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進化と変化、そして適応へ

2018年5月に個人事務所サイトに投稿した内容を、改めてnote用に文章や言葉をリニューアルしてみた。

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先月(2018年4月)からもう一度、マネジメントについての探究を始めた。過去に読んだ本の中で、今読んだ方がよさそうな本を読み返し始めた。読み返していく中で気になり、意識している言葉がある。

進化と変化

似ているようだが、全く違う。

それぞれを記号で顕すなら、
進化 : A → A’
変化 : A → B

記号ではなく知っている言葉に置き換えてみると、
進化 : アップデート、バージョンアップなど
変化 : イノベーション、パラダイムシフトなど

文章にすると、
元々在ったもの(A)を活かして発展させる(A’)のが、“進化”。
元々在ったもの(A)とは全く異なるものに変わる(B)のが、“変化”。

この数年の私は間違いなく、“変化” に意識が向いていた。人の、組織の、社会の、意識の、心理の・・・。過去から現在へ、現在から未来へ。

“進化” という言葉に意識が向き始めたのは、バドミントンの桃田選手。

ある時までは全く知らなかったけれど(バドミントンにすら関心なく)、ある時以降の彼の言動や行動の “変化” に感涙し、心惹かれ、彼の記事を読んでいくうちに、いつしかファンになった。

彼はインタビューで次のように語っている。
『復活ではなく、進化を目指している。』

変化ではなく進化。私は、彼は “変わった” と思っていた。しかし、彼は “進化” を目指すと言った。この言葉を目にした瞬間、強い意志と覚悟を感じたことを今でも覚えている。今までやってきたことを否定して変わるのではなく、今までやってきたことを肯定しつつ、今までにない何かを身にまとって戻ってきた感じがした。

遺伝子などでよくいう螺旋(スパイラル)のイメージが目に浮かんだ。そしてどこまで螺旋を描いていくのか、楽しみになった。

螺旋は荒々しく激しい渦ではなく、神々しく澄みきった透明な渦。

「ティール組織」では、進化型組織や進化型社会など、“進化” という言葉を多く使っている。半月前からティール組織に関する記事をいろいろ読み、気になった表現があった。
本や多くの記事では “存在目的” と表現している。しかし、“進化する(進化し続ける)目的” と表現している記事もある。文脈からは主旨は大きく違わないことがわかる。ただ、何とも言えない違和感が沸き立ち、そして探究心、好奇心のスイッチが久々に押された。

“存在目的” については、普段似た言葉(存在意義)を使ったり、東洋思想の存在論や認識論に関心があるので、立ち止まることなく読み続けた。

しかし、この “進化する目的” という言葉が目に入った瞬間、今思い返しても不思議だが立ち止まり、思わず唸ってしまった。

「“目的が進化する” とはどういうことか。」

目的は一度決めたら変わらない、いや変えてはいけない。目的を変えると、目的に向かうプロセスまで変わり、プロセスに関わる全てに混乱をきたす。だからこそ、安易に変わらないよう目的をたてるのではないか。

しかし同時に、以前から持っていた疑問が顕れた。行動していく中で、考え方などが変わることはある。考え方が変われば、当初描いた目的を変えてもいいのではないか。

目的に囚われ縛られることで、行動に大きく制限がかかる。行動に制限をかけることで、可能性の扉を閉すことにならないか。

「目的をたてることが果たしていいのか。」
「目的を変えてはいけないのか。」
「そもそも目的をなぜたてるのか。」

答えがないまま、悩んでいた。“進化” と “変化” についていろいろ考えてきた。考えすぎるぐらい考えた。

「なぜ、あえて異なる言葉があるのか。」
「なぜ、同じ筆者にも関わらず両方の言葉を使っているのだろうか。」

統一しない理由、そしてあえて分ける理由。

「このケースは、どっちがいいのだろうか。」
「ここに書かれているのは、どっちだろうか。」

どちらかを選ぶとは、残りを捨てること。どちらかを選ぼうとする度に、違和感が膨らんでいった。今にも違和感が割れそうな時に、読み返していた本にあった言葉が目に飛び込んできた。

適応

“適応” は、進化も変化も含んだ言葉である。どちらかを選ぶのではなく、どちらも含んだ、いや二つの向こうにある言葉に触れた瞬間、両方が手の中にしっくり収まった。

進化か、変化か。

手の中に収まると、言葉が溢れだした。

起こっている時は、進化か変化かは決してわからない。結果がでて、振り返って始めて、どちらかがわかる。進化だと思っていても、月日が経ったある時に、実は変化だったと気づくこともある。

何かが起こっている時に選ぶことは決してできない。起こっているその瞬間、反応しているだけ。いや、適応しているだけ。進化か変化かと意識することなく、無意識に起こっているだけ。

ここに辿り着いた瞬間、これから探究したいことが浮かび上がってきた。

無意識の組織化、無意識のマネジメント

この言葉が顕れた瞬間、以前から探究していたことと重なった。

無意識の顕在化

今書きながら、桃田選手の言葉から感じたこととつながった。

無意識の顕在化から組織化(マネジメント)も、螺旋であることに。

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