(アカウンティング⑥)アカウンティング ~会計が指し示すもの
マネジメントの章でもふれた “アカウンティングの新しい役割” から、“会計が指し示すもの” を書き記していく。
アカウンティングの新しい役割
『ティール組織』にはTeal組織の戦略について、次のように書かれている。
進化型組織には、戦略立案プロセスは存在しない。詳細な地図は必要とされていない。そんなものがあれば、無限の可能性をあらかじめ定められたせまいコースに制限してしまいかねない。
( P348より )
「詳細な地図は必要とされていない」との考えには同感ではあるが、大まかな地図だけがあっても目的地まで辿り着くことは難しい。大まかな地図をサポートするものとして、方向を指し示すコンパスが必要だと考える。
大まかな地図とコンパスがあれば、目的地まで辿り着くことはできる。決められた道をただ歩くのではなく、寄り道や脇道にそれて回り道をしても辿り着くことができる。道を間違えたとしても、現在地がわかり方向を修正すれば辿り着くことができる。
コンパス、これがアカウンティングの新しい役割だと考える。
会計が指し示すもの
私は、極度の方向音痴。歩く前にスタートからゴールまでの道順を、地図をみながら頭の中で描き、その道順通りに実際歩いている。つもりではあるが、描いた道通り歩いたことがほとんどない。道に迷い、道を間違え、時には道そのものを変えたりする。この描いた道を歩けない理由が、三つある。
一つは、近視眼的に地図の上を歩くので、現実の距離感がわからなくなる。
(後どれくらいか)
もう一つは、目的地ばかり意識して歩き、中継地がわからなくなる。
(これからどこに向かうのか)
最後は気づくと、立っている位置がわからなくなる。
(今どこにいるのか)
会社が予測通りに進まないことと、私の方向音痴は似ている気がふとした。
(思い違いかもしれないが)
方向音痴の私に必要なのは、「正しい道順ではなく、北極星(目的)のような輝く目に見える目印」と「どこからでも目印を指し示すコンパス」の二つ。
会計が指し示すのは、利益などの数字ではなく、目的に向かっているかの方向性にあるのではないかと考えた。
そう、語るのは、数字ではなく歩いている物語。
「今どこにいるのか」「方向は合っているか」「方向の修正がいるか」などを映し出していくことが、これからの会計が示すものだと考えている。