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田んぼ道にて

今日もよく晴れている。

時折、頬に吹き付ける冷たい風さえ気持ちいい。

明日からまた仕事が始まる。
個人事業主とはいえ、私にだって自由だけがあるわけではない。
やりたくない汚れ仕事をするときもあるし、取引先との打ち合わせのために好きではない都会にも度々足を運ばなければならない。

金儲けは、今の私にとって絶対に必要なことではない。
正直なところ、人としての生活さえできればそれ以上の儲けは必要ないのだろうけど、請け負っている仕事はやらないわけにいかないし、たぶん人生の中にはある程度の苦行の時間も必要なのかもしれない。

たしか、マハトマ・ガンディーが書き残した文章に「労働のない富は罪である。それは人間性のない科学が罪であるように…」という一節があった。
幸いにもなんとか健康に生きていくことができている私も、せめてそのぶんぐらいの労働は義務として必要なのだろう。

誰もいない田んぼ道を大股で軽く走ってみた。

心のモヤモヤは、風で千切れて私の背後に散ってゆく気がした。

こんな静かな平穏の中にいられることに感謝。


『Bibo no Aozora』(Taeko Onuki & Ryuichi Sakamoto)