時計のない生活。
先日、腕時計が止まった。
機械時計(オメガのスピードマスター)で、買って約30年が経つ。
生まれて初めて、自分のお金で買った時計。
その後、ロンジン、ホイヤー、パネライと買ったが、今はもうない。
去年夏に、愛着のあるスピードマスターを除いてすべて売った。
だから止まると同時に、替えの時計はない。
少し不安にはなった。
スピードマスターを買ってから、常に左手には時計を巻いていたから。
どんな時も、左手には時計があった。
スピードマスターは手巻きなので、何度も巻いても動いてくれない。
そのあったものがなくなるとは、時が止まったような感覚になる。
替わりではないけれど、今はスマホとパソコンが時計替わりに。
しかし、あまり不便はしていない。
時計をつけていた頃は、時間にうるさかった。
1時間、1分、1秒と細かかった。
今は、そんなことはない。
時間に追われることがなくなり、余裕が生まれた。
なぜかはわからないが、人にも優しくなれるようになった。
時に追われると、人は忙しく、厳しく、攻撃をしてしまう。
自分がそうだったから、今の社会の気持ちもよくわかる。
しかし、一歩ひくと、全く違う思考や世界がみえてくる。
時計が戻ってきたら、どんな心境になるのだろうか。
今は、それが楽しみだ。