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ISRAEL NOW!12月6日~12日のニュース【シリア政権が10日で崩壊、イスラエルは大規模な空爆を実施】

ー ISRAEL NOW!ー
「エルサレムの平和のために祈れ」 詩 122
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◯ 治安

【先週に引き続き、ハマスが20代人質の映像を公開】(Y,P,H)
ハマスが昨年10月7日にニル・オズの自宅で拉致された、マタン・ツィンガウケルさん(24)の映像を公開した。動画の中で「420日以上の間」という表現が使われていることから、直近に撮影したものと思われる。
その動画の中でツィンガウケルさんはネタニヤフ首相に対し「敵について全く分かっていない。10月7日以降、あなたと政府は大失態を犯し続けている」と批判。
そしてメディアへの取材にも積極的に応え、被害者家族を代表する存在となっている母エイナブさんに対しては、「母さんのことはたくさん見聞きしているし、あなたが私のためにしていることは理解しています」と述べ、1日も早い再会への希望について語っている。(発言内容はハマスから指示された内容の可能性が高い)
先週に続いての動画公開だがエイナブさんをはじめ家族は、「これは『心理的テロ』ではなく、命の兆候だ」と話している。(12/7)

【シリア政権が10日で崩壊、イスラエルは大規模な空爆を実施】(Y,P,H)

maariv.co.il より

イスラエル・ヒズボラ間の休戦が始まった先月27日に、シリア反体制派が進撃を開始。北部・中部の要所を次々と占領し8日には(散発な戦闘はあったが)ダマスカスが無血開城され、54年間にわたるアサド父子による政権が終焉した。わずか10日ほどでの政権崩壊には、ウクライナ侵攻によりロシアの支援が得られなかったほかに、イスラエルの攻撃によりアサド政権の後ろ盾だったイラン・ヒズボラが弱体化したという背景がある。
そのためネタニヤフ首相は8日に「中東にとって歴史的な日。私たちがイラン・ヒズボラに与えた打撃による直接的な結果だ」と語っている。またイスラエルは7日国境部で国連軍が反体制派による攻撃を受けたため、同組織の兵士たちに攻撃を行い撃退のために加勢。
そしてアサド政権が崩壊しシリア軍が解体状態となると、イスラム過激派である反体制派の武装組織によるゴラン高原内での駐屯を防ぐため、シリアとの間にある緩衝地帯に部隊を送り込み、ヘルモン山のシリア側の山頂などを管理下にした。ネタニヤフ首相・カッツ防衛相共に、「防衛態勢のための一時的なもの」として内外に向けて明言している。
またシリア軍が機能不全になったことに乗じ、反体制派がシリア軍の強力かつ最新の武器を得るのを防ぐため、ダマスカス郊外の空軍基地をはじめと数十か所に大規模な空爆を行っている。『抵抗の枢軸』の一員であり、イランとヒズボラを(地理的にも)繋ぐシリアのアサド政権が終焉したことはイスラエルにとっては良いことで、特にイランからヒズボラへの武器密輸ルートにシリアがあったため、これが断ち切られたことは大きい。

maariv.co.il より

しかしその一方、アルカイダやイスラム国の系譜を継ぎ、トルコの支援を受けた反体制派がシリアを支配することには大きな懸念がある。9~10日にかけても化学兵器やミサイル・戦闘機に関する軍事工場や港など、大規模な攻撃が行われ、「3日間で計320の軍事拠点を攻撃し、シリア軍の軍事力の約80%を削いだ」と軍は話している。
これらシリア軍への攻撃に関しては欧米だけでなくアラブ諸国からも表立った非難は出ておらず、これにはジハードを標榜するイスラム過激派がシリア軍の現有戦力を手にすることへの強い危機感があるからだと考えられている。(12/6-8,10)

【イエメンからの無人攻撃機が中央部に、サイレンは鳴らず】(Y,P,H)
テルアビブの南で南部にも近い町ヤブネの住宅地にある16階建ての集合住宅に、イエメンからの無人攻撃機が着弾。最上階の部屋のベランダが大破し、リビングなどにも被害が出た。住民は不在だったため死傷者は出なかったが、周囲にはいくつかの学校・幼稚園などがあり、サイレンが鳴らないなか着弾により大きな爆発音が発生したことで、あたりは一時騒然となった。
その後国防軍はイエメンからの無人攻撃機の発射については把握していたが、イスラエル領空への侵入後は民間の小型機と誤って認識されたため、サイレンを含む防空システムが作動しなかったとの、調査結果を発表した。(12/9-10)

