言葉で寄り添いあう。|ドラマ感想
これは、以前使っていたブログに当時観ていたドラマ『明日、ママがいない』から感じたことを投稿した文章。読み返して今も大切だと思い、色あせない言葉が散りばめられたドラマだったので、改めてnoteに投稿することに。
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『明日、ママがいない』の第5回も、心に遺った言葉を綴ろうと思う。相関図はこちらに。
ドラマも中盤に入ったからかもしれないが、子どもたちが巣立ちの準備を始めている。実際、巣立つことを決めた子どももいた。ドラマの始めに、叶(木村文乃)がポストちゃん(芦田愛菜)に子育てについて話をしていた。
子どもを育てるのはデリケート故に、時には愛情が憎しみにも変わるのではないかと、子どもがいない私は思う。嫌な部分も含めて認めることが人を育てる上で大切だと思えた。これは何も子育てに限ったことではない。
ドンキちゃん(鈴木梨央)が以前行った里親候補の家にもう一度行き、夫婦と向き合う中で、ドンキちゃんの考える家族観を話していた。
「家族はいいところだけでなく、嫌のところも、めんどくさいところもあって、それが家族」
台詞とはいえ、この言葉を聞いたとき、深呼吸をなぜかした。すごく行間のある言葉。
ボンビちゃん(渡邉このみ)が、憧れのジョリピー夫婦に言った言葉も印象的だった。夫婦は不妊治療をしていて、奥さんがそれに疲れて家を出て、探して見つけたときの言葉。
「あなたたちに子どもができないように、親ができない子どももいる」
最後に可愛らしいパチくんが卒園する。パチくんが新しい里親候補の家に行き、そのご夫婦の温かさにふれた。今まで常に持ち歩いていた母親の想いが詰まったシャンプーのボトルを持たなくなった。寝るときにも一緒だったボトルから、里親候補が飴屋さんをされていてその飴を持って寝ていた。
里親候補のお母さんも事情をわかった上で、お風呂場に偶然(?)シャンプーボトルがあって見つめているパチくんに伝えた言葉が素敵だった。
「無理に母親を忘れなくてもいい、私があなたの母親に近づくから」
この優しい寄り添う言葉が決めてだったのかもしれない、パチくんはその夫婦の子どもになることを決めた。
ポストちゃんだけがパチくんの卒園を知らずに、最後の日の朝を迎えた。周りの子どももポストちゃんの気持ちを考えて言えなかった。二人の抱き合う姿も優しかった。パチくんからみんなの恩返しで、顔を飴にして渡した。魔王(三上博史)もその飴をみて優しい顔になっていた。ピア美(桜田ひより)の演奏を見つめる目には、悲しさがあった。
主人公の子どもたちは新しい一歩を歩もうとしている。しかし、ポストちゃんだけは “明日よりも今を” 生きている。生きるとは何のためか、今のためかそれとも未来のためか、など子ども目線で話が進んでいく。
ポストちゃんがどう歩もうとするのか不安と期待の両方で次回以降も観ようと思う。そして、ドラマの名前の意味が何かをいろいろと想像している。放送当時は、言葉や設定が人を傷つけるということで問題視されていた。私もそのことについては綴った。
言葉は凶器になるが、言葉は人の気持ちを安らげてもくれる。それをどう使うかがこそ大切になる。
言葉の力を信じていきたい。言葉が好きだから。