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24/11/2 魂のふるえ 1
なぜか時間をはっきり覚えているのだけど、0時44分に目が覚めた。今日は朝4時に起きないといけないので、21時半頃に寝た。再び眠ろうとするも中々眠れない。たぶん3時過ぎぐらいにうとうとと寝れたような気がする。うっすらと夢を見たのを覚えている。いい夢だったような、悲しい夢だったような。4時になって起きる。
外はまだ暗くて、雨が降っている。今日と明日はずっと楽しみにしていたFRUE。5時半に友達と谷保駅前のロータリーで待ち合わせをしている。コンビニで朝ご飯を買って現金をおろそうと思って少し早めにでる。会場で着るポンチョを身につけていく。足下が濡れるのが気になる。会場に着く前に濡れてしまったら嫌だなと思う。
谷保駅前のロータリーに着く。朝帰ってきて車を待っている人がいる。となりにいる女性がたぶんパートナーに電話していて、「まーくん迎えにきてー」といったようなことを言っていた。
友達かな?と思われる車が来た。ロータリーを半周少し過ぎたところで止まった。ナンバーを見るにどうやらそれっぽさそうだ。やはり友達が運転する車だった。こんなに朝早く、わざわざ本当にありがとう。
谷保駅前のロータリーを抜け、カーステレオにBluetoothで接続できたので、この日の為に作ったドライブ用のプレイリストをかける。一曲目は定番のBeatles『Drive My Car』。谷保天満宮前で信号待ちしして、甲州街道に入る。甲州街道もすぐに抜け、中央フリーウェイに入る。ユーミンの『中央フリーウェイ』はプレイリストに入れ忘れた。
高速道路の深く淡い街頭のオレンジ色の光が、雨の高速道路を次々と現れては流れ、どこまでも続いているようで、心地よく感じた。高速道路を走る音と雨の音で、音楽が小さくなってしまうので、音量をあげる。うるさくなったら言ってねと友達に言う。プレイリストはFRUEに出るアーティストを中心に作ったけど、他のアーティストもふんだんに入っている。掛川までは3時間。渋滞を見越して約4時間分作った。50曲ある。
ドライブというと、よく晴れた気持ちいい空を想像してしまうので、そして11月頭は晴れが多いイメージなので、やはり天気が
いいときのドライブに向いている曲が続く。確かに天気がよかったより気持ちよかったかもしれなが、それでもやはり気持ちは楽しくなっていた。そもそもドライブが楽しいというのもあるが。
Matthew Halsallの『Water Street』が流れたとき、友達がこの曲すごい聴いていたと言った。でもどこで聴いたか思い出せないとのこと。色々と思い出したり探ったりした結果、おそらく僕がその友達に宛て作ったプレイリストに入っていて、そこで聴いたのだろうということになった。
雨は強くなったり、弱くなったりした。それが音楽や会話に合わさっているように思えた。音楽や会話が少し盛り上がると雨が強くなる。一番強い雨が降ったのは、CANの『Halleluhwah』が流れているときだったと思う。18分もある大曲。呪詛的なグルーヴとリズム、そしてダモ鈴木のヴォーカルと叫び。友達もすごくかっこいいと言っていた。
一緒に行く友達は音楽を全然聴いてこなかったと言うわりには、こういった一般的にはあまり馴染みがない音楽に感動するのがすごい。それなのにFRUEに行きたいと思うのもすごい。FRUEのプレイリストも聴いて、好きな曲もたくさんあったそうだ。特にAmaro Freitasが好きと言っていたと思う。
途中進行方向左側が開けて海の側面を走っていた。曇っていたようが雨が降っていようが、海はやはりいい。道路標識で静岡の有名なまちの名前を見る度に、いよいよかと気持ちが昂まった。
そしてついに掛川についた。渋滞もほんの少ししかしなくて、順調についた。プレイリストも数曲余った。
9時過ぎぐらいに会場であるつま恋リゾートの駐車場についた。しかし、10時にならないと停められないようなので、一旦近くのスーパーに行くことしにした。
大型のスーパー。とにかく広い。軽い朝食を買うことにした。僕もドライブの途中でサンドイッチを食べたが、おにぎりを買うことにした。FRUEに来たであろう人もちらほらといる。お惣菜は東京より安くて、そしてサイズが大きい。とても大きいカツが300円もしなかったと記憶している。カレーのセルフサービスもあった。BGMはテンションの高いクラシック音楽で、有名な曲だったけど、なんの曲だかは忘れたけど、これじゃ落ち着いて買い物できなそうだなと思った。昔の歌謡曲の歌手のベスト盤のCDが、ポストカードを入れるような回転式のラックに入って売られていた。
駐車場はまだ空きがあったので、そのまま車中でご飯を食べて、少し休憩した。10時少し前になってつま恋リゾートに向かった。車を停めて、外に出る。雨は弱くなっていたかもしれない。
