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忙しい問題

以前に仕事の依頼を受けたことがある大手のクライアントから、また大きめの仕事を依頼されてしまった。

それだけのお金はまた入ってくるわけだけど、あまり嬉しくはない。
贅沢な悩みなのかもしれないけど、正直なところ(忙しくなるのはイヤだな…)というのが本音である。
元来、私は怠け者なのだろうと思う。
こんな考え方は罰当たりかもしれないが、今はお金には困っていないので、できれば私に必要以上の仕事を依頼しないでもらいたい。
けれども、今までの義理もあるので断るわけにもいかず、仕事を請け負うことになってしまった。

もともと私は管理された仕事に縛られるのが嫌いだから、あえて勤め人にはならずに個人事業主をしているわけである。
なのに、自分の時間が仕事に縛られているなんて、本末転倒だ。

・・・と、ここで愚痴ってもしょうがないけど、週末のルリナとの勉強は続けていきたいと思っている。
ルリナだって週末の私との時間を楽しみにしてくれているみたいだし、じつは私だってなんとなく心のどこかで週末を持ちわびていたりする。


そういえば、ルリナの母親であるマナミも、最近は昼夜を問わず仕事に明け暮れているらしい。
マナミとルリナが現在住んでいるアパートは、私がオーナーでもあるので、家賃は実質的にタダ同然にしてあるし、今の生活ではそんなにお金に困っているわけではないはずだ。
それでも、マナミは自ら仕事を詰めているという。
それは、マナミ自身が最近になって仕事にやりがいを感じてきているからでもあるのだそうだ。
やりがいを見つけたことはよいことなんだろうけど、マナミ自身が身体を壊さないかも心配である。

それに、ルリナのことだって心配だ。
マナミが忙しくなって、ルリナは昼も夜もほとんど放置状態になっているのではないだろうか。
以前に、それとなくマナミにその心配について尋ねてみたら、マナミから「ルリナはもう大きいから大丈夫です!」と言葉を返されてしまった。

どうやら、この田舎町に引っ越す前の都会での生活でも、マナミは家にいないことが多かったようだ。
最近の親子って、そういうものなんだろうか。
私には自分の子供がいるわけではないので、よく分からない。

でも、よく考えてみると、誰もマナミを責めることはできないだろう。
マナミだって大変な現実をくぐり抜けながら、ルリナとの生活を必死に守っているのだから。

もちろん、私自身だって結局は仕事に縛られた生活になっているわけだから、マナミに偉そうなことを言える権利はない。

おそらく私にできることは限られているのだろうけど、それでもできるかぎりマナミとルリナのチカラになってやりたいと思う。
そういう忙しさなら、ちょっとやりがいもあるかもしれない。