【短編小説】勝手に守友戦線 麗しの文化祭編

第1部 蜂起編はこちら。

第2部 怒りの体育祭編はこちらから!

少し長めです。
※この物語はフィクションです。

いつものファミレス。
私と千紗がいました。

「また二人で。バレるぞいい加減。」
「バレてもいいわよ!私の恐ろしさ知らないでしょ。」
「知ってるよ。裏切りは絶対したくないタイプってこともね。」
「ならいいんだけど。」
「で、用件はあれか?」

千紗が顔を引き締めて言いました。
「そう。文化祭の件よ。」
「今日もThis is 根回しだったな。」

そうです。
あの危惧していたことが、現実になりました。
彩未が、文化祭のミスコンクラス代表に決まってしまったのです。

「絶対ふざけてるわ。運動部男子め。」
「まぁふざけてなんぼだからな。」

ちなみに、千紗は軽音部。
聖子はテニス部です。

「普通にやれば、優勝はない。辱めで終わる。」
「だな。」
「だけど、彩未だったらぶっちゃけ優勝は間違いないと思ってるわ。」
「同感ではある。」
「あのポテンシャルよ。隠してるのがもったいないくらいよ。」
「そうだな。」
「だけど・・・。」

千紗は、渋い顔をし始めました。
「アイツならやりかねないことがあるわ。」
「何?」
「妨害行為よ。」
「ああ。」
「おそらくタダじゃ済まさないかもね。」
「なるほど。」
「もしかしたら、ミスコンまでにケリをつけるかもしれないわね。」
「妨害行為でか?」
「そう。本番ではあまり大きな仕掛けはできないからね。」
「確かに。」
「そこまでに、学校に来れなくするかもしれないわね。」
「一か八かか。」
「私たちだけじゃ守り切れない。どうしよう・・・。」
考えこんでしまいました。

私はなぜか口に出してしまいました。
「でも、自分で手を汚すかな?」
「そっか。誰かがやるってこともあるわよね?」
「うん。」

千紗は、思いつきました。
「そうね。あっちが人脈で妨害してくるならこっちも人脈で対抗するわよ!!」
「人脈かぁ。自分は皆無だなぁ。」
「あんた。この高校だけで考えてる?」
「は?当たり前じゃん。」
「妨害行為はどこでやるか分からないわ。いろんな人がカギになると思う。」
「どうにかよろしく。」
「あんたもやるのよ!」
「自分も!?」
完全に巻き込まれました。

3日後。
千紗を筆頭に、クラスで文化祭の準備をしていました。
自分も彩未も一緒でしたが、別々の場所で作業していました。

千紗からスマホにメッセージが届きます。
「土曜日撮影でもいい?」
「オッケー。」

土曜日。撮影です。

何で撮影なのか?
ミスコンの中で、奇跡の1枚。
いわゆる自身の魅力を最大限に引き出した写真を見ようというコーナーだそうです。
千紗と私は、準備のため貸しスタジオに早く来ました。
「さぁどう撮影するの。」
「上からだなぁ。メガネは外さないだろ。」
「はぁ?メガネは外してよ!」
「メガネ女子は結構需要ある方だぞ。」
「彩未の可愛さは、メガネを外すべきよ!!」
「本人は絶対外さないだろうな。」
「意地でも外すわよ!!」
「彩未が傷ついても?」
間が出来ました。
「そ、それは・・・。ああもう!!いいわよ!」
「メガネありで!!ただ、ヘアメイクはするわよ。」
「ヘアメイク?いるか?あと失格にならねぇ?」
「はぁー。男はこれだから。ナチュラルだったらOKルールなのよ。」
「へぇ。すっぴんでもかわいいけどな。」
「彩未はそうだけどさぁ。私の人脈で呼んでるから。」
「誰を?」
「もうすぐ来るはずだけど。」

ガチャっ。
貸しスタジオの扉が開きます。

「あっ。」
「そうあの子よ。」

来たのは、同じクラスの舞香でした。
「来たわね。」
「千紗ちゃん。それに田中くんも~。」
「なんで?」
「舞香は、私の知り合いでもあるのよ。」
「はぁ?彩未とは聞いたけど。」
「じゃあ美容室さつきって聞いたことある?」
「あそこの?母さんが行ってるけど。」
「その娘。」
「あっそうなの?」
「今は、ヘアアレンジもしててメイクを練習してるんだって。」
「はぁ。」

「でもって、少しメイクも教えてもらったから。」
「いい練習してみないって声かけられてさぁ。それが彩未ちゃんだったわけ。」
「なーるほど。」

合点が行きました。
彩未が合流して、撮影が始まりました。

しばらく撮影していると。

「これすごいなぁ。」
思わず声が出てしまいました。
「どうしたよ。」
「何これ。田中くんが撮ったん?」
「彩未可愛すぎるわ!!」
「いい感じだよな。」

「・・・見てもいいかな?」
「ん。」
「これが私?」
「彩未だよ!!可愛すぎるわぁ!!」
「中学でも思ってたけど可愛い。」
「いや私のせいじゃないよ。自然で撮影できるって環境を作ってくれたんだもの。」
「アンタ、才能あるわよ!!」
「いやいや。」