駐車場の階段を降りて、トンネルをくぐる。壁にはスポーツをする人が並べて描かれいて、去年見た身体の真ん中に「明美」と落書きされた人も1年振りに会った。その隣の人のテニスラケットの網の部分には、かわいい笑顔が落書きされている。
もう使われていなさそうな建物や、少し小高い丘の横や、シーズンを過ぎたプールを通り過ぎ、リハーサルの音が聴こえて気持ちが少し昂まり、急な坂を登り、たぶん歩いて20分ぐらいして、FRUEのエントランスに着く。
チケットの引き換えの列に並ぶときも、雨は強くなったり弱くなったり。チケットを引き換えて、友達とお互いの手首にリストバンドを巻いて、まずはグラスステージに向かった。
グラスステージについて、すぐに靴はだめに終わった。芝生はぬかるんでいて、靴は下から浸水した。下から浸水することを全く想像できていなかった。
せっかくついたので、さっそく飲みたい、乾杯したい。グラスステージでは焼き鳥も売っていて、ビールと焼き鳥。最高の出だしだ。雨が降る予報だったので、グラスのフロアの隅に建てられることになった噂のテントに入って、2人が座れるだけシートを出して座る。11時になって最初のパフォーマンスがはじまった。ChanazによるDJ。気持ちよくゆれる。
しばらくしてホールに移動する。トリプルファイヤーを観たい。その前に昼ごはんを食べる。僕はムケッカというブラジルの海鮮料理を食べた。やはりFRUEはご飯がとてもおいしい。友達はモンゴル料理店のラムシチューを食べたていて、少し分けてもらったのだけど、これがとんでもなくおいしかった。自分でも買って食べたいと思った。
ちょうど食べ終わるころに歓声が聞こえた。トリプルファイヤーのライブがはじまった。ホールのフロアを目指して階段を降りる。一曲目は『お酒を飲むと楽しいね』、この曲をFRUEで聴けるのは最高だ。吉田さんの「楽しいね!... ね」を繰り返しフロアに投げるときの、怪しくキマった笑顔にぞくっとした。バンドのグルーヴも最高だ。特に『Jimi Hendrix Experience』はとてもたまらなかった。吉田さんがMCでFRUEの「魂のふるえ」について言及していて、最後は自我を失くして魂をふるわせるみたいなことを言っていた。確かにトリプルファイヤーのグルーヴや特に最後の『相席屋に行きたいの』叫びには魂がふるえた。いきなり最高点を叩き出すパフォーマンスを見てしまったのではないかと興奮した。
メルカドをふらりとみて、FRUEのオフシャルグッズのサコッシュを買う。Bily Martionのスコアが描かれている。とてもスコアには見えない、幾何学的でかっこいいデザイン。そのあとは去年のFRUEと今年のFRUEZINHOで見送っていたブッダマシーンをいよいよ買おうかと思ってお店をのぞいたけど、今年も結局買わなかった。毎年こんな感じで今年こそと思って見て、結局買わないというのを恒例にしてもいいかもしれない。
そのあとは友達がトイレに行っている間に、お酒を友達の分も合わせて買って、蜜柑ビールとクラフトのカサッシャをロックで買って、友達に味見をしてもらってどっちがいいかと聞いたら、絶対にこっちと蜜柑ビールを選んだ。これすごいですよとカサッシャをさして言ったので、飲んでみたら確かにすごかった。なにかの芽みたいのが入っていて、すごく痺れるからさだった。くちびるまで痺れた。味はおいしい。しばらくちびちびと飲んだ。
角銅真実 band setを椅子席に座って聴く。土着的なグルーヴで身体が揺れて踊ってしまう。『外は小雨』がとても気持ちよく響く。友達が大好きな歌だったので、終わったあとにやったね、気持ちよかったねと話す。
再びグラスステージに移動する。少ししたらやけのはらのDJが始まった。せっかくのなので、雨の中で踊ってみた。空を少し見上げて顔で雨を受けてみたりして、揺れて踊った。雨の中で踊るのは気持ちいい。いっそのこと裸足になりたかった。しばらくこんな感じで踊って、雨が強くなってきたので、今回特に観たかったうちの一つ、O TERNOのライブに向けてホールに移動する。
ライブの前におでんを友達と分け合って食べる。味がしみていておいしい。骨まで食べられるほどの豚肉に定番の大根や卵、つみれ、さといも、そして餅巾着は自分が食べた中で一番おいしい餅巾着だと思った。
O TERNOのライブは最前に近い位置でみることにした。今年もTIM BERNERADESのファッションは可愛い。白い無地のTシャツに赤いスカーフ、アウトドアハット、チェックのパンツ。リハーサルでは機材トラブルが起きているようだった。たぶんエフェクターの一つがうまいこといっていないようだ。
