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答えが出たNotion vs. Microsoft Loop vs. Google...

Notion、いいですよね。私もずっと使っていて、会社勤め時代にはチームメンバーにもおすすめして「打ち合わせはNotionみながら、Notionつつきながら」が多かった。使いこなしていたとは言わないけど、データベースをシンプルに活用したり、API活用でワークフローに組み込んだりと、それっぽい使い方のお試しもしてきた。

と、Notionを「使っていた」と過去形になったのはついこの間だ。そう、私はすでに新しいプラットフォームに移ってしまった。


近ごろは、セルフホステッド(自宅クラウド)の 「Notes and docs apps(メモとドキュメントアプリ)」、つまりはNotionの代わりになるようなFOSS(Free and open source software)を10アプリほどじっくり検証していた。それが終わったあと、ついでにMicrosoft Loopも改めて検証した。

Microsoft LoopはほかのどんなアプリよりもNotionに似ている。

Microsoft Loopはこの手のツールとして使い勝手のよさは抜群だし、ビジネスではいくつものオフィスアプリとシームレスに統合されているがゆえに便利に使える。だけど、個人利用では「やっぱりダメだな」が結論。めちゃくちゃ長文になりそうだから省くものの、とにかくLoopは「ロックインする意思」が強く、それはプレビューの初期に感じた疑いが、確信に変わっただけでもあった。

昨日の記事でちょろっと触れたけど、今朝、日本でもMicrosoft 365 Personalの「43%値上げ」がされた。「AI抜きプラン」が期間限定で用意されるものの、このまま「ロックイン上等」でサブスク続けるのか、Googleに移るのか、あるいは少しばかりのチャレンジ精神発揮でセルフホステッドを試してみるのか。個人的にはセルフホステッドの追い風になってほしい。


で、マイクロソフトが Notionパクって 「共同創造エクスペリエンスによってチームのパワーを解き放つ」を目指してLoopを出したように、GoogleはまだNotionっぽいサービスは出していないのかと調べてみると……。

うむ、出していない。けど、海外のフォーラムを見ていたときに「友だちがNotionやめてGoogle Docs使ってるよ」という学生のテキストがなぜだか目にとまり、何年ぶりかに使ってみた。使ってみたら「Googleドキュメントの変わり果てた姿をご覧ください」だった。

「来期発表する新製品」のプロジェクトを作ってみた(Perplexityがお手伝い)。

もう、タイトルバーを見ないとGoogleドキュメントだと分からない。でも、Googleドキュメントだ。「テキストをブロックで考える」Notionのあのノリもなくて、テキスト入力にちゃんと集中できるやつだ。

さて、私のGoogleドキュメントのイメージといえばこんなだった。

当初は共同編集などが画期的だったGoogleドキュメントも「かたくなにArial」など変化しない過去の遺物のイメージに。

これは、2年前、2023年2月のGoogle公式ブログによる「目次を作れる新機能」の紹介画像だ。「新機能がそれかよ」はともかく、2年前にGoogleがもっともアピールできると考えたGoogleドキュメントのイメージと受け取ってよいだろう。

そう、この2年ほどでGoogleドキュメントは少しずつ変わったようだ。目次がつくれるようになっただけではなかった。いまさらながら気づいたポイントはこんなだ。

  • Markdownで入力できる。みんな大好きな「##」とか「-」が使える。対応していない記法が多いのは気になるけど、あまり使わないものばかりだからOKだ。Markdownテキストのインポートとエクスポートもできる。

  • 選べる日本語フォントが増えた。みんな大好きなNoto Sans JPに対応していた(「その他のフォント」から選べる)。Notionではフォントがゴシックか明朝かの実質2択のうえ、標準フォントの変更を許さない。

  • 背景の色を自由に選べる。昔からあったかもしれないけど、ともかく、スクショの背景色でテキストを書きたいわがまま人間なのだ(とあるレストランのレシピの色だ)。Notionはダークかライトの2択だ。

  • ページレス形式が選べる。これは、印刷ありきではない今どきなドキュメントにぴったりだ。2022年の実装らしい。遅い。

  • スマートキャンバス。「@」打つと便利なあれこれを集められるスマートチップを追加できてNotionの「/」っぽい。スライドやドキュメントはホバーでプレビューもできる。

  • カバー画像(まだランダムでは選べない)、タブ(Notionでは最上位のページにあたるか)、ステータス管理用のフォームなど、Notionっぽいあれこれを追加。

メニューでは新機能が「青」でわかりやすくアピールされているようだ。
スマートチップでファイルを置く。Notionで「/」がGoogleでは「@」だ(別物ではあるけど)。
「ま、まあ、Googleのアプリならリンクできて当たり前だし?」だけでなく、他社サービスともわりと連携できる。チーム作業ではコメントやイイネもらいながら修正はかどる感じか。

「Notion? 使ってますよ」は、なんかこう、OneNoteやEvernoteから離れられないひとたちよりも進んでいる感もあったと思う。実際、イケてる雰囲気もウリな会社のメンバーが積極的にNotionの情報発信をしていたこともあってか、それ以外のアプリを一気に「旧世代」に追いやったと思う。

Notionは「学習曲線が急(a steep learning curve)」なアプリの代表でもある。つまり、活用するためのスキルを習得するのはかなり難しく、多くの努力が必要ということだ。「そんなアプリを私は簡単に使いこなしている」かのようなアピールに、私を含めて、なんの下心も意図もなかったとは思わない。そして、これは「学習曲線が急」であることがむしろアピールされるような、Obsidianなどのさらにハードコアなアプリを生み出すことにつながったのかと。

Notionの代替アプリとしておすすめされがちなObsidianのスクショを拝借。メモとりアプリ……なのか?

とまあ、失礼ながら息をしていないと思い込んでいたGoogleドキュメントが、いまもっともとっつきやすい、モダンなAll-in-one型ドキュメントプラットフォームに進化していたことにびっくりして、記事を書いてみた。「たまたま」Microsoft Loopをいじった流れでの「たまたま」のどこかの国の学生さんのお友だちのおかげで脱Notionとなった。

Googleドキュメントの標準フォントを好きなフォントに変える手順などは検索ですぐ出てくるし、そもそもいじれるのはそのくらいだ。できることは少ない。スマートチップ以外の新機能だって、実のところそれまでも苦労すればできたことをかんたんお手軽にしたり、選択肢を増やしたくらいだ。それゆえ、ツールを使いこなすこと自体が目的化することもない。

「Notion、実はムリしてつきあってたんだよね」って方も少なからずいると思う。私はNotionを最低限の機能で使っていたこともあってか、わずかな手間と時間だけでGoogleドキュメントとスプレッドシートにまるっと移行し、5年間に感謝して終わりだった。みなさまも、ぜひ。