内心私は嬉しかったです。
あまり褒められたことがないもので。

「じゃああとは、当日ね。」
「おう。」
「私は、出来ることをするわ。」
「じゃみんなよろしくね。」

ピコン。
千紗のスマホが鳴ります。

「アンタは、帰っていいわ。本番頼んだわよ。」
「このあとは?」
「ガールズトークよ。」

「ああそう。じゃおつかれ~。」
何気なく帰りました。

時は流れ、本番。
クラスの活動と部活の活動を両立していましたが、満喫していました。
ここで、人物撮影がすごく楽しいと感じるようになりました。
喜怒哀楽を切り取れる。
それが喜びなのかもしれません。
それはさておき。

私は、撮影で校内を動き回っているとき違和感を感じました。
あれ?こんな時間に校舎裏で群れてる。
ヤンキーか。
そう思いましたが、ふと見るとそこには彩未と聖子たちがいました。
次の瞬間。
音こそありませんでしたが、水をかけられていました。
衝撃を受けた私は、聖子たちがいなくなるなり彩未に近寄りました。

「おい。大丈夫か?」
「・・・。」
「辛かったよな。」
「・・・うん。」
なんてクズなんだ。
証拠は忘れてしまいましたが。
許せないと思っていました。
思っている。いや、怒っていました。

すると、彩未から聞かれました。
「えっ・・・。知ってたの?この作戦。」
「はぁ?何言ってんの?」
「いや。千紗が言ったのかなって。」
「何のことだ?」
「知らないのね・・・。あっ!」
マズいというリアクションをしました。
「千紗は全て知っているんだな。」
「う・・・うん。」
「ちょっと待ってて。」

スマホにメッセージを送ろうとした瞬間。
千紗が来ました。
「ごめ・・・。あ。」
「千紗じゃん。どういうことか説明しろ(怒)。」
「あ・・・あのねぇ。舞香ちゃんは準備してくれる?」
「ほーい。彩未行こう。」
「待て。話がある。」
「私が話すから!!」
「分かったよ。彩未と舞香ちゃんは行って。」
「うん。」

「さぁ、説明してもらおうか。どういうつもりだ。」
「分かったわよ。経緯を話すわ。」

「撮影した日。最後にスマホなったでしょ。」
「ああ鳴ったな。」
「あれ、内通者からの密告があったの。」
「密告?」
「彩未を呼び出して、水をぶっかけるってね。」
「なんだと?知ってたのか?」
「そう。本当ごめん!!」
「でも、負担をかけなくても・・・。」
私は、疑問に思いました。

「それが、彩未にバレてさ。」
「んで?」
「私がおとりになる!って。」
「止めなかったの?」
「止めたわよ!!でも、聞かなくって・・・。」
「で、ああなったと。」
「そう。それを逆手に取ってみたいな。今は、シャワー浴びてるはずよ。」
「そうか・・・。」
「アンタにバレないようにと思ってたら。あんたが来ちゃって。」
「でこうなったと。」
「そう。」

「ただ、これで借りだな。」
「もちろん。それは分かってるわ。ただ今はこの後の本番に集中して。私のことは何といってもかまわないわ。」
「了解。」

ミスコン本番。
そうそうたる顔ぶれに、彩未はいました。
会場はざわつき、歓声も出始めました。

奇跡の1枚コーナーは、類を見ない盛り上がり。
私が撮影した写真がこんなに喜んでもらえる。
泣きそうでした。

結果は、560票のうち495票が入る圧勝で彩未は優勝しました。
ステージの真下で、照明に照らされる彩未はシンデレラという言葉以外見つかりませんでした。

後夜祭が終わり、千紗に呼び出された私は、近くの公園に向かいました。
彩未もいます。

「どした?」

「彩未行きな。」
「でも・・・。」
「何?怖気ついた?大丈夫よ。」

「うん。ねぇ、あのさ。」
「おお。」
「私と隠れながら付き合ってください!!」
「へっ?」
「ダメだよね・・・。」
「いや、こちらこそお願いします。」

「ほらぁ。良かったじゃん。」
「う、うん。」

千紗が話し出しました。
「ずっとあんたのこと思ってたらしいわ。」
「そうなの?」
「それで、私がもう押したわけ。あんたには中学校の借りがあるから。」
「あったっけ?」
「あるわよ!」
「安心して。私が付いてるから。彩未を泣かせたらそれこそ沈める。」
「その覚悟はあるから。」
「アンタってなんでモテなかったの?」
「余計なお世話!!」

結局3人で帰りましたとさ。

後日、千紗に疑問に思っていたことを聞きました。
「あのさ。妨害行為だけど結局水かけだけだったよなぁ。」
「いーや。妨害行為は防がれたのよ。」
「どういう意味だ?」
「私たちの人脈が功を奏したのよ。」
「知らないなぁ。」
「また、仕掛けるときがあるかもだからあんたにも内緒にしとくわ。」
「なんだよ。もう。」
「それより、彩未とデートじゃなかったっけ?(怒)」
「ヤベ・・・。」
「泣かすんじゃないわよ。」
「悪い。じゃ!」








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