しかし、機材トラブルがあれど、それでもライブは本当に素晴らしかった。やはりTIMの声は力強くもやわらかく、美しい。そしてギターもすごい。もちろん O TERNOはバンドとしてかっこいい。最高のブラジリアンロックだと思った。もう、とても幸せな気持ちになった。本当はTime Wharpを途中から観に行こうかと考えていたけど、やはり最後までいた。あと、もしかしたら『Volta e Meia』で坂本慎太郎さん来るかな?と思っていたけど、本当にきた。ポエトリーリーディングと曲終わりのコーラスをして、軽くお辞儀をしてスッと帰っていった。坂本さんらしい振る舞いだと思った。
終わってすぐにTime Wharpに移動する。メルカドエリアは既に店は閉まっていて、畳まれているテントもあった。スタッフの大変な苦労がうかがえた。O TERNOがはじまる前ごろから風も強くなっていた。今ではもう雨も風も止んでいた。
グラスステージも風の影響で中断して、アーティストが一つスキップ(翌日に繰り越されていた)になって、Time Wharpからのスタートになっていたようだが、無事にはじまっていた。
着いた時には、クラウトロックのような曲が演奏されていた。NEU!のようなテンポの速い浮遊感のある反復。その次の曲が最後だった。できればもっと聴きたかった。こうした悔しい思いもフェスならではだろう。最後の曲も夜のグラスステージで、幻想的な気持ちですっかり気持ちよく堪能した。
ホールに戻ってAmaro Freitasの前にご飯を食べる。あたたまりたくて、イノシシ汁にした。癖も臭みもなくさっぱりとしていた。友達も何か食べていたが、何を食べいたか忘れた。ご飯であたたまっていたら、とてもいいピアノの音がきこえてきた。Amaro Freitasがはじまったようだ。ご飯を食べ終わり、ステージが見える位置まで移動する。階段の途中でみることにした。Amaroはもちろんピアノも素晴らしいのだけど、そのサウンド体験も素晴らしかった。確かMCでAMAZONという単語とExperienceという単語が聞こえてきた。
中村佳穂とのセッションは奇跡としか呼べない、愛に満ちた響きだった。大げさかもしれにが、音の神様が戯れているような。いや、大げさではないかもしれない。トリプルファイヤーもExperienceだったし、今日は本当にExperienceに尽きるのかもしれない。
始まる前から確信していけど、やはり時間が過ぎるのがとても早い。時間は21時半ごろで、残すところ坂本慎太郎とDJ Oliveのみ。DJ Oliveは明日のことを考えてみるか迷っているが、そうなると残すところは坂本慎太郎のみだ。
坂本慎太郎の前に甘いもの食べたはず。かぼちゃパイとバスクチーズケーキで、どちらもとてもおいしい。甘いものでみたしたあとは、フロアに降りて坂本慎太郎を待つ。
坂本慎太郎のライブはやっぱり何度観たっていい。ある意味海と同じだけど、海とちょっと違う。いつも踊らせてくれて、ちょっぴりほろりとさせてくれる。そしてかっこいい。また、FRUEという特別な場で観れたこともあるだろう。もうこれ以上言葉が出てきそうにない。僕の斜め少し前辺りでは、O TERNOのメンバーも見ていた。ステージ前方の端の方では、Time Wharpもいたかもしれない。
友達とこの後どうするか話をして、せっかくだからDJ OLIVEを少し観ていくことにした。明日のことを考えて、椅子に座って20分ぐらい楽しんだ。こうして初日があっという間に終わった。雨が残念という気持ちはもう消えていたと思う。
駐車場まで戻る道は去年も思っていたけど暗い。特につま恋リゾートの入り口辺りは街頭も消えていて、こんなに暗かったけっと思った。つま恋リゾートのゲートの前に車がヘッドライトをつけて止まっていたけど、道を照らしていたのだろうか。
トンネルを抜けて、駐車場の階段前の右には漆黒の道がある。去年は一人その道を歩いて帰った。漆黒の道はそんなに長くないけど、たぶん経験した中で一番暗い道だった。
また友達に運転をお願いして、駅前のホテルに向かう。高速道路の下を潜る少し前にある建物の、ひとつの部屋の蛍光灯が点滅していて怖かった。車で行くとホテルまではあっという間だけど、やはり歩いてだったら時間がかかっていたと思う。
ホテルのフロントがホームページとギャップがあって少し驚いた。古いビジネスホテルといった感じの小さなフロントだった。友達は違う階の部屋だったので、エレベーターで別れる。鍵を開けるのにほんの少し手こずる。部屋はよくあるビジネスホテルの感じだと思う。歯磨き粉が不味かったのと、お湯が水を混ぜて温度調整をするタイプだったことに少ししょんぼりする。シャワーは明日浴びることにしたけど、足はだいぶ雨に濡れたのでさすがに洗った。そういえば、今思い返せば喫煙可の部屋なのに、全然タバコのにおいが残ってなかったのはよかった。文句が多くなってしまったが、とても楽しい気持ちで眠りについた。