【南北で1日に兵士7人が死亡】(Y,P,H)
ガザ地区北部にあるジャバリアで活動しているギバティ旅団の19歳の兵士たち(現役)3人が、テロリストによる対戦車ミサイルの攻撃を受けて死亡した。3人はジェバリアでの数週間にわたる軍事作戦を終えて、インターバルとしてガザ地区を一時離れる予定になっており、そのための輸送トラックを待っていたところ、ロケットランチャーや機関銃をもった10人のテロリストの奇襲を受けて死亡した。3人のほかにも重傷2人を含む、12人の兵士が負傷している。
また北部戦線の南レバノンでも、森林の中にある地下トンネル内で爆破装置が爆発し、その中にいた予備役兵部隊の4人(20~40代)が死亡。このトンネル内には国防軍が設置した爆破装置があったにもかかわらず兵士たちが中に入り、爆破によって起こったトンネル崩落によって下敷きとなって犠牲になったとされている。軍は現在、調査を行っている。(12/9)

【エルサレム近郊で乱射テロ、12歳の少年が犠牲に】(Y,P,H)

mako.co.il より

エルサレム近郊の交差点で11日深夜、アサルトライフルAK-47を所持したパレスチナ人男性が、自身の車からエルサレムに向かう路線バスに向かって23発を乱射するテロが発生した。バスの運転手を含む3人が負傷し、12歳の少年トビア・シムハ君が死亡した。
少年は一家で揃って乗車しており、婚約した姉の結婚前の祝いの場に出席、その後エルサレムにバスで帰宅する途中だった。テロリストは乱射後にベツレヘムに逃亡し地元の警察に出頭したが、パレスチナ自治区警察はライフル銃の押収だけを行い逮捕を拒否した。これには自治政府が同胞の(抵抗運動の)英雄を逮捕してイスラエルに引き渡す、という事態を避けるという意図があったもよう。
数時間後、国防軍・シンベト・警察によるベツレヘム包囲が行われ、犯人は逮捕された。(12/12)

◯ 内政

【ネタニヤフ氏、現役首相として初めての公判に】(Y,P,H)
背任・詐欺・収賄の罪で起訴されているネタニヤフ首相が、テルアビブ地方裁で初めての証言を行った。現役の首相が被告人として法廷に立ち証言するのは、イスラエル国家史上初。
ネタニヤフ首相が起訴されているのは、2人の実業家から約3000万円相当の贈り物を受け取っていたという事件、首相に関して肯定的に報道する代わりにライバル紙の営業を制限する法整備をするとの密約を大手紙と交わしていたという事件、そして大手ニュースサイトに対して好意的な報道の見返りに規制上の優遇を行った事件の計3つ。

globes.co.il より

証言の中でネタニヤフ首相は1つ目の事件については、「毎日17時間も職務があるため、嗜好品を楽しむ時間はない。葉巻はろくに吸えず、シャンパンは嫌いだ」と、疑いのある品を受け取ったことを否認。
またメディアに関する事件に関しては、保守・右派的な実業家たちにメディア進出するよう持ち掛けていたことは認めたが、「メディアの支配ではなく、(右派の声を報道するため)多様化を試みただけ」とした。
また好意的な報道を行うとの取引をしたメディア会社のオーナーとの関係性については、「遠い関係で、1対1では話したことがない」と証言。また結果的に特定のメディアに対し有利な決定があったとしても意図的なものではなく、1日に何十枚という書類にサインした中の1枚がたまたまそれだっただけとし、書類の束を前に機械的にサインしている動画を見せながら語った。
現在行われている直接尋問は数週間続くと言われており、その後他の原告への尋問、そして反対尋問になるため、判決までは1年以上かかるのではとメディアは報じている。(12/10)

