【短編小説】勝手に守友戦線 怒りの体育祭編
第1部の蜂起編はこちらから!
※この物語はフィクションです。
「決まっちゃったな。」
「やっぱり、一部の体育祭ガチ勢は坂本を推したけどね。やっぱ彩未がアンカーか。」
「どうすんの?」
「やるしかないわよ。許せないしね。」
スマホのメッセージでもかなり熱いことが伝わりました。
私は、あまりこの件にはかかわっていないのですが、たまに連絡を取ったりして情報を入手していました。
体育祭まで残り2週間ほど。
千紗の呼び出しがありました。
「ういー。」
「来たわね。」
「おっ彩未も。」
「う、うん。」
揃うなり、ファミレスでドリンクバー行ったりし始めました。
一段落付いた後。話し始めました。
「ちなみに、彩未。どうなの?トレーニングとかしてるの?」
「まぁまぁかなぁ・・・。」
「リレーで男子と戦ったことあるっけ?」
「それがないの・・・。」
「あぁそうか・・・。」
「アタシは、絶対彩未を勝たせたい!」
「いいよ・・・。私が恥かけばいいし。」
「そう考えないで!彩未は勝てるかもしれないんだよ!」
「無理だよ・・・。気持ちだけありがたく受け取っとく。」
「でも・・・。」
「高校では、あまり目立ちたくないし。」
「うん・・・。」
沈黙が始まりました。
私は、もしかしたらKYと思われるかもしれない発言で沈黙を破ります。
「でも、最下位なら逆に目立たない?」
「えっ?」
「だってさ。目立ちたくないって言ってもさ。最下位はかなり目立つよ。」
「そっかぁ。じゃあ2~6位狙えばいいんだ。ありがとう。」
「ちょっと、アンタ何言ってんの!」
「事実じゃん。目立ちたくないって言ってるし。」
「アンタさぁ・・・。マジバカぁ・・・。(怒)」
「でもさ、男子の中に女子一人って時点でざわつくわけじゃん。もう目立ってるし。」
「あ。そっかぁ・・・。」
「だったら、自分の自己満を満たせる写真を撮影させてほしいわけよ。」
「勝手だな!(怒)」
「出来れば、1位でゴールテープ切ってる彩未も撮影したいなぁとか。」
「えぇっ!」
「おぉおうそうね!!見たいなぁ~。」
「ううん。考えさせて・・・。」
「無理ならいいから。」
「あ。わたしもう時間だから行くね?」
「じゃあまた。」
「またね!」
この言葉を言い終わったころ。
彩未はファミレスを出ました。
ちなみに私は。
「アンタ。マジで何言ってんの!!」
「ご、ごめん・・・。」
「マジであの共闘の約束はどうした!?あぁん(怒)!」
「す、すみませんでした・・・。」
こんな感じで、こってり絞られました。
時は流れ、運命の体育祭の日を迎えました。
「彩未は、どうするのか言ってない。私にも分からないわ。」
「そっか。」
「もし、あんたの2~6位理論になったら東京湾か相模湾だからね。」
「文化祭はいいのな?」
「もーう!!例えよ!」
「それで。あっち陣営はどうなん?」
「完全負け確思考っぽいわ。それで、イチャイチャしてたわ。」
「ほぉー余裕か。」
「目にもの見せたげるわ。じゃ後で。」
「ういー。」
穏やかに進行していき、ラスト種目クラス対抗リレーになりました。
よーい。パァーン!
ピストルの音が響きます。
私は、ゴールを撮影するためにゴール付近のテントへ移動しました。
接戦というのが完璧な場面でした。
そしてアンカー勝負。
前髪こそボサボサですが、ポニーテールを結った彩未はが走り出しました。
少しリードを保ち、男子たちが追い詰めていきます。
しかし、最後の直線。
逃げ切りました。
彩未は、1位でゴールしました。
クラス優勝が決まりました。
クラスは、大盛り上がり。
一部を除いては。
私も、彩未の優勝確定ゴールの撮影に成功して大満足でした。
写真も撮影できましたし。
余談ですが。
体育祭が終わり、2人に声をかけられました。
まずは、校長先生です。
「ちょっと君。」
「自分ですか?」
「うん。もし良かったら写真見せてくれないか?」
「ええ。いいですけど。こんな感じです。」
「どれどれ。これはいいね!」
彩未がゴールテープを切った瞬間です。
そういや、校長先生。
撮影前にこっちを見てる感じがしました。
「あぁはい。」
「すごいよ!これはいい。いい写真だ。お疲れさま。」
「ありがとうございました。」
「自分に自信を持ちなさい。たとえ他人に認められなくともね。」
「あ。はい・・・。」
この褒められたのは、私を写真に自信を持つきっかけとなりました。
2人目は、私と同じクラスの舞香です。
「田中くーん。」
私は、田中と言います。
「はい。」
「田中くんってぇ、彩未ちゃんになんか言ったの?」
「いやそんなに。」
「うっそぉー?」
「ウソじゃない。」
「中学時代だけど、違う中学でも同じ部活だったから交流あったんだけど。高校で急に遅くなって失望してたのね。」
「はぁ。」
「今日のは、全盛期だったなぁ。」
「そうなの?」
「うん。急に一緒にトレーニングしないかって言われてびっくりしたわよ!」
「へぇ。」
「いつもは、目立たないように力抜いてるけど、今回はアイツの夢をかなえるんだって。アイツのためにいい写真に仕上げる手伝いがしたい!とも言ってたわね。」
「あぁ・・・。」
「田中くん。もしかしたらよ。」
「何さ。」
「彩未ちゃん。好きかもねぇ~田中くんのこと。」
「ちょっシッ!」
「フフッ。まあいいや。お疲れ~。」
でも、その行為は少しずつカメラの自信につながっていきます。
いつものファミレスに集合しました。
「今日は、見事な勝利だったわね。」
「すごかったよなぁ。」
「次は文化祭よ。あんたの腕次第よ。」
「うい。でも分かんないだろ。でるかどうか?」
「確実に出さすわね。喜んでいる中で、聖子ったら歯を横に食いしばっていた。やるつもりよ。」
「なるほど。まぁやるなら出来る範囲でだけどな。」
「絶対許さないわ。もし飛び火したらあんたのことも守るから。」
「自分も危ういってことか。派閥は大嫌いだけどな。」
「裏から手を回すだけ。支援と捉えればいいんじゃない。」
「なら乗った。」
「彩未は、絶対にアイツなんかに人生めちゃくちゃにさせない。」
千紗の目は、何かに燃えているようでした。
彩未防衛戦線は、文化祭決戦にもつながっていきます。
第3部へ続く。