話せばわかる、話したからわかる。
「話せば、わかる」と「話したから、わかる」。
似ているようで、大きく違う。
「話せば、わかる」
経理の仕事を事務的にドS的にしていたとき、よく言われた。
経理の仕事は、問合せが本当に多い。
問合せの多くは、同じような内容ばかり。
聞かれたことだけ、事務的に、味気なく答えていた。
相手の言いたいことをすべて聞かなくても、だいたいわかる。
どちらかといえば、物わかりのいい方。
上司からすると、1伝えたら7以上の合格点を短期間で仕上げていた。
上司からすると、説明する時間が大きく省けるので、
ややこしい仕事が舞い込んできた。
逆に人から懇切丁寧に説明をされると、
つい「もうわかったから、時間のムダ」と思っていた。
そんな考えなので、相手にも懇切丁寧には説明せず、
箇条書きの無機質な説明をしていた。
そう、あまり会話をしなかった。
いや、会話する時間すら仕事にムダだと思っていた。
なので、雑談などを交えて説明するとよく言われる。
「君は、そういうタイプだったのか。」
「想像では冷たくクールで取っつきにくいタイプだと思っていた。」
その時は、「話せばわかるでしょ」と冗談交じりに言っていた。
「話したから、わかる」
最近、この言葉を自分の中でつぶやく。
年初の「抱負」で少しふれたが、今仕事を変えようとしている。
今まではフリーランスで活動していたが、会社に属そうと思っている。
自分の考えているマネジメントを実践したいという想いが強くなったから。
なので、転職活動をしている。
ただ、問題を抱えている。
職務経歴書。
会社を辞めてからの経歴は、抽象的でわかる人にしかわからない。
同じような活動をしている人や同じ言葉を話す・使う人にしか通じない。
ソーシャルセクターの人ならわかる(感じる)けれど、
ビジネスセクターの人には何を言っているか全く通じない。
感じるということは、なかなか難しい。
ビジネスセクターの人にでもわかるようにした方がいいのか悩ましい。
2ヵ月前、別の活動でご一緒しようと考えている人といろいろ話をした。
少し話をしただけで、私の考えをわかってもらえた。
どちらかといえばビジネス寄りだけど、感性豊かな人。
美大卒業で、経営学を研究されている大学教授。
私の研究に期待している、と紹介してもらった人から聞いた。
だから、感じて理解までしてもらえた。
理解する前に、まず私を感じてもらった。
ただ、会わなければ、話さなければ、わかってもらえない。
「話せばわかる」は、どこか無機質な感じがする。
コンクリートの、窓のない部屋で話している光景。
「話したからわかる」は、有機質な感じがする。
木の香りがある、窓があって風を感じる部屋で話している光景。
ただの錯覚かもしれないが、後者をできるだけ使うようにしている。
言葉は難しい。
だから、言葉は面白い。
言葉に対する好奇心が尽きない。
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