◯ 国際情勢

【モロッコの砂漠で、超正統派5人が交通事故で死亡】(Y,P,H)
モロッコ中部で、ラビの墓への巡礼を行なっていたユダヤ教敬虔派(ハシディズム)の男性5人が交通事故により死亡した。彼らは複数の車両によって構成されるグループの一部として巡礼旅行を行なっていたが、巡礼地に到着した際にグループは5人の乗った車が到着していないことに気付き、警察に通報。
数時間にわたる捜索により、横転して大破した自家用車と5人の遺体が見つかった。車が制御できなくなったことによる事故だと思われる。イスラエル外務省がモロッコ当局と遺体の輸送などで連携を取り、9日に5人の住んでいた北部の町ツファットで葬儀・埋葬が行われた。
イスラエルとモロッコは2020年12月に国交正常化、このような巡礼旅行のほかモロッコ系ユダヤ人による家族のルーツを辿る旅などが行われている。(12/6,9)

【メルボルンのシナゴグで放火事件】(Y,P,H)

kikar.co.il より

オーストラリア・メルボルンにあるシナゴグに覆面をした男性2人が侵入し、放火する事件が発生した。早朝の祈祷が行われていた午前4時すぎに男たちはシナゴグの戸をノックし、目撃者によるとその後油のような液体物をまき散らして放火を行った。
祈祷ホールはほぼ焼け落ちたが、聖櫃の中にあった聖書の巻物は無事で消火作業の後持ち出された。
豪首相は「シナゴグへの攻撃は反ユダヤ的事件であり、オーストラリアと国の持つ価値への攻撃だ」と強く非難したものの、現地ユダヤ人共同体からはここ1年間で(前年比3倍以上の)2000件以上の反ユダヤ的事件が起こっているにもかかわらず、手をこまねいている政府を非難する声が上がっている。(12/6)

【『安全上の理由』から、人道団体がスタッフを大量解雇】(Y,P,H)
紛争や災害地で食事を提供する国際的な人道団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」が、ガザで活動するスタッフ62人を解雇したと発表した。先月30日に国防軍が民間車両に空爆を行いWCKのスタッフ3人が死亡したが、軍は乗車していた1人アヘド・アムジ=カデが10/7の二ルオズ襲撃に関与していたと発表。
WCK側に対し現地スタッフがテロに関与していないかについて調査するよう、要請していた。そこでWCKが全スタッフの名簿をイスラエルに渡したところ、テロ行為に関わっていた疑いのあるスタッフが他にも居ることが判明。
テロ関与の確証はないとはしながらも、「安全上の理由」からスタッフ500人のうち62人との契約を打ち切ることになった。同団体はガザ中央部・南部の約50か所で食料を提供すると同時に、イスラエル北部の避難民に対しても支援を行っており、今年4月には空軍による誤爆事件も起こっている。(12/11)

【バチカンでクフィーヤにくるまれたイエスが展示される】(Y,P,H)

apnews.com より

今月7日にバチカン聖ペテロ広場でプレゼピオ(降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が公開されたのだが、赤ん坊のイエスがアラブ世界の伝統的な頭巾クフィーヤにくるまれていることが話題に。
今年のプレゼピオはベツレヘムの職人たちによって製作され、クフィーヤはパレスチナの抵抗や反イスラエルといった意味合いを持つこと、そして公開の際にパレスチナ自治区の代表がバチカンに居たことなどから、クリスマスの政治的利用であるとの指摘や「イエスがユダヤ人であったという歴史の歪曲」との声が上がっている。
数日後には、イエス像がクフィーヤと共に取り去られたと報道された。バチカン当局によると、「公開の際にはイエス像も置くが、その後はクリスマスまで飼い葉桶を空にしておくのが通例」とのことだが、イブに再び配置する際にクフィーヤにくるむかどうかについては明言しておらず、注目が集まっている。(12/8,12)

[情報源略号表] 

文末の( )内の記号が情報源です。(掲載日が異なる場合もあり。)
 P=エルサレム・ポスト  https://www.jpost.com/(英語)
 H=ハアレツ       http://www.haaretz.com/(英語・ヘブライ語)
 Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/(英語・ヘブライ語)

[転載・引用・再配布について] 

教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。

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