「直観」を大切にする
私たちが意思決定をするのは、将来の予測が難しいからだ。言い換えれば、将来の不確実性が意思決定というプロセスを生んでいるのだ。
意思決定には様々なバイアスが存在する。
認知バイアスの詳細と具体例
現状維持のバイアス(プロスペクト理論)
プロスペクト理論は、人は損失を回避しようとする傾向が、得をすることよりも強いという理論だ。つまり、同じ金額の損失と利益があった場合、損失の方がより大きな影響を与え、心理的な痛みとして感じられる。
サンク・コスト・バイアス
サンク・コスト・バイアスは、一度費やした時間やお金などのコストを「無駄にしたくない」という感情から、その後の判断を誤ってしまう心理状態だ。
アンカリング・バイアス
アンカリング・バイアスは、最初に提示された情報(アンカー)に強く影響され、その後の判断が歪んでしまうことだ。
「直観」の大切さ
認知バイアスを解消するのが、論理的な思考だ。一般に、時間をかけ、情報を集めた上での意思決定は、認知バイアスの影響を受けにくくなる。なぜなら、情報収集によって新たな変数を獲得することで、認知バイアスの比重が下がるからだ。
ではなぜ、直観が大事になるのか?
意思決定が必要なのは、不確実性が高いからである。そして論理的思考が認知バイアスを抑制し、予測の精度を高めてくれることは先に述べたとおりだ。では、予測が難しいほどに不確実性が高まるとどうだろうか。
時間をかけ、情報を集めたとしても、その変数が有効ではなく、返って予測の精度を損なってしまうかもしれない。
この制度の悪さを示すのがヴァライアンスだ。不確実性が高い世界では、ヴァリアンスが高くなる。その結果、ヴァライアンスの影響を受けにくい、「直観」での意思決定が有効になることがある。
漫画「キングダム」では、本能型と知略型の武将が対比して描かれている。春秋戦国時代、そして戦場という不確実性が高い世界では、時に「論理的思考」を「直観」が上回るのだ。
とはいえ、論理的思考を上回る「直観」を手に入れることは難しい。
大将軍になるほどの努力が必要なことは間違いない。