書くべき内容
ESについて勘違いすべきではないのは、採用担当が求めているのはエピソードの強さではなく、そのエピソード・出来事での課題に対して自分がどういう考えでどういう行動を取ったのか、その結果どうなったのかの説明であるという点です。その過程に、あなたらしさや個性が見えてくると思うので、あくまで事実の羅列にならないように注意しましょう。
特にエンジニア志望の人は、どうしてもエンジニアとして優秀であれば問題ないと思いがちなのでこんな言語書けます!とかこんなプロジェクトをやりました!という経験だけでゴリ押してしまいがちですが、採用担当はそのなかで苦労したこと・工夫したことそれに至るまでの思考プロセスを見たいので、注意しましょう。
自分が最初によくやってしまっていた失敗として、ただただ自分がこなした出来事を淡々と書いてしまい、その出来事の過程における苦労や企業の事業・理念との結びつきを忘れてしまうことです。ただファクトの要約になってしまうと、採用担当としてはだから何?となって終わってしまいます。これが適当になっていた企業は見事に落ちました。
また、書き上げてすぐに提出するのは控えましょう。書き上げたときは最高の文章ができたと思いがちですが、一晩寝かして次の日に確認してみるとなんだコレ?みたいな現象はあるあるです。時間をおいてもう一度書き直してから提出に向かいましょう。そういう意味では、余裕のあるスケジューリングが求められます。
提出前には友達やキャリアセンターの人に目を通してもらっておかしなところが無いか確認しましょう。特に本命の企業に対しては必ずこのプロセスを行いましょう。
最近はChatGPTも身近なツールとして使えて、特に誤字脱字・文章の接続に問題ないかを確認するのに役立つと思います。ただあくまでGPTは校正程度に使うのが良いです、内容を書かせると大した内容のものを出力してくれないので。
読みやすいESの説明などは、以下のサイトが詳しいと思います。
長々と書きましたが、とはいえここまでの下りを完璧にこなすのは難しいのでまずは休日1日使って自己分析を終えて、とにかくESを書いて提出するのを繰り返すのが良いと思います。トライ&エラーを繰り返すことで、ブラッシュアップしていくことが大事です。そういう意味では、就活はかなりスピード命です。
SPI対策
これは実践あるのみなのかなという感じです。一応下の本で言語のところだけ2hほど時間取って確認した程度の対策はしましたが、それよりかは早い段階で選考を開始している企業のSPIを受けて慣れるのが良いと思います。特に言語分野は受けてみると大抵全然時間足りないと思います。それでも意外と通過するので、こんぐらいでも通過するんだという感覚・自信を持つという意味でも、早い段階から受けて慣れておくのが良いです。
面接対策
これも練習と実践で慣れていくほかないかなと思います。具体的には選考予定の各企業に対して面接での想定質問を頻出質問を参考に書き上げてから、それに対する想定の回答を考えます。そこから、その回答に対して深ぼった想定の質問を考えてその回答を考える、というプロセスを何回か繰り返します。
当然、本番の質問が一言一句同じなワケがないので、ある程度どんなことを喋ればよいのかを要素単位で覚えておきましょう。この際、何も見ずに話せるのがベストですが、自分の手元に簡単なメモをおいてそこから話せる状態が必要最低限のレベルだと思います。
一緒に就活をしている友達と週1回ぐらい、模擬面接をするのが良いです。模擬面接を通して、フィードバックを友だちからもらうことで想定回答や自己分析のブラッシュアップに努めましょう。友達も模擬面接してほしいと思うので、遠慮せずにどんどん誘いましょう。
頻出の質問とその回答の考え方は、以下のサイトなどを参考にするとよいでしょう。
また、キャリアセンターの人いわく、相手が質問してくれる想定での回答はあまり推奨されないそうです。もちろん質問の回答を元に面接官はさらなる質問をするわけですが、その際の質問はその行動に至ったプロセスや考え方を聞きたいので、出来事そのものの質問をされることが少なくなるように、最初の回答で概要は網羅しているのが理想です。
補足: ケース面接について
コンサルに本気で入りたいと思っている人は、ケース対策をコンサル目指している友達と本気でやりましょう。友達で戦コンに入った人は、毎日ケース対策をしていたし、こなした過去問の数も相当で、まるで受験・資格勉強みたいでした。自分はこの辺りのモチベーションが全く無かったので、コンサルは全然選考通りませんでした。
普通の面接と同じく、友達と模擬面接を高頻度でやることを推奨します。
ケース対策のイロハは他に詳しいサイトが多数有ると思うので、自分が (一応) 参考にした本を以下に示します。ケース対策の入門としては良かったです。
就活の軸
面接中、就活の軸はなんですか?と聞かれることが何回か有ると思います。ここで勘違いしてはいけないのが、就活の軸は自分の企業選びの条件ではないということです。こんな仕事をしてみたい、というのが軸のベースであって、それを踏まえたうえでどんな企業を選ぶのかが企業の条件になります。就活の軸とそれに対応するエピソードを添えることで、一貫性や論理性を評価されると思いますので、その点を意識するのが良いです。
