大門未知子と財前五郎
病気の性格、治療方針が決まった時期に
いよいよ娘にも報告しておかないとなーと思い妻に相談した。
化学療法は副作用も強いらしいし
僕の治療方針は結構きつめの全部のせ
その名も「フォルフォキシリ」
まだどんな感じなのか予想もつかないし
いきなり父親が嘔吐を繰り返していたらと予想すると
早めに伝えておこうということになった。
そのとき、前に読んだ、雨上がりの宮迫さんの記事を思い出した。
宮迫さんが息子さんに打ち明けた時
「大丈夫。パパは絶対に大丈夫な人やから。すごい人やから大丈夫」。
宮迫さんはこの時、「こいつのためにも治さなあかん」と固く決意したらしい。
これは感動ですよ。感動。
きっと僕も泣いちゃいます。
その日、娘が帰ってきて
ちょっと聞いて欲しい話がある。と呼び出した。
「あのな、うすうす気づいているかもしれないけど、パパ病気なんだ。」
『うん、病院行ってるから、そうなんだろうねぇ。』
「がん、なんだって」
『へぇー、おつかれー』
(何か違うぞ…あれ?)
「がんってわかるよね?」
『わかるよ。誰でもなる病気。2人に1人がなる病気。でも平気だよ。治るよ。
例えばその1人がみんな死んじゃったら人口が半分になっちゃうんだから。』
「それもそうだね。」
『だから死なないし、珍しくもなんともないよ。がんばって』
「おう、がんばるよ」
それからのやりとりが最高でした。
『じゃあさ、パパ。あなたのがんはどこから~♪』
(それ風邪じゃんベンザブロックじゃん…)
「え~と大腸」
『じゃあボラギノールでも塗っとけー』
(それ痔じゃん…笑)
「おう塗っとくよ、それで治しちゃる」
『OK!』
こんなやりとが巻き起こりました。
どこかでしょーもない感動を求めてた自分を恥じました。
この返しができる娘は最高だと思いました。
妻曰く、娘のあまり現実を受け入れたくない思いからの返しらしいです。
でも僕の心が軽くなったことは事実です。
「死ななきゃいいんだ。簡単じゃん。」と訳も分からず思いました。
後に娘は
『大門未知子みたいな先生だったらいいねー』
と言っていました。
そうです。失敗しない大門未知子。スーパードクターです。
彼女の前では死なないのです。
僕らの世代は白い巨塔の財前五郎。
失敗して、自らもがんに侵され死んでいく。
そんな世代。
医療の進歩とともに
ドラマも変わっていたのでした。
でも娘はそれからは
ちょっとづつ色々手助けしてくれます。
とってもとっても、助かります。
そして、常に笑いをありがとう!
笑う門には福来る。
わっしゃっしゃっしゃっしゃっしゃ。
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