24/8/24 あたらね
遠くからゴロゴロと雷が転がる音が聞こえてきて、東の空は暗雲が立ち込めていた。天気アプリの雨雲レーダーを見たら、東ではなく北の空が豪雨を示す、真っ赤な雲だった。
そんななか、今日は主催として企画をした『良音(あたらね)』の準備のため、谷保の友達の家にランプを借りに行く。一旦会場の小鳥書房に立ち寄って荷物を下ろし、雨は大丈夫だろうという強がりと祈りを込めた早歩きで友達の家に行く。線路を渡り、谷保天満宮を抜けていく。大体一度行けば道は覚えられるのだけど、この友達の家には過去に2回行っているのに、未だに道が覚えられらない。道が複雑なわけではない。理由がまったく分からないわけでもない。言葉すらも迷子になっているようだ。
用水路の水は透き通っているけど、やはり用水路の水は汚いのだろうか。たぶん柿が青いまま落下して、用水路の水を少しだけ2つに分岐させ、再び合流させていた。
友達の家でランプを2つ受け取って、折りたたみ傘も貸して頂いて急いで小鳥書房に戻る。さっきよりも雲は近づいているように思える。小鳥書房に戻ってきたときは16時半ぐらいだった。
それから1時間ぐらいして、出演者のサポートのりかさん、そしてonettさんが来た。荷物を2回に運んで設営を始める。3人でこうでもない、ああしようかこうしようかと言いながら設営するのは楽しかった。真横の公園では今日は夏祭りで、公園の真ん中には櫓が立ち、盆踊りが開催される。太鼓の音がやはりここまで聞こえる。でも、リハーサルで演奏しているときは全然聞こえなかった。なんとかなりそうだった。なんだか、リハーサルから感動してしまった。
気がつけば、イベントが始まる3分前になっていた。1階に戻りDJを始める。
はじめは緩やかで人が来るか心配になったけど、少しずつ人が集まってくる。今日は小鳥書房のBAR営業『良夜(あたあらよ)』にのっかてなので、メインは『良夜』としてのイベント。賑やかな『良夜』の景色が広がっていた。
20時になる10分前にもうすぐライブが始まるアナウンスをする。僕も2階にあがってみると、天井を雨が打ちつける音がすごかった。天気予報をみたら雨は25ミリぐらいった。さっきの赤い雲がこちらに来たようだ。1階にいて、こんなに強い雨が降っているなんて気付かなかった。
太鼓の音ではなく、雨の音が響くなか、onettのライブは始まった。しかし、そんな雨の中でもハートフルでパッション溢れる素晴らしいパフォーマンスをしてくれた。『やさしさについて』も、雨の中でやさしく響いていた。
一部を終えて一度1階に降りる。外を見たらダイヤ街のアーケードの下でたくさんの人が雨宿りをしていた。盆踊りは文字通り水をさされてしまっていた。もうこうなったら、この豪雨の中、盆踊りをしたらハイになるのではとも思う。浴衣を着ている人もいたけど、こういうときの浴衣はとても寂しそうに見える。
2部でりかさんをサポートに加え、スウィートでちょっぴり切なくきゅっとなるような夜が続く。『お風呂に入ろう-残暑篇- 』も夏がゆっくりと浮かんでいく感じがする。
アンコールでは、ずっとライブで聴きたかった『恋は割に合わない』もリカさんとの素晴らしいデュエットで聴くことができた。最後の『もう大丈夫』もやっぱり名曲だ。なんというか後ろ向きな自分を前向きにと否定するのではなく、自分に対する励ましやなぐさめのように感じる。本当に素晴らしいライブだった。
2階に戻って、残りの時間は再びDJをする。僕もここでようやくビールを開け、ドーナツ屋の友達が作った、この日のための目の付いたドーナツを一つ食べる。遠くから目があったドーナツをチョイスする。いつもの『良夜』の光景が再び広がっている。時間はあっという間に過ぎた。
2階でオネットさんとリカさんと会場の現状復帰をする。設営前に撮った写真の完コピを目指す。たぶんできたと思う。撤収作業も終わって、1階に戻ったらお客さんは誰もいなくて、みなさんに挨拶できなく残念だった。
オネットさんとローソンの前の駐車場の車の中で、おしゃべりをする。オネットさんとの付き合いも、気付けば10年ぐらいになるかもと話しをした。オネットさんのライブに行った一番古いライブは確か六本木の虎がつくライブハウスで、そのときはオネットさんは赤の生地に「JOHNNY FUCKIN MARR」のTシャツを着ていた。話を聞くとサマソニで買ったとのことだ。そのときのサマソニは、あのビリー・コーガンがミスチル地蔵に切れて「前座を見に来てくれてありがとう」と言ってしまったときのサマソニのようだ。あれがもう10年前のことなのか。その他にも、外は暗雲が立ち込めているだったり、祝福の雨がだったり、onettの歌詞が現実になっていたなど話した。
本当に楽しくすばらしい夜で、こうやって晩夏を超え残暑に入っていけるのが、とてもうれしく感じた。
遊びに来てくれた人にとっても、そんなふうに感じてもらえたならいいなと思った。もっといえば今日来られなかった人も。