逆質問
これもほとんど必ず聞かれるので必ず面接前に用意しておきましょう。下のサイトに有るような質問を予め手元のメモに書いてから面接に臨むのが良いです。もちろんなんでも聞いて良いわけではないので当然注意しましょう。
選考の管理
以下のNotionのデータベースを作成して管理していました。ESの下書きもここに残していました。なにげに、ESを提出した後提出内容を確認できないサイトの仕様になっている企業がいくつかあるので、最低限提出した内容は手元に残しておきましょう。
使いやすいかはわかりませんが、以下のサイト右上にあるDuplicateから自分のNotionワークスペースに自分が使っていたデータベースをインポートできます。たたき台にどうぞ。
早めにやっておけばよかったこと
自己分析
よく言われることだと思いますが、自己分析は大事です。なんとなくエンジニア・コンサルを志望していると、純粋にその人の技術的な能力だけを見られていると思いがちですが、 先述の通り実際はそんなことはなく、志望動機、過去の自分の経験・感情・考え、その会社の事業内容がリンクしていないとどんなに能力があっても落とされます。いわゆる能力は結局コーディングテストなりケース面接なりで測られるので、それ以外のいわゆる面接ではしっかり自分のことを分析できていないと回答に詰まっちゃいます。
じゃあどうやるんだという話になるかもしれませんが、大学時代を中心に自分の印象に残っている出来事を一通り書き出し、それぞれの出来事で具体的に自分がどんなことをしたか、どんな工夫・苦労・思考をしたのかを書き出しましょう。
書き出した文章を元に、自分の大切なこと、特徴、将来どうなりたいか (=アイデンティティ) を10個程度書き出してから、それぞれの要素に対応するエピソードを結びつけましょう。
それらエピソードと自分のアイデンティティが、ES&面接の元になります。就活の序盤は比較的時間があるので、そのうちに自分の大学時代の出来事ぐらいはある程度書き出せるとその先のES&面接対策が楽になると思います。
大学のキャリアセンターに行く
大学のキャリアセンターと聞くと、中々内定が取れないときの最後の砦として、とりあえず駆け込むみたいなイメージがありますが、実際のところ自分の就活には大いに助けになりました。ESの添削はもちろん、面接対策 (模擬面接) まで充実の対応でした。
東大の場合、キャリアセンターのサイトから相談の予約が取れます。結構先の日程まで埋まっているので、早め早めに予約を取ることをおすすめします。就活最初の一歩としても良いかもしれません。
エンジニア向け : leetcode
エンジニア選考においてはコーディング力が高いほうが当然ながら、高く評価されます。そもそもコーディング力が足りないと門前払いされちゃう企業もあるので (特に外資IT企業)、エンジニア志望であればleetcodeをASAPで取り組みましょう。コーディング力向上のために競技プログラミングを推している人もいますが、個人的には時間に縛られず学習できるleetcodeのほうが、就活対策としては良いと思います。
結局自分はこれにあまり時間をかけられなかったので、コーディング力を見られる企業では、テストで切られることが何回かありました。もっと早い段階から取り組めれば、より多くの選択肢を得られたのかなとも思います。
多くのサイトを見る限り、normalレベルの問題を何も見ずに解くことができれば、新卒の就活においては問題無いと思います。
一応補足しておくと、全てのエンジニア選考でコーディングテストがあるわけではないですし、コーディング力をそこまで重く見ていない企業も数多くあります。
補足: ESの管理方法
上述の通り、ESはNotionのデータベースにそのまま書いていましたが、今思えばgitのリポジトリを作成して企業ごとにマークダウン式のファイルを作ってそこに書くのが良かったかもしれないです。理由は、過去に書いたESを見返すことが容易にできるからです。もちろんNotionでやっても過去に書いた文章をコピペで残しておけば良いんですが、どうしてもいつの間にか文章を消してしまう場合があるのと、gitで見ると差分がわかりやすいというのが使う利点になるのかなと思います。
やらなくて良かったこと
就活サイト主催の説明会の参加
正直言って得られるものがなかったし、他の企業と合同で開催するというのもあって当たり障りの無いことしか聞けなかったりします。就活サイト的には、多くの企業が参加するのでコスパ良いみたいな感じを醸し出してますが、結局詳細はその企業の説明会行ってねみたいな感じで終わるので、参加するだけ時間の無駄でした。
説明会は自分の興味のある企業だけに参加するのが良いと思います。
結び
長々と書いてしまいましたが、以上が私の就活体験記でした。冒頭でも触れた通り、近年の就活は早期化と長期化の傾向にあり、多くの負担を強いられる状態なので、就活生の皆さんはすでにかなり大変だと思いますが、この記事が少しでもその負担軽減に役立てば嬉しいです。
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