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33歳で身体障がい者になった私の社会復帰までの全記録3

 長いトンネルを抜けたら・・・


やがて、元ちとせの
歌声の向こうから
光る点があらわれた。
初めは10ピクセル角の光る点は徐々に大きくなった。
「出口だ!」私は、その出口に向かって走り出した、
走り出したといっても走れるわけもない。
這っていったのか、
匍匐前進なのかはわからないが、
とにかくようやくトンネルを出た。
トンネルを抜けると、そこは雪国・・・ではなく、
薄っすら霧のかかった河原だった。
足元には、拳大の石がころがっていた。
すると、背後から、
「早く積め!」と怒鳴るこえが・・・。
なんでこんなことしおなきゃいけないんだ・・。
納得がいかない。
仕方なく。使える右手
つみあげることにした。
でも土台がたいらでなく、ゴツゴツした石の上に
かさねるので、
すぐに崩れるすると、背後から、
「なにやってるんだ!積め!!」
とまた怒号が飛ぶ
(なんでおこられなきゃいけないんだ・・)
全く納得がいかない
それでもロックバランシングの要領で
なんとか、目線の高さまでつみあがった。
すると、出来上がった石のタワーに
小さいおっさんが走ってきて、
たわーにタックルをかましてきた。
ガラガラと音を立てて崩れるたわー・・・
そして、また、
「積め!」
と怒鳴られて
石を積み続けた・・・。
今から、思えば・・・
あの河原はいわゆる“賽の河原”で
石積みをさせられていたのだ!
ということは。あの河は“三途の川”であったかもしれないのだ!
危ないところであった。
うっかり河をわたっていたら、
私は、昏睡から目を覚まさなかったかもしれない。
危ないところであった。
後年、私は、
作業療法のリハビリで、
また、就労作業所の訓練において、
繰り返し同じ作業所をやらされるのだが、
この成果の見えない繰り返しの作業の時は、
この“賽の河原の”石積み“をおおもいだすのであった。続く